堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループが季刊で配信している「SHL Global Newsletter」の中から記事をピックアップ、日本語に翻訳してご紹介するものです。

今回は、3回に分けて連載している事例「イギリス国営くじ基金(Big Lottery Fund; 以下BIGと略)」の最終回です。マネジメント能力を開発するために、求められるコンピテンシーを明らかにし、様々な教育プログラム施策がうたれました。結果はどうなったのでしょうか?

第12回 ケーススタディ:イギリス国営くじ基金(3)

結果

BIG人事部長のジャスビェ・ボヤル氏は次のように述べている。「SHLと共同で開発したBIGのコンピテンシー枠組みが、社員の採用・評価・能力開発にフルに統合されています。様々なテクニックを用いてコンピテンシーが測定され、全てのトレーニングは1つないし複数のコンピテンシーに関連しています。社員の能力を開発する枠組みが作成され、ビジネスニーズに沿った人事プロセスが実現しています。」

バーミンガムとニューキャッスルの2つのセンター設立に伴い、様々なSHLツールを使って新規スタッフ300名が採用された。その効果は今後表れてくるだろう。2回目の社員満足度調査が実施され、初回に明らかになった領域での社員満足度が向上したかどうかがモニターされた。2007年、BIGはIPP(Investor In People)ステータスを受賞し、審査員から以下のようなフィードバックを受けた。

  • 優れたコンピテンシー枠組みが、職務プロファイル、人事考課、能力開発プロセスに結び付けられている。
  • 人材マネジメント方針に基づいて管理職のビジネス目標を設定している。
  • 人事考課プロセスに部下からのフィードバックを組み込んでいる点がよい。
  • 新しいスタッフの導入がうまくいっており、大変革の中でオペレーションが維持されている。
  • 上級管理職からのコミュニケーションが強く信用されている。
  • OJTが非常によい。

360度マネジメント能力開発プログラムと、洗練されたコンピテンシー枠組みの実用化との組み合わせが、IPPから評価されたポイントである。さらに上のレベルの賞を目指して活動が進んでいる。

また、オンライン対話型人事システム「your HR」の導入成功によって、次のようなことが可能になった。

  • 管理職とスタッフの双方でのセルフ・サービス。
  • 管理職とスタッフと人事、各々の責任の変化を反映した新しい人事方針。
  • プロセスのフローチャート、人事ツールキット、様々な文書などがすべて社内イントラネットでアクセスできる。
  • 人事への問合せを記録するヘルプデスク。その目的はサービス水準のモニターと問題点の明確化であり、人事はどんな施策を優先して計画すべきかを検討できる。
  • 社員からの質問に応えて、方針やプロセスを開発。
  • 採用プロセスのオンライン化により事務作業が低減。人事は能力開発の仕事により集中できる。
  • より高い質の人員計画、経営情報、費用節減。

BIGを担当するSHLマネジャーのイネス・ウィッカート氏は次のように述べる。「新しいコンピテンシーを中心に、選抜・職務行動管理・能力開発など様々な人事プロセスをフルに統合した頑健な人事戦略を導入できたことは素晴らしいことです」

結論

BIGの3ヶ年人事戦略は、全体の業績目標に直結している。組織のあらゆる部署の改善がこの戦略によって推進されるだろう。

上級管理職チームの能力開発プログラムは、組織リーダーに部下を鼓舞する能力を提供できるよう設計された。

ジャスビェは説明する。「コンピテンシー枠組みが全社員に価値観の構造を提供し、マネジメントチームに一貫性を確保する鋳型を提供しました」

BIGはイギリスの政府系組織の模範になろうと努力している。3ヶ年計画の半分をすぎた時点で、大きな変化が現れている。さらにその仕事は発展しつづけ、人事アジェンダは改善し続けている。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

政府系組織と言えば、日本では、組織風土が堅く保守的、意思決定スピードが遅い、などのイメージがつきまといます。イギリスの政府系組織はどうなのでしょうか? ただ、政府系であれ民間であれ、組織が大きくなればなるほど風土改革は大胆に実施しないと期待するような効果は上がらないものだと考えられ、その点でBIGの取り組みは示唆に富みます。

文責:堀 博美

バックナンバー

2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年

学会発表論文