堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Global Management Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLグループのブログの記事をご紹介します。

第263回 アジリティとダイバーシティとデジタル化に共通するものは?

答えは「人」です。仕事の新しい世界で繁栄するために、企業はなぜアジリティ、ダイバーシティ、デジタル化にフォーカスしなければならないのでしょうか?

『仕事の未来は今』とは我々が最近開催したイベントのスローガンです。イギリス、ロンドンのハムヤード・ホテルに約100名の人事担当者をお招きし、データ主導の人事意思決定によって企業がどう生産性を高めていくことができるか掘り下げました。

仕事の世界は日々、めまぐるしく変化しています。テクノロジーや自動化、データ、サイエンスなどで、様々な変化が我々の周囲に起っています。データやサイエンスに関わる職種が増えています。PWCは、デジタル・オフィサー、データ・サイエンティスト、サイバー・セキュリティ職が増えると予測しています。また、世界経済フォーラムは、仕事がよりバーチャルになりギグエコノミー(訳者註:非正規雇用が企業から単発または短期の仕事を請け負う労働環境)がブームになるため、2027年までにアメリカ労働者の大半がフリーランスになるだろうと予測しています。

しかし、これら急激な進歩にもかかわらず、イギリスやアイルランド、そして世界的な生産性レベルは横ばいです。

イベントの午後には、この生産性の問題を「アジリティ」「ダイバーシティ」「デジタル化」の3つの視点を通して解くヒントになるよう、ゲスト・スピーカーやSHLスタッフの話、参加者とのディカッションが行われました。

まず、Declan Curry(ジャーナリスト)がイギリスの生産性レベルに影響を及ぼす経済要因をマクロな視点から述べました。Brexitとテクノロジーが今日の労働力にどんなインパクトを与えているか、我々にとってどんなチャンスが現れるのか、説明しました。

次にSonia Allison-Penny(風土、リーダーシップ開発、心理測定の専門家)が、ビジネスパートナーを導いて組織のアジリティを可能にする「ナビゲーター」としての人事の重要な役割について、洞察を共有しました。変化は常なるものであり、変化を予期してそれに対応すべく備えさせることができる会社や人事だけが栄えるだろう、と述べてセッションを締め括りました。

社員のダイバーシティについては、Denis Doolan (Special Olympics, Chief Organizational Excellence)が、世界中でダイバーシティが企業の生産性向上にどう役立っているかを描きました。異なる視点やアプローチ、背景、マインドセットをもつ人材が会社に目に見えるビジネス成果をもたらしている実際の例を挙げ、「社員のダイバーシティについてできるだけ多様に考えるように」と聴衆に求めました。

次はパネルディスカッションです。デジタル化が人事と社員に及ぼす影響について掘り下げられました。パネリストはDeclan Curryを中心に、Sonia Allinson-Penny、Andreas Kyprianou(Bank of America Merril Lynch, EMEA人事部長)です。新しい職種の台頭、デジタル化に関連する不安、社員の行動を変えるチャンス、など幅広い問題が議論されました。会社のポテンシャルの充分な開花に人事が重要で戦略的な役割を果たすために、デジタル化は素晴らしいチャンスである、というのが全員一致の考えでした。

カンファレンスの締め括りはAndrew Scott(ロンドンビジネススクール経済学教授、The 100 Year Life共著者)に登壇いただき、長寿の時代が引き起こすチャンスと課題についての見解をうかがいました。「教育-キャリア-退職」という3段階の人生の時代は終わりました。人はかなり長期間働くことが必要であり、どうすれば企業と個人は生産性と福祉を維持できるかということが中心的な問題になってきます。参加者には、このパラダイム変換を、「ビジネスにおいて、キャリア移行やマルチスキル、生涯学習をどう促進できるか」という人事や会社の立場からだけではなく、「長く生きるための生計をどうやりくりできるか?自分はこの仕事を本当に75歳までやれるか?」という個人の立場から考えることが促されました。

さて、アジリティとダイバーシティとデジタル化、この3つに共通するものは何でしょうか?

ひとつめは、それらは全て、将来の繁栄のために企業が優先しなければならない、「人」の要因であることです。第4次産業革命が来ました。働き方は我々がこれまで経験したことのないペースで変化しています。ふたつめは、3つ全てが生産性を転換させる大きなチャンスを提示していることです。しかし、それを実現できるのは、人材をそのミッションに結び付けることができるビジネスだけです。

仕事の未来は今であり、人事専門家としての我々が戦略的な力になれるベストチャンスです。すなわち、トレンドを予期してそれに沿って人材を動かすこと、多様性を持ったチームを積極的に築くこと、人を通してデジタル化のポテンシャルを解き放ち加速すること、です。

イベントの最後に、顕著な改革を率いた人事チームの表彰式がありました。受賞者は以下の通りです。

  • AstraZeneca
  • Leonard
  • GKN
  • Deutsche Bank
  • Nationwide Building Society
  • Thomas Cook

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

日本SHLも年に2回、お客様をお招きしてのシンポジウム形式イベントを主催していることは、皆様ご承知の通りです。それと比べて、この記事で報告されているイベントはどのようなものなのでしょうか。規模はどうも日本のほうが大きそうですが、会場の雰囲気や活気はどうなのでしょう。

(文責:堀 博美)

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