堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は米国の人事専門ウェブサイトTLNTからご紹介します。CEB取締役Jean Martinによる記事『Five Critical Priorities HR Can’t Afford to Ignore in 2015』です。

第166回 2015年、人事はこの5つの優先事項を見逃すな

仕事のやり方がものすごいスピードで変わっています。当然、人事も変わらなければなりません。

グローバル企業で働く人なら誰でもこの数年間で自分の仕事が大きく変わったと感じているはずです。職務の名称や職務記述書は変わらないとしても、一緒に働く人の数や意思決定に要する情報量、日々の課題、用いるテクノロジーなど、これまでのキャリアのどの時点よりも素早く変化してきました。

人事部門の5つの優先事項

仕事の性質の変化が2015年のグローバルビジネスを形作ります。人事部門は、この新しい仕事環境を会社が最大限に活用できるよう、次の5つステップをとるべきです。

1.「エンタープライズ・コントリビューター(会社に貢献する者)」を持つ

調査データによれば、平均的な会社は、売上と利益の目標値を達成するために社員パフォーマンスを27%向上させる必要があります。

人事部門は個々人のパフォーマンス改善を基本とした従来のパフォーマンス管理を超えて、「エンタープライズ・コントリビューター」集団を作り上げるべきです。個人としての業績が高く、かつ、周囲の人をうまく活用して仕事のできる社員です。

実際、エンタープライズ・コントリビューターのいる会社は他社よりも前年比売上で5%、前年比利益で11%高い業績を上げています。つまり、フォーチュン500社の平均的な会社で、利益144百万ドル、売上924百万ドルの増加です。

ほとんどの社員はエンタープライズ・コントリビューターになる準備ができていない、または、なりたくない、と人事部門が考えるのは間違いです。彼らはエンタープライズ・コントリビューターになれます。ただ、会社の組織構造や風土がじゃましているのです。人事部門は社員を動機しようとする代わりに、パフォーマンス管理の中核にある「4つのパラドックス」に会社が折り合いをつける手助けをするべきです。

2.応募者全員にアピールするのではなく、いい人だけにアピールする

職務応募者の数は過去3年間で33%増えていますが、応募者の質は変わっていません。対応策として多くの会社は、「最高の勤務先」としてのイメージを出して質の高い応募者を惹きつけるような、採用のブランディング・キャンペーンを立ち上げました。

しかし、この「アピールのためのブランディング」戦略は、質の高い応募者は28%だけという応募者プールを生み出します。なぜならば、従来の大量の会社情報にさらに情報を追加しただけだからです。そして、これらの膨大な情報には誤ったものもあるためメッセージが食い違います。結果、3年前に比べ、応募者の61%は「会社が言うことにより懐疑的である」と答えています。

その代わりに、人事チームは最高の候補者を惹きつけるための「影響のためのブランディング」アプローチをとるべきです。

笑顔や軽快な音楽にあふれたビデオクリップをもう一本YouTubeに上げるのではなく、賢明な会社なら、最も重要な人材層に合った、応募者の思考に挑戦するようなメッセージに時間とお金をかけるでしょう。それらの会社では応募者全体に占める優秀者の比率がほぼ倍増します。

3.「何を学ぶか」だけでなく「どのように学ぶか」を社員に教える

これまで述べたことは述べたこととして、会社は社員の能力開発活動を改善し続けなければなりません。ほとんどの社員は継続的な能力開発が重要であるとよくわかっており、会社が提供する研修やトレーニングは十分であると思っています。84%が「研修・トレーニングに満足している」と答えています。

しかし、それにもかかわらず、また推定145百万ドルが毎年トレーニングに費やされているにもかかわらず、具体的な成果が見えるトレーニングはそれらの投資の半分以下です。この低い数字に対し、多くの会社は能力開発機会をさらに増やし、様々なルートで提供して、社員に自主的に自分の能力開発をするよう促しています。

しかし、それではうまくいきません。ほぼ4人に1人のラインマネジャーが「訓練によく参加している部下が適切なスキルを欠いており、学習活動が無駄に終わっている」と報告しています。毎日、社員は時間のほぼ11%を非生産的な学習に浪費しています。

先進的な会社は(ただ「何を学ぶか」だけでなく、)「どう学ぶか」への社員の気づきを高めています。内容をただ吸収するだけでなく、社員の学習行動の開発を支援するような学びのテクノロジーを用いています。このアプローチは学習能力の高い社員の数を倍増させ、社員に新しい仕事環境に対処できる態勢を整わせます。

4.人事チームをより価値あるものにする

経営トップはビジネスにとって「人がどれほど重要か」を強調したいと考えていますが、人事チームは未だ必要なサポートを提供することに苦心しています。人事チームを「効果的なパートナーである」と評定するラインマネジャーは5人に1人以下です。

人事部長はその部下の能力開発に大いに投資してこの悲惨な統計数値を改善しようとしてきましたが、それらはほとんど個々人の向上に対してであり、チームが働く組織風土の変革にはあまり当てられていません。

人事チームがラインをサポートするビジネス・パートナーとなることを妨げる4つの組織的障害があります。それらを取り除けば会社にとっていいビジネス・パートナーである人事担当者の数は倍増します。

5.高業績者をハイ・ポテンシャル人材と間違うな

CEBのデータは、強いリーダーのいる会社は売上が2倍かつ利益成長率が2倍であることを示しています。しかし、将来のリーダーを能力開発することを目指したハイ・ポテンシャル社員向けプログラムの多くは、統計的に成功よりも失敗に終わっています。

人事マネジャーの50%が自社のプログラムに自信がなく、また、6人に5人もの人事マネジャーが結果に不満足です。

実証データは逆を示しているにもかかわらず、多くの会社は未だ高業績者=ハイ・ポテンシャル人材と間違ってみなします。事実は、ハイ・ポテンシャル人材は高業績者の7人に1人です。こういった誤りが頻繁に見られるのは、客観的な選抜プロセスがあまり設定されないからです。科学に裏付けられた意思決定がなされることはめったにありません。

ハイ・ポテンシャル人材の選抜プロセスに関わる人は、対象者の能力、志望、会社へのエンゲージメントに基づいて社員を評価すべきです。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

2014年も残すところほぼ2週間となりました。2015年、人事が取り組むべき優先事項についてのCEBの提案が皆様のご参考になれば幸いです。

文責:堀 博美

バックナンバー

2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年

学会発表論文