SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はアセスメント活用事例をご紹介します。

第310回 事例:ネーションワイド・ビルディング・ソサエティ−組織変革にデータでインパクト

人々に権限を与え社風を変革することによって、競争の激しい市場で生き残る

Nationwide Building Society概要

  • 136年の歴史を持つ世界最大の英国住宅金融組合
  • その変わらない理念は、人々が自分の家を購入し、貯蓄を最大限に活用することを助けること。1,600万人以上のメンバーが恩恵を受けている。

課題

  • 競争が激しく、進化し続ける市場において、適切であり続けること
  • オペレーションからビジョンへ焦点を移すこと
  • より機敏で包括的な、未来志向の組織になること

結果

  • エグゼクティブリーダーの45%について、有効なデータが得られた。
  • エグゼクティブアセスメントを共同開発して自社内で実施することによって、74%節約できた。
  • 社内で最も優秀なリーダーたちには、大局的な考え方で革新的なソリューションを生み出すことができる可能性が2倍あることがわかった。

多くの組織と同様、Nationwideは既存および新規の競合他社の台頭に直面していました。適切であり続けるために、Nationwideは、サービスと作業方法を迅速に簡素化し、効率を高め、従業員が組織風土に変化の第一歩をもたらすことができるようにする必要がありました。リーダーシップレベルでは、これは一連の移行を意味します。すなわち、オペレーション焦点からビジョン焦点へ、中央管理を緩めて人々に権限を与えることへ、そして、現状に安住することからより混乱した実験的な世界を受け入れることへの移行です。これらを実行することによって、Nationwideの会員は、より機敏で、包括的で、未来に焦点を合わせた組織の心臓部であり続けることができます。

NationwideとSHLは長年、パートナーとして仕事をしてきました。これまでの研究と風土調査から、求められる重要能力が明らかになりました。それらの能力が、共通のフレームワークと明確なリーダーシップ方針を通して明確化され測定されます。新しく任命される上級管理職全員(主に取締役の下の部門長)が、Nationwideのフレームワークに沿ったアセスメント(パーソナリティ検査OPQ、意欲検査MQ、知的能力テスト)を受けます。カスタマイズされたリポートが出力され、幹部との1対1の面接に進みます。これらは、SHLとNationwideが共同設計したもので、SHLと社内専門家チームによって実施されます。

すべてのデータは特注のシステムに組み込まれ、SHLリーダーシップモデルにつなげられます。つまり、従業員のキャリアや組織への貢献に関する重要な意思決定の情報として、Nationwideの人事およびビジネスリーダーがこのデータを活用できるということです。併行して、SHLが頻繁に分析を実施してNationwideと共有し、戦略的人事チームをサポートします。

『共同創造の力を真に示すものです。SHLと協力して、私たちは現在、一連の実用的なツールを手に入れました。このツールが、リーダー集団についての価値のある有用な洞察を提供してくれます。』
(ジュリー・フォスター(Nationwideリーダーシップ開発マネージャー))

分析によって、Nationwideのリーダーのパフォーマンスとポテンシャルが明らかになり、金融、小売、テクノロジーの業界他社との比較が行われました。たとえば、戦略的に考え、学び、成長し、人々をまとめて課題を解決して有意義な決定を下すリーダーの能力がNationwideの強みでした。一方、気持ちの表し方の幅を広げ、自分の内に焦点を向けて求められる自己変革について考えることが、今後伸ばす必要のある分野です。これらは風土変革をリードする上で非常に貴重だからです。

Nationwideはまた、何がリーダーをやる気にさせるか、それが将来の方向性や背景の進化とどう合っているのか、についても気づくことができました。人事リーダーと経営会議メンバーの両方にとって、組織の能力を明確に可視化して風土変革推進との調整を行うことは、重要な手段です。どの点で社外に能力を求めるのか、社内のリーダーシップ開発の付加価値を最も高めるにはどこに焦点をおくべきか、の情報となります。

ある意味、これは終わりなき旅です。すなわち、アセスメントが前向きで能力開発的な経験を提供し、選抜や能力開発場面で腹を割った会話を生み出し、そしてそれをビジネスとして持続可能な方法で行うこと、に終わりはありません。また、人事部門やビジネスリーダーが、客観的なデータと予測的洞察を使用して、十分な情報に基づいて人材に関する意思決定を行うことの始まりでもあります。SHLは、Nationwideのさらなる変革に引き続き貢献できることを楽しみにしています。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

組織風土変革を推進する目的で、トップリーダー層にパーソナリティ検査、意欲検査、能力テストを実施した事例です。

お客様から、トップ層に能力テストを実施した事例についてお問い合わせを受けることがよくあります。ある程度年齢を重ねた人にも有効かどうか、悩まれるようです。この事例では能力テストのどの科目を実施したのかが明らかにされていませんが、私のお勧めは帰納的推理能力(「法則性」)テストです。不完全な情報から傾向やパターンを推理するもの。あいまいで複雑な環境下でビジネスの方向を舵取りするトップ層のパフォーマンス予測に有効であることが、これまでの研究でも示されています。

(文責:堀 博美)

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