堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループが季刊で配信している「SHL Global Newsletter」の中から記事をピックアップ、日本語に翻訳してご紹介するものです。

今回はSHLグループのCEOであるジョン・ベイトソンが執筆した記事 “Talent in today’s global economy”(2008年秋号)です。

第13回 今日のグローバル経済における人材

金融市場の現在の混乱を考慮に入れても、我々は今日、発展途上の新しい経済の渦中にある。そこでは間違いなく、企業の人材が差別化要因である。社員は最大の資産であると企業がただ主張しただけの日々は過ぎ去った。これが2008年の世界的な現実である。

もはや空きポストを埋めるという単純なものではない。今や、適切な人材を適切なタイミングで適切なポジションにつけることがビジネスの成否を分ける。イギリスでは今後の15年間に現在の労働力の約半分が退職を迎える。縮小する労働プールから人材を選抜・保持することは最重要課題である。これはヨーロッパ全体でもアメリカでも同じである。55歳以上の労働者の数は今後8年間で47%増加する。

つまり、我々は、人材の供給が先細りになっているまさにその時に熟練した人材を求める、という世界的な危機に直面している。ベストな人材を求めて世界的な競争が生み出され、企業はグローバルな人材プールから最も革新的で生産的な人材をなんとか見つけようと、より遠く広く目を向けなければならない。

しかしながら、今日のビジネスリーダーはこの人材不足に対処する好位置にいる。先日の不況以降、先見性のある企業は広く「人材マネジメント」モデルを採用し、自社のどこにどんな人材がいるのか、明確に理解できるようになってきた。これは、スタッフを削減する必要性、どんなコンピテンシーを持つどんなスタッフを保持すべきかの厳しい決断を下す必要性が生じた際、すこぶる貴重である。

候補者がどこに住んでいようとポテンシャルを評価できるという点で、テクノロジー活用は引き続き重要な役割を果たすだろう。SHLはすでにグローバル企業と協力してこの動きを促進している。現在多くのヨーロッパ言語でVerifyシリーズ(オンライン能力テスト)を利用できるが、最終的には様々なタイプの能力を評価できるようテストの種類を増やし、より多くの言語で実施できるようにするプロジェクトが進行中である。OPQはすでに30の言語でオンライン実施できる。

それぞれの言語によるテストは、SHLの頑健な妥当性検証プロセスに則って開発されている。大規模な現地でのトライアルが実施され、テストが正確に翻訳され、かつ、文化的要素が充分考慮されていることが確認される。その結果、候補者には同じ土俵が与えられる。これは一貫したグローバル採用にとって重要である。

頂点に立つ候補者を巡ってグローバルな戦いが繰り広げられている。人事採用担当者にとって、この事実に真正面から向き合い、ビジネスニーズと成功に必要なスキルを考慮に入れた長期的な戦略を開発すべき時である。どんな不況にも、その後に成長期が来る。その時のための準備として、人事は高業績者の留保に目を向けるべきである。経営にとって、成長を推進する人材を保持することが賢明である。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

SHLグループでは同じ能力テストやパーソナリティ検査を様々な国の言語に翻訳し、同一基準で受検者を評価できる仕組みを推し進めています。日本語のものももちろん開発中です。現在日本エス・エイチ・エルが提供する商品のほとんどはグループで開発された英語版を元に開発されたものですが、日本の実状に合うよう項目や結果表示は一部調整されています。それとは別に、限りなく本体と同一のものを多言語で提供しよう、というのがグループの流れです。その場合、焦点となるのは「ノルム」の問題でしょう。検査の結果はある集団と比較しての相対得点(標準点)で表されていますが、多言語版の結果は、どのような集団と比較してのものなのか、いまだ明確でないところがあります。
個人的には、グローバルなニーズへの対応と日本独自のニーズへの対応、この2つのバランスが、今後しばらくの当社の商品開発のテーマになっていくのではないか、と考えております。

文責:堀 博美

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