SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、英国人事専門誌Recruitment International オンライン版に掲載された記事をご紹介します。

第131回 新卒採用者にとっての難問‐SHLグローバルスタディより

SHLグローバル・スタディによって、大学新卒の採用担当者にとっての難問が明らかになりました。研究は、大学卒業者約20万人の行動傾向とエンプロイアビリティ(雇用され得る能力)を明らかにしたものです。

SHLは新卒採用において、知的能力が高い人材だけでなく、事業の長期的業績を推進するような幅広い能力の高い人材にアクセスすべきだと呼びかけています。SHLの調査によれば、新卒のトップ人材についてあまりに狭い見方をしすぎると、会社は優れたポテンシャルを持つ有能な受検者群に接触するチャンスを逃すことになります。それゆえ、職場における成功を予測するような幅広い行動特徴をベースにした、新卒者のエンプロイアビリティを測定する新しい方法が必要です。

SHLタレント・アナリティックス・データベースからの知見では、職場における効果的なパフォーマンス発揮に必要なエンプロイアビリティを表す8つの行動傾向を示すトップ新卒人材をグローバルで見つける確率は、たった15分の1です。しかしながら、業務遂行に強い特徴(系統的であることなど)は持つが人を巻き込む力(傾聴や相談など)が弱い、もしくはその逆である新卒は、そのほぼ4倍(4分の1)います。

「新卒者の持つものと会社が求めるものの間のこの食い違いは、長年苦闘しているところです。」ユージーン・バーク(SHLチーフ・サイエンス・アンド・アナリティックス・オフィサー)は述べます。「しかしながら、もし英国の新卒採用会社が同じトップ人材をねらって他の有能な応募者を無視し続ければ、この人材不足はいつまでも継続する可能性がある、ということを我々の研究は示唆しています。採用担当者は最高の知的能力をもつ『ベスト』の新卒者に強く注目しますが、自社にとって何が『ベスト』かを必ずしも理解していません。このことが、新卒人材採用におけるかつてないほどの競争を創り出しています。」

さらに、会社はまた、新卒者定着策のまずさから、かなりの資金とリソースを失っています。新卒者の24%が『現在の仕事は面白くないし昇進チャンスがない』と答えています。CEBの調査によれば、新卒者の4分の1は現在の仕事に1年以上とどまるつもりはない、ということで、それによる英国ビジネスのコストは年間183百万ポンドと見積もられます。

トップ人材を入れることよりも、新卒者を自社にとっての『適切な』人材に育てることに力を入れるべきです。

「採用担当者は会社の将来のポジションを埋めるために、最も賢い、もしくは、全ての行動特徴を持つトップ人材が必要なのかどうか、精査すべきです。トップと分類される人材が15人に1人という確率を考えると、採用担当者は採用戦略を再考し、この少数のトップ人材を高いコストで採用することへの重点を減らすことがよいと思います。その代わり、教育研修を通じて新卒者の持つ能力を当初から開発する必要があるということを認めて、人材を『育てる』ことに集中すべきです。」(バーク)

よりバランスの取れた見方で新卒者の様々な行動やスキルをアセスメントすることによって、採用担当者は選抜基準を特定職務のニーズやビジネス戦略により密接に結びつけることができます。そうすれば、採用担当者は適切な候補者を採用してその人たちをよりうまく定着させることができ、新卒採用の投資効果や効率性が向上するでしょう。

「先々を見据えた新卒採用者は、人材についてより洗練された見方をとり始めています。ただ知的能力を評価して最も賢い人を選抜するだけでなく、職務の成功に必要な行動特徴を見ます。彼らはそれによって広い人材プールを作り出し、後々、後継者がいないというリスクに陥らないような人材パイプラインを構築しています。」(バーク)

「今回の結果は英国の採用担当者と新卒者にポジティブなメッセージを送っています。幅広い能力を開発して様々な人材ソースを検討することは、採用担当者が将来の職務についての新卒人材プールを構築し、リーダーシップ・パイプラインを創り出すことに役立つでしょう。このチャンスを最大限に利用し、学生もまた、ボランティアやインターンシップ、課外活動などを通じて会社にとってできるだけ望ましい人物に自分自身を作り上げる必要があります。最終的にはこのことが彼らの人に関わる能力を押し上げることに役立ち、いつでも就職できる状態になり挫折にも対応できるようになるでしょう。」(バーク)

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

知的能力以外の側面に目を向けること、自社の当該職務に必要な行動特徴をまず明らかにすることの重要性が強調されています。

訳者の個人的な印象では、新卒採用において欧米では資格を重視する傾向が日本より強いと感じています。日本でも大学レベルは考慮されますが、それだけでなく、自社に合うかどうかというもう少し全人的な持ち味を面接などで見極めようとする姿勢は日本のほうが強いのではないでしょうか?

文責:堀 博美

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