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第373回 SHL白書『面接エクスペリエンスの実態(2022)』(4/4)


このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

SHLグループが出している白書『The State of Your Interview Experience Report (2022)』の全訳、最終回です。

第373回 SHL白書『面接エクスペリエンスの実態(2022)』(4/4)

質の高い多様な人材を採用しようとする組織は、無意識の偏見が採用決定に影響を与える可能性を最小限に抑える必要があります。偏見を低減するための重要な戦略は、面接の質問すべてが仕事に関連しているようにし、個人的な質問を避けることです。性別、年齢、民族などの属性の特定グループに、他のグループよりも数多く個人的な質問をすることはさらに問題になります。

私たちの分析では、女性応募者の 42%が個人的な質問を少なくとも 1つされましたが、男性応募者では 33%だけでした。図5は、男性と女性の両方の応募者に尋ねられた様々な種類の個人的な質問の内訳です。

また、男性の面接官は、女性の面接官よりも、応募者に個人的な質問をするようです。応募者が女性の場合、男性面接官の 43%近くが個人的な質問をしたのに対し、応募者が男性の場合、個人的な質問をした男性面接官は 35%だけでした(図6)。

面接担当者が職務に関係のない質問をする時、面接の予測力は低下し6、採用決定にバイアスがかかる可能性があります。さらに国によっては、企業組織が法的リスクにさらされます。上記の分析結果のように、あるサブグループのメンバーが他のサブグループのメンバーよりも頻繁にそのような質問をされる場合、これらの効果は増幅されます。

この白書では、面接における応募者エクスペリエンスを評価するためのフレームワークと指標について説明しました。面接エクスペリエンスは、応募者エクスペリエンス全体の中で最も影響力があるため、採用リーダーは最大限の注意を払わなければなりません。今後に向けて、私たちは、企業組織および採用リーダーに対して以下のことを推奨します。

1.「面接エクスペリエンス」を測定して追跡する

私たちの分析では、多くの面接官が会話中に適切なエチケットを示さず、応募者の全般的なエクスペリエンスに影響を与えていることが示されました。面接の会話の多くはデジタル プラットフォームを使用して実施されています7。採用リーダーは、面接の分析に役立つ『面接 インテリジェンス プラットフォーム』とその機能に投資する必要があります。リアルタイムもしくはオフラインで面接が見えるようにし、面接エクスペリエンス全体を追跡することに役立ちます。

2. 面接のやり方を組み立てる

構造面接が職務の成功を最も予測する採用アセスメントであることはわかっています8。企業組織は、様々な部署や職務プロファイルに渡って、構造化された面接のやり方を取り入れるようにする必要があります。一貫した面接エクスペリエンスを提供しながら、質の高い人材を採用することに役立ちます。『面接 インテリジェンス プラットフォーム』は、構造面接のやり方に従っているか、つまり、どれくらいの面接官が実際の会話中にこれらの慣行に従っているかの追跡を支援します。

3. 面接官トレーニング

面接官は面接中、企業組織のブランド大使として動きます。組織は面接官をトレーニングし、面接の実施方法に関するベストプラクティスを身に付けさせるための積極的な措置を講じる必要があります。面接のトレーニングは現実的なシミュレーションを通して実施できます。また、作業フローの中で自動的なフィードバックが返されて面接官が学ぶことができる学習方法(learning-in-the-flow of work)を使用するのもよいでしょう。

  1. Huffcutt,A.I., & Arthur, W. (1994). Hunter & Hunter (1984) revisited: Interview validity for entry-level jobs. Journal of Applied Psychology, 79, 184-190.
  2. The Virtual Interview Is The New Resume: What You Need To Know, https://www.forbes.com/sites/forbesbusinesscouncil/2022/05/05/ the-virtual-interview-is-the-new-resume-what-you-need-to-know/
  3. Levashina, J., Hartwell, C. J., Morgeson, F. P., & Campion, M. A. (2014). The structured employment interview: Narrative and quantitative review of the research literature. Personnel Psychology, 67(1), 241-293.

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちらからダウンロード可能です。
https://www.shl.com/resources/by-type/whitepapers-and-reports/insights-on-your-candidate-interview-experience/
本連載、特に第3回と第4回の分析結果をご覧になっていかが思われたでしょうか?
日本ではもっとポジティブな結果になるのではないか、と思いたいところですが、どうでしょう。

オンライン面接が定着してきた昨今、面接の中身を可視化することが以前よりやりやすくなりました。応募者にとってのより良いエクスペリエンスを作り出し、自社の採用ブランドを高める努力が一層必要なのではないでしょうか。

(文責:堀 博美)

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