堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、リーダーシップ・ポテンシャルに関する調査研究結果から、特に性差に焦点を当てた部分をご紹介します。

第111回 女性は何故、英国企業のトップの位置に登ろうとしないのか?

SHLの調査で英国女性のリーダーシップ・ポテンシャルは世界第5位であることがわかりました。にもかかわらず、リーダー職についているのは英国女性の20%にすぎません。SHLのデータからは、世界中で性別によるリーダーシップ・ポテンシャルの差はほとんどないことも明らかになりました。英国でリーダー職についている女性の比率は、25ヶ国中19位です。上位はノルウェー(42%)、タイ(39%)、イタリア(36%)、香港(33%)。日本は25位で、リーダー職の5%にすぎません。

25ヶ国のリーダーシップ・ポテンシャルを調べた結果は実はやや女性のほうが高かったのですが、上級職についているのは圧倒的に男性で76%です。この調査はSHLが2012年度LINKカンファレンスで発表した「タレント・リポート」の一部で、100万件以上のデータベースの分析から導かれました。

性別とリーダーシップ・ポテンシャルの間にはほとんど差がないにもかかわらず、上級職にとっての動機付け要因には明確な性差があり、それが女性が上に進むことを妨げているのかもしれません。すなわち、リーダー職の男性は「権限」と「失敗への恐怖」によってやる気になり、一方、女性は「建設的な職場の雰囲気」と「認知」によってやる気になることが研究からわかりました。

「世界平均では男性3人に対し女性1人がリーダー職についていること、男性は「権限」と「失敗への恐怖」によって動機づけられること、を考えると、英国の取締役会は、上級職に昇進したいと女性に自然に思わせないような、バランスを欠いた雰囲気を自己増殖しているのではないか、と思われます。」(チーフ・サイエンス&タレント・アナリティックス オフィサー ユージーン・バーク)

「昇進するにつれて女性がだんだんやる気をなくしていくことは明らかです。世界中の従業員1000名以上の企業で、職責や職位が上がるにつれて女性の比率は大きく下がります。CEBの調査によれば、初級レベルの職位では女性が48%ですが、中級になると36%に落ち、取締役を含む上級職ではやっと26%です。」

「ビジネスは、人材プールの50%を占める女性の力を引き出していません。ベビーブーム世代の引退後、優れたリーダーを見極めなくてはならないというのに、大きなチャンスを逃していることになります。」

別の調査では、取締役会におけるこの性のアンバランスにどう対処すべきかについて、男女の意見を聞きました。取締役会で男女別に定員を割り当てる、という策に対して、英国女性は賛成と反対の意見が真っ二つで、反対が51%。男性は賛成が68%です。

バークは続けて述べています。「向上心に燃える女性リーダーを魅了したいなら、経営幹部レベルの風土は変わらなければなりません。より多くの女性がトップまでのキャリア・パスを続けていきたいと思えるよう、英国企業は積極的に取締役会の風土を調整する必要があります。「失敗への恐怖」で成り立った組織風土から離れ、業績や貢献を認めて正しく評価することに基づいた風土に近づくことが、将来の女性リーダーを強く惹きつけるでしょう。」

意欲要因(男女別)

リーダー職の女性比率の高い25ヶ国のリーダーシップ・ポテンシャル

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

本コラム第108回で紹介した「SHLグローバル・リーダーシップ研究」の続編です。リーダーシップ・ポテンシャルは、2006〜2011年に世界中で実施されたOPQ(パーソナリティ検査)とMQ(意欲検査)のデータ112万件の分析から導かれました。

動機付け要因における性差に関する箇所を読みながら、学生のころに学んだ女性の「成功回避欲求」という概念を思い出しました。男性には「失敗への恐怖」要因が強い、という今回の結果と対照させて考えると興味深いです。

また、女性のリーダー職比率について、日本の値の低さにはやはりショックを受けました。政府統計(雇用均等基本調査など)でも管理職の女性比率は7〜8%という数字であり、この記事の数値はあながち的外れでもなさそうでなおさらです。

文責:堀 博美

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