堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループのネット配信「SHL Newsletter」や広報誌「Newsline」、HPから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

前回、採用選考に際しての会社側の姿勢が会社ブランドにどう影響するかについての調査結果をご紹介しました。今回は、同じ調査で特に小売業界を取り上げての分析結果が発表されていますのでそちらをご紹介します。

第56回 まずい採用方法のせいでビジネスが顧客を失うかも(その2−小売業界編)

  • 小売業界の採用チームの4分の1は疲弊しすぎており、それがスタンダードの低下につながっている
  • 応募者はコミュニケーションのなさとわずらわしい応募手続きによって失望する
  • 小売業会社にとって応募者の増加は、採用コストの増加にもつながる

経済不況以降に見られる求職者数の増加が、小売業界の採用担当者にとっての問題となっています。SHLの調査によれば、ほぼ4分の1(24%)が「疲弊している」と認めています。多くの場合、これは、採用担当者が応募者とうまくコミュニケーションできないということを意味します。17%が「最初の応募のあと不合格なら候補者に知らせることができない」、16%が「応募書類を受け取ったことを確認できない」と答えました。

一方、応募者側の調査では、ほぼ半数(49%)が、職務への応募が不成功に終わったあとその会社に対して否定的な意見を持つようです。ほぼ5人に1人(18%)が結果として「別のどこかをひいきにする」と答えました。小売業界の採用担当者が無視してきた上記の課題を反映し、コミュニケーションの欠如が求職者にとって最大の問題であるようです。トップは「合格しなかったことを通知されなかった」(46%)、続いて「応募に対するフィードバックがなかった」(39%)、「応募が受け付けられたことを知らせてくれなかった」(39%)でした。

調査の結果、「最初の採用段階で不合格になった応募者とのコミュニケーション」の点で、小売業者が最下位であることがわかりました。「コミュニケーションをしなかった」と答えた採用担当者は、他業界平均が16%であったのに比べ、小売業界は19%でした。また、同じくらいの数(20%)が「応募は受け付けたことは知らせたが、合格かどうかを応募者に知らせなかった」と回答しました。

SHLグループCEOディビッド・リーは次のように述べています。『これらの結果は小売業会社にとって心配です。マイナスの「雇用主としてのブランド」は容易に「顧客にとってのブランド」に影響します。いやな扱いを受けたと感じた応募者は別のどこかをひいきにします。これまでよりも多くの応募に対処することに採用チームが忙しいことは理解できますが、たとえ不合格であってもきちんと応募者とコミュニケーションをとり、誠実な顧客を失わないようにしなければなりません。』

応募者数の増加は「雇用主としてのブランド」を損なう可能性があるだけでなく、小売業会社にとって、かつてないほどの応募増に何とか対処するための余分の出費にもつながります。小売業の採用担当者のほぼ4分の1(22%)が、「応募増に対処するためにより多くの人数を担当するようになった」と答えており、40%が「応募増に対処できるよう時間やテクノロジー、外部リソースに余分なコストを負担することになった」と認めています。

小売業の採用担当者のほぼ4分の1(23%)が「採用段階の数を増やした」、71%が「選抜方法を追加した」と答えました。その中で多いのは、「応募要件を増やした」(29%)、「より細かく要件を設定した」(25%)、「リアリスティック・ジョブ・プレビューを導入した」(25%)です。

しかしながら、15%が「プロセスが応募者にとって煩雑になりすぎている」と認めています。5分の1(20%)は「このため応募者が別の仕事を探すことになった」、また、22%が「採用までの時間が長くなって、ビジネスに隙間ができた」、13%が「ライン管理職が採用に関与するためにより多くの時間をとらなければならなくなった」と答えました。

CEOディビッド・リーは続けて次のように述べています。『高い失業率の下、多くの小売業会社が、ますます多くの応募者がより少ない数の職務に殺到する状況に対処することに苦心しているのは当然です。しかしながら、この状況にうまく対処し、追加ツールと資源の両面で費用が大きくならないよう、かつ、応募者を公平に扱うことができなくて評判を落とすことのないようにすることが重要です。

履歴書検討や面接実施にかかる時間を最小限にするため、小売業会社が最初、もしくは採用プロセスの非常に初期の段階で、応募者をふるいにかける方法はいくつかあります。能力テストやパーソナリティ検査などのツールはジョブ・プレビューと同様、適切なスキルや経験、仕事に対する意欲を持っている人を識別することに役立ちます。さらにはその時間を節約できることで、採用担当者が応募者とのコミュニケーションにより注力でき、合否を知らせたり、フィードバックを与えたりできます。不合格になった応募者を退けるのは簡単ですが、小売業会社は、不合格になった応募者も顧客になる可能性があり、彼らを無視することは収益に影響を与えるかもしれないことを覚えておかなければなりません。』

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

応募者が顧客になる可能性は小売業界が最も高いにもかかわらず、応募者とのコミュニケーションの点で小売業界が他業界平均よりも低いことは致命的です。「雇用主としてのブランド」と「顧客にとってのブランド」は表裏一体です。

日本ではどうでしょうか?

文責:堀 博美

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