堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループが季刊で配信している「SHL Global Newsletter」の中から記事をピックアップ、日本語に翻訳してご紹介するものです。

今回はケーススタディ、イギリスのリバプール市でSHLツールが活用された事例をご紹介します。

第8回 ケーススタディ:イギリスリバプール市

背景

イギリスの過去10年間の雇用率は70%を維持してきたが、採用に関していくつかの問題が発生している。1つめは会社が適切な応募者を見つけることに苦労していること、2つめは不利な条件に置かれた人々ほど仕事を見つけることが難しいこと。

「人材プール」はイギリス政府が出資するプロジェクトで、リバプール市の会社の社員採用と教育を支援するために設立された。それはまた、職業訓練サービスなどパートナー機関のネットワークを通じて、地域の人々がこれらの仕事機会にアクセスすることを支援することも担当している。採用活動の焦点は、特に労働市場において不利な条件に置かれた人々、すなわち、長期失業者、黒人などの少数民族グループ、市内の貧困地域に住む人々に当てられる。

チャレンジ

「人材プール」は毎年恒例の小売業の採用イベントに合わせて試験的な取組みを行った。ジョン・ルイス、BHS、WHスミス、リバー・アイランド、ネクスト、トップショップなどの会社が、12月の繁忙期のために500人を臨時採用しようとしていた。

「人材プール」はこれらの会社に、採用面接日程の一部を労働市場で不利な条件に置かれた候補者に割り当てるよう説得した。そして、それらのグループと一般応募者のスキルギャップを埋めるために、面接準備用の訓練コースを企画した。ただし、50人分の訓練予算しかなく、予算を最大限に生かすため、面接に成功する可能性の高い人々をあらかじめ選抜したいと考えた。

解決策

人材プールの採用アドバイザー、ルイス・ウィルキンスさんは訓練に最も適した候補者を前もって選抜するプログラムを提案した。そうすれば、企画に合意してくれた会社に、適切な能力を持った人材を斡旋します、と説得できる。ルイスさんが就職させようとしている長期失業者などに対して、信頼できないのではないかと疑いの目を向ける会社もなくはないことを考えるとなおさらだ。

事前選抜は、1対1の面接、コミュニケーション・スキルの評価、SHLツールで構成された。勤怠成績がよく、チームメンバーとして優れ、質の高い仕事ができ、顧客志向であるような候補者を見分けることができるよう設計された。

結果

対象者70人のうち、平均以上の得点を取った50人に訓練コースが提供された。50人中、訓練コースを完了できなかったのは6人のみ。面接では14人が合格し、これまでのところ10人が常雇用された。

SHLツールによって、「人材プール」は面接でうまくいかなかった候補者に客観的な説明を提供することができた。

「SHLは最初から最後まで、高い品質のサービスと支援を提供してくれました。本当に感謝しています。人材プールの成果は、産業界が認めたツールを活用して、これまで企業が採用の対象としなかったグループの人々に面接の機会を保証するよう企業を説得できたことです。SHLの妥当性があり客観的で一貫した測定ツールを活用したおかげで、我々は最良の候補者を選抜できました。これまでにない高い成功率がそれを証明しています。」

ルイス・ウィルキンス(リバプール市 採用アドバイザー)

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

日本では、ハローワークでの就職相談に一般職業適性検査(GATB)が使用されていると聞きます。能力のみの検査で、対人スタイルや行動パターン、意欲をきくようなパーソナリティ検査は含まれていません。仕事によってはそちらの方がキーポイントになるような気もするのですが。

いずれにしても、適性検査が、それがなかったら埋もれてしまったかもしれない人材を発掘して活かすことに役立っている、と思えることがこの業界に関わる者にとってのこの上ない喜びです。

文責:堀 博美

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