堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は大学新卒採用について、SHLグループのコンサルティング・ダイレクターSarah McLellanがHPに掲載した記事をご紹介します。

第257回 大学新卒採用への新しいアプローチ

モニカをご紹介しましょう。彼女はグローバルIT企業のリクルーターです。自社に新しい人材を入れようと熱心に働いています。昨年、彼女の会社は大学新卒者を50人以上採用し、様々な部署に配属して幹部候補生として育成したいと考えていました。しかしながら、モニカと彼女のチームは成果を上げられませんでした。50人以上という募集人数中、40人しか埋められなかったのです。

聞き覚えのある話ですか?モニカや他の多くの人にとって、新卒採用は期待通りの結果を出していません。2017年、イギリスの新卒採用で募集数は4.9%落ちましたが、学生数は10%増加しました。職務の数は減って学生の数が増えたのですが、それでも、優秀な学生をめぐる競争は厳しいままです。同年、新卒採用枠のうち800のポジションが埋まりませんでした。

ここ数年、新卒マーケットにおけるリクルーターへの重圧は本当に厳しくなっています。もう単純に干し草の中にある一本の針を見つける、というのではなく、様々な干し草の山々から、多くは全く新しい役割や機能に優れている人を見つけてこなければならないのです。リクルーターは混乱したまま放っておかれ、母集団形成や選抜はばらばらな方向に引っ張られています。広報と客観的選抜がうまく統合されたところで、最良の学生を惹きつけると同時に不適な者に思いとどまらせることが、皆にとっての最優先課題です。

モニカはまた、自分たちが採用した新卒者について配属先の管理職から否定的なフィードバックを受け取りました。即戦力になるスキルを欠いており、最初の数カ月で退職してしまうというのです。

最近の調査では、新入社員は重要なスキルを欠いているだけでなく、最初の職務にとどまる平均期間がわずか18カ月でした。多くの学生は、短期的にも長期的にも企業が求める能力を提供できていません。もしくは、学生は単純に自分たちが何に契約したのか、理解していないのです。

新卒市場におけるリクルーティングの際、競争は激しく、採用決定を軽く捉えることはできません。学生自身やその決断もリクルーティングの成功に影響を与えます。しかし、調査によると、学生が間違った決断を下すことがとても多いです。43%が自分が希望しない職についたと回答しています。自分がその職務にとどまっているのは、ただ、退職が履歴書の傷になるからだ、と20%が認めています。将来の幹部候補生として採用したのに、5人に1人が履歴書の傷になることを恐れているからという理由だけでそこにいるのならば、新入社員に今後の職務や会社の現実について教えるためにもっといろいろなことができるはずです。

学歴や知的能力に頼った典型的な選抜プロセスが、会社が重視するソフトスキル(行動)を持つ学生を見つけられないということで、状況を悪化させているのかもしれません。学校成績の重みを減らし、行動面をより重視することが必要です。そのことが、予測が難しいものの予測に役立ちます。

鍵となる職場行動に焦点を絞り、募集と選抜をシンクロさせ、応募者に情報を伝えてプロセスの対等なパートナーになってもらうことで、我々、そしてモニカは、絶え間なく変化する新卒採用市場の要請によりうまく対応することができるでしょう。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

皆様ご承知の通り、総合職としての一括採用と最初から職種を特化した個別採用というように、新卒採用の形態は日本と欧米で異なりますが、共通する部分も多いかと思います。日本でも広報から母集団形成、そして選抜への一連の流れを連動するシステムはいくつか出ています。選抜の際、知的能力だけでなく、対人面や意欲などのソフトスキルを重視するということでは日本が一歩も二歩もリードしているのではないでしょうか。

(文責:堀 博美)

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