SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はCEBブログの記事をご紹介します。

第224回 テストをテストする:人材アセスメントに関する5つの誤った俗説

人材アセスメントは、どういう人を採用、昇進させ、トレーニングコースに送りこむかを決める際に非常に有益な方法です。しかし、マネジャーの中には使いたがらない人もいます。5つの頑固な俗説があるからです。

会社が採用する人材を見極めるサポートとして、アセスメントは数十年間使われてきました。結局のところ、適切な人材がいなければどんな会社も戦略を実行に移せないからです。

しかし、ビジネスの目的が違えば、必要な社員のタイプも違います。よい顧客サービスを提供することが好きな人は、最高級の贅沢品を扱う小売店で成功するでしょうが、価値やサービス期待度の違う激安スーパーマーケットでは苦労するかもしれません。テストは、個人の考え方や問題解決のし方、仕事スタイルや好み、価値観、そして、持って生まれた素養を判断するために使われます。

科学的なアセスメント・ツールは(結果の解釈は人が行いますが)、人間の判断だけよりも、採用や能力開発、昇進の意思決定においてはるかに信頼できることが実証されています。

CEBデータによれば、イギリスでは、新しい職務や昇進、教育研修への適性など人材アセスメントによる意思決定が毎日300万件以上行われています。しかし、これらの人材に関する意思決定のうち、客観データの情報も活用されているのは20%以下です。

アセスメントとベストプラクティスに関するCEBの30年以上に渡る研究によれば、人材アセスメントについて回る俗説が5つあります。5つ全てが研究成果に反しています。それぞれ、質の劣るアセスメント・ツールを活用したり、間違って使用したり、結果を間違って解釈したりした実務家から生じているようです。

俗説1:
アセスメントは付加価値を持たない
事実:

数十年に渡る研究が、アセスメントが職務での成功を予測する最も強力な指標だと実証しています。会社独自の職務要件に最も合う、最もポテンシャルの高い候補者を最も正確に見極めることのできるツールです。

候補者の知識やスキルの評価は、人材像の一部に過ぎません。社員のより全人的な像をつかむためにアセスメントデータを使う企業はますます増えてきました。たとえば変化対応力や協調性、リーダーシップ、また、価値観が企業目的と一致しているか、などです。

俗説2:
アセスメントは採用ツールである
事実:

職務に適切な人を見極めるには多大な時間とリソースが費やされます。しかし、新規採用であれ社内異動であれ、意思決定5件のうち1件は、「まずい」もしくは「後悔する」選択と思われています。アセスメントの使用は、採用、昇進、能力開発、チーム再構成などで人材に関する間違った意思決定をするリスクを最小限にします。

真の価値は、アセスメントによって生み出された有意義な洞察を使ってチームや社員グループの能力を理解することから生まれます。例えば戦略変更や新規マーケット参入に対して会社がどれくらい準備できているかを判断する際、グループレベルでの強みや能力開発ニーズや弱みについての情報の貴重な源泉となります。

俗説3:
アセスメントは候補者を怖気づかせる
事実:

実は、候補者に応募をとどまらせるのは、アセスメントプロセス自体ではなく、応募プロセスの透明性(どんなステップがあるのか、何故アセスメントが使われるのか、テストでどんな結果が出るのかなど)の欠如です。

職務への応募となると、多くの人が嫌な経験を持っているのが現実です。正しい情報が候補者に伝えられなかったり、毎日どんなことをやらなければならないかの情報が不正確だったりもしくは全くなかったりするからです。そして、応募後、会社から何の音沙汰もないことも多いです。

企業は、自社の採用プロセスのステップについて、そして、各ステップでどんなことが求められるのか、応募者に対してより透明でなければなりません。それが結果的に、候補者が持つその会社のブランドイメージを上げ、より適性のある、高い業績を上げる応募者が来ることにつながります。

俗説4:
アセスメントはごまかせる
事実:

しっかりしたアセスメントは、ごまかしを探知し、明らかにするよう設計されています。履歴書や面接での情報は簡単に脚色できますが、もし候補者がテストで回答を操作したり真のスタイルを隠そうとしたりすれば、一貫性の得点が低くなるでしょう。

アセスメントをごまかすのは簡単ではありません。信頼のおけるアセスメントプロバイダーは不正のリスクを探知して低減する安全装置を組み込んでいます。例えば、受検者がまったく同じテストを受けることがないよう膨大なデータベースからランダムで出題する、回答パターンを検討して受検者が自分のパーソナリティ特徴について誤った印象を与えようとしていないかどうかを確認する、などです。

最終的に、意図的に回答を改ざんする受検者は、ごまかしたことで自分に適性のない職務につき、職務への不満感が高まるだけなのですが。

俗説5:
アセスメントの投資効果は測定できない
事実:

人事チームは人材の採用・配置のプログラムがビジネスに与える影響を量化できなければなりません。重要指標には、社員の生産性や職務業績、将来のポテンシャル、社員のエンゲージメントなどがあります。アセスメントを通して、全ての採用や能力開発施策の価値を証明するために、人事チームは一貫してデータを測定・収集できます。

人事はもちろん、何件のアセスメントが実施されたのか、どの職務について、会社のどの部門で、など運営プロセスについて報告する必要があります。しかし、人事はまた、アセスメントのデータを人材プログラムからの他のデータと結び付けてアセスメントのビジネス価値を妥当化しなければなりません。例えば、長期的なキャリアポテンシャルの高い人はアセスメント結果が高い、などの関係を示すことができます。

アセスメントの結果を集積することで、社員の能力(と限界)について重要な洞察が得られ、ビジネス戦略に沿った人材戦略を形成できます。CEBデータによれば、近い将来、自社のアセスメントと選抜の力を向上させたいと、採用担当役員の3分の2が計画しています。ですから、もう客観アセスメントのツールを使うかどうかの問題ではなく、問題は、会社と候補者の両方がその経験からより大きな価値を得る方法を見つけることなのです。

最も重要なことは、アセスメントを使用している会社が、業績を押し上げて社員のポテンシャルを最大限に開花させるために結果を活用することです。それが究極的には会社の競争力を強固にし、成長を推進します。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

人事にアセスメントテストを導入する際に、現場からよく出る反論が5つの俗説としてまとめられています。もちろんテストの結果が全てではありませんが、情報が少ない時、また同じ土俵で人材を比較したい時など、アセスメント・ツールが果たす役割は大きいと考えます。

(文責:堀 博美)

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