SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループが季刊で配信している「SHL Global Newsletter」の中から記事をピックアップ、日本語に翻訳してご紹介するものです。

今回はSHLグループの研究成果に関する記事“What learning personality do you have? Asks SHL.”(2008年夏号)を採り上げました。パーソナリティと学習スタイルの関係に関する研究です。

第14回 あなたはどんな学習パーソナリティをもっていますか?SHLにお尋ねください。

SHLの研究によって、個人のパーソナリティが最も効果的な学習方法に影響することがわかった。また、eラーニングも教室形式の学習も、どちらもそれだけでは最適ではないことも明らかになった。

SHLの研究によれば、教室形式学習とオンライン学習のどちらを好むかに個人のパーソナリティが影響する。eラーニングと対面学習のどちらを好むかは個人によって大きく異なり、大多数の人にとっては純粋なeラーニング方法や純粋な教室形式学習のどちらもふさわしくない。

この研究はOPQを用いたもので、どんなパーソナリティ次元が学習スタイルに影響しているか、それが当人のニーズにどういう意味を持っているか、を明らかにすることが目的であった。トレーニング効果を最大化したい企業にとっては、社員のモチベーションを理解することがとりわけ重要である。

研究では教室形式の研修コースに参加した人からデータを収集した。コース中にOPQ、コース終了後に学習環境要因に関するアンケートを実施。アンケートでは次の8つの要因について、それぞれの重要度を評定していただいた。

  • いつ作業をするかを選べること
  • フィードバックを受けられること
  • 自分のペースで学習できること
  • グループで学習できること
  • 自分の作業を振り返ること
  • 学習する場所を選べること
  • インストラクターにその場にいてもらうこと
  • 自発的に学習すること

OPQ結果とアンケート結果の関係が調べられ、パーソナリティのどの分野がeラーニング環境要因(自発的な学習、自分のペースで学習、など)に一致し、どの分野が教室環境要因(インストラクターの存在、グループでの学習、など)に一致しているか、が明らかにされた。

主な結果は以下のとおりである。

  • eラーニング環境要因をより重視する人は、売り込みや交渉すること、人をリードすること、情報を批判的に評価することを好み、抽象的な思考に興味をもつ。
  • 逆に、教室環境要因をより重視する人は、グループの中にいることで生き生きし、人と一緒にいることが好きで、多様性を求め、自分の意見を表明することを楽しむ。

これらの結果について、SHL UKトレーニング部長のティム・エバンズは次のように述べる。「インストラクターによるトレーニングに比べ、eラーニング・ツールを用いることには多くの利点があります。例えば、学習者中心、柔軟、自分のペースで進められる、一貫性がある、低コスト、などです。しかし、研究から、人々のパーソナリティは実に様々であり、そのことが、対面学習やeラーニングのそれぞれどの面が自分にしっくりくるかに影響を与えていることがわかりました。」

「トレーニングを設計する際、受講者のパーソナリティによって求めるものが異なることを念頭に置く必要があります。全てのパーソナリティ・タイプにとって効果的であるために、eラーニングはわかりやすくて、双方向的、動きがあり、受講者を巻き込むようなものでなければなりません。できれば、オンラインと教室の両方が混ざって構成される形式がよいでしょう。」

人事・研修担当者へのヒント

社員をeラーニングのプログラムに参加させることを検討する際、以下のヒントをご参照ください。

  1. 事前にeラーニングの内容を検討する。
    • 受講者を巻き込むようなもので、双方向的か?
    • 興味深く、変化に富んでいるか?
    • フィードバックが提供されるか?
    上記の問いへの答えが「はい」ならば、楽しい経験になり、学習が進む。学習の効果が上がると考えられる。
  2. そのシステムは、受講対象者のパーソナリティにとって魅力的な様々な側面を含むよう設計されているか?研究成果によると、学習経験が魅力的なほど、学んだことが職場に長期的に転移される。
  3. 電話かeメールによるサポートが参加者に提供されるかどうかを確認する。研究成果によると、学習中にチューターのサポートに大きく頼る人もいる。
  4. 自社の社員のパーソナリティと学習スタイルを考慮に入れる。パーソナリティ・タイプが異なれば学び方も異なる。あるパーソナリティの人はグループでの学習をより楽しみ、同僚や上司から認められることを重視する。
  5. eラーニングを選ぶ場合、せかされることなく適度に作業を進められるよう充分な時間をわりあてる。研究成果によると、人は、リラックスして自分のペースで作業を進められるほうがより学習する。
  6. コース終了後、参加者が何を学び、それを職場にどう活用できるか、に興味を向ける。対面で話し合う機会があれば、受講者は自分が時間をかけて会社の利益になるようなことを学んだと認められたと考える。
  7. 純粋なeラーニングのコースでは、受講者が自分のことを自分ででき、自ら進んで実行し、くつろぎながら一人で学べることが理想である。
  8. 変化に富んだ作業を好み、オンラインの学習システムにすぐに飽きてしまう人もいる。単元が早いペースで進み、飽きさせないようなものであるようにしなければならない。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

近年eラーニングとして様々な団体が様々なコースを提供しています。
当社もユーザー企業のご担当者様に向けて、OPQの活用と解釈の技術を深めていただくための「オンライン版OPQコース」をご用意しています。楽しく魅力的なものになるよう、プロファイル解釈の演習で音声を取り入れるなどの工夫がされています。以前は対面講義形式での「OPQコース」も開催していました(現在は休止中)。そこでは、参加者同士のディスカッションの時間をとるなど、集合形式ならでは長所を生かした運営を心がけていました。
「学び」は何才になっても大切なことです。仕事だけでなく、趣味などプライベートなものでも、新しい知識やスキルを身につけるのは楽しいこと。自分にとってどんな学び方が一番適しているのか。パーソナリティ・ツールの活用の幅がまた一つ広がりました。

文責:堀 博美

タレントマネジメ
ントコラム 日本エス・エイチ・エルの人事コンサルタントの視点

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