SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回もSHLブログから、リモートワークに関する記事をご紹介します。

第301回 平常でない時に、リモートワークを平常に感じさせる方法

リモートワークを認めることは、現実オフィスでのやり方を単純にバーチャル環境に持ち込むことではありません。非同期的に働くことが鍵となるでしょう。

「それは4月の明るく寒い日で、時計は13時の鐘を打っていた。」連休中、書斎を片付けていて、昔読んだ「1984年」の古い冊子を見つけました。ジョージ・オーウェルの小説のこの格好いい出だしは、平常時の描写と、これは平常時ではないという不吉な予感とを美しく組み合わせたものです。

この原稿を書いている今日も4月の明るい(ような)寒い(ような)日で、(時計は13時の鐘を打ってはいませんが、)平常時ではありません。多くの企業と同じように我々もこの状況に適応しようと、全面的なリモートワークに頭から突っ込みました。バーチャルに平常の仕事のやり方を持ち込む以上のことをやる時間もありませんでした。

SHLの研究から、リモートワーカーとしての成功に重要な能力が3つあることが明らかになりました。自己啓発とウェルビーイングに焦点を当てていること、コミュニケーションをとり続けて仕事上の関係を構築すること、そして、全般的な仕事習慣です。

Matt Mullenweg(WordPress社CEO)のポッドキャストを聞きながら、私はそのことを思い浮かべました。彼が設立して率いている会社は1100人を雇用していますが、全員がリモートワークです。(彼は「分散している」と表現しています。「リモート」という言葉は「中心地がある」とほのめかすからです)

Mattは、リモートワークの真の価値は、社員に目的と自律性の両方を提供することだと述べました。彼によれば、企業組織が従来と異なるこの働き方にどう取り組むかは、5つのレベルで描写されます。

オフィスに戻ることを待っている。自宅で働くことは珍しく、(できなくはないけれども、)「二日続けて」は考えられない。オフィスの自分の机に戻るまで多くのことが先延ばしにされる。
会議やコミュニケーションのすべてがZoomやTeamを使ってリモートで行われる。会社は、オフィスでの従来のやり方を―いいものも悪いものも―単に再現しているだけ。
会議の様式やコミュニケーションが、リモート環境を最適化するよう設計される。会議は、メッセージを伝達するためではなく、意思決定のために使われる。コミュニケーションはメールやチャットなどの書き文字で行われる。必要でない限り、会議は小規模で短く(2人、15分など)なり、共通理解や成果を確かめるフォーカスとして、Google Docsなどの共同作業用テクノロジーを使う。
非同期的なアプローチを取る。チームは、あたかも人々が異なるタイムゾーンで働いているかのように機能する。これにはより多くのコミュニケーション(概ね書かれたもの)が必要で、それらはすべて、会議に参加している/いないに関わらず、全員が利用できる。リアルタイムの(=同期的な)会議は最少限に抑えられ、人々は仕事や決定に対する自分の考えをじっくり検討できる。それが仕事の質を高め、会議をリードしそうな人だけでなくチーム全体からの洞察を生かすことになる。社員が自分自身のパターンを設定し、仕事は、いつどのように行ったかではなく、成果で評価される。
(到達できるものではないかもしれないが、)社員が非同期的に働き、信頼され自律性を与えられていることで力を得ているように感じる。個人の生産性を支えると同時に精神的肉体的な健全さを保つ余裕のある仕事のスケジュールを立て、高いレベルのエンゲージメントや創造性、パッションを自分の仕事に注ぎ込む。

レベル1から3の移行は、組織がリモートワーキングに適応していくことに関連しますが、レベル4と5は、非同期的な働き方を通して組織がこの新しい仕事のし方を活用することに関連します。Mullenweg氏は、これが結果として、ノーマルなオフィス環境で可能なもの以上に効率性、生産性、エンゲージメントを改善する、と結論します。

Mullenweg氏の主張には説得力があり、自分たちのチームがどのあたりにいるかを考えると興味深いです。私たちは楽々とレベル3か4にいるはずです。私たちコンサルタントチームはリモートで働くことに慣れており、チームの仕事やプロジェクトを進めるために詳細な説明と納期を付けて次の人に受け渡しながら非同期的に仕事を完了することもしばしばです。しかしながら、来週の私の予定表をちょっと見ただけで異なる姿が描き出されます。会議がぎっしりです。チームの進捗共有、週次プロジェクト会議、顧客との打ち合わせ、部下一人一人や上司との1:1のミーティング、定例チーム会、新商品の説明会などなど、数え上げればきりがありません。すべて1時間の設定で、ほとんどが参加者5人以上です。

私たちは皆、ロックダウン状態に適応しつつありますが、仕事のスケジュールをパートナーと調整したり、ブロードバンドへのアクセスでルームメイトと争ったり、子供をホームスクーリングしたりしている人は多いです。私たちは異なるタイムゾーンでうまく仕事をすることができます。非同期的に働くことがこれまでにないほど我々に必要です。ただ適応するのではなく、これまでと違う考え方をしてこの非常時を活用するチャンスなのです。

そこで、私は自分のチームがリモートワーキングのより高いレベルに移ることに役立つ3つの方策を考えました。

アップデートは前もってでき、意識決定は後でできるのであれば、会議自体にそれほどの時間は必要ありません。

ブレインストーミングをしたり問題について話し合ったりしたい場合は、その日オフィスにいる人だけでなく、リモートのチーム全体に声を掛けよう。

チームメンバーがいつでもアクセスできる集中型のコミュニケーションを使うと、それが基本的にバーチャルなオフィスのハブ(中心地)になります。そこに行くと、誰もが優先課題やドキュメントやアップデートを見ることができます。

私は私のチームが、互いの身体が近くにいないことを最大限に生かすことができるようになり、オフィスで毎日顔を合わせないメンバーとも協力関係を築けるようになるよう、精一杯手助けするつもりです。あなたは、オフィスにいたらできないことで、自宅で働いているあなたのチームの幸せを向上させるようなこととして、何をできますか?

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちらです。
https://www.shl.com/en/blog/how-to-make-remote-working-feel-normal-in-not-normal-times/

著者はEd Rivlin、SHL UKの職業心理学者集団のチーム・リーダーです。

このコーナーでは最近、リモートワークについて取り上げることが多いです。日本でもリモートワークを余儀なくされていた会社、社員は多かったことでしょう。多くの人にとってはほぼ初めての経験。ほぼ1か月強、リモートワークを経験してみていかがお感じでしょうか。実際、不便なことも多かったですが、リモートワークの利点、新しい働き方へ向けてのアイデアなど前向きな印象を持った方もかなりいらっしゃるのではないでしょうか。

先週、緊急事態宣言が解除されましたが、世の中は以前のように、全社員がフルに毎日出社して働く、という状態にだんだん戻っていくのでしょうか。そうではない、新しい働き方が育っていくような気がします。

(文責:堀 博美)

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