堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループのネット配信「SHL Newsletter」や広報誌「Newsline」、HPから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は先日プレス発表されたSHLグループの調査報告の記事です。

第55回 まずい採用方法のせいでビジネスが顧客を失うかも

  • 調査結果によれば、「雇用主としてのブランド」が「顧客にとってのブランド」にますます関連付けられるようになっている
  • 応募者は会社からコミュニケーションがないことで失望する
  • 疲弊した採用担当者は、採用のスタンダードをつい落としてしまう

SHLの調査によれば、イギリス成人の約半数(49%)が、職務への応募が不成功に終わったあとその会社に対して否定的な意見を持つようです。1600人が回答したこの調査から、採用でいやな採用をすることはよくあることだとわかりました。過去に採用でいやな経験を「2〜3回した」と回答したのは約4分の1(24%)、「4〜5回もした」と回答した人は6%でした。

ビジネスへの影響は重大です。「採用でいやな経験をした」と答えた人の約5人に1人(18%)は、直接の結果として「その会社とビジネスすることを実際にやめた」と述べています。行動に移す割合が最も大きいのは25才〜34才のグループです。4分の1以上(28%)が「別のどこかをひいきにする」と述べており、生涯にわたる顧客となる可能性のある人々をビジネスが失う重大なリスクを冒していることがうかがえます。

いやな経験の中身について尋ねた結果、トップは「合格しなかったことを通知されなかった」(46%)、続いて「応募に対するフィードバックがなかった」(39%)、「応募が受け付けられたことを知らせてくれなかった」(39%)でした。最もびっくりするのは、「面接を終了した後なのにフィードバックがなかった」と答えた人が37%いたことです。

SHLが別途実施したイギリス採用担当者500人に対する調査によれば、不況のため採用スタンダードの低下が増えています。採用者の4分の1(25%)は、「応募数増加のため疲弊している」と述べています。そのうち19%が「今は、応募を受け付けたことを応募者に知らせることができない」、17%が「面接を受けた応募者に詳細なフィードバックをしない」、15%が「最初の応募の後、不合格だったら、応募者に知らせることができない」と答えています。

結果はまた、口コミやネット上のソーシャル・メディアのパワー、それらが「雇用主としてのブランド」や「顧客にとってのブランド」を損なう可能性があることを浮き彫りにしています。求職者の3分の1以上(36%)が「否定的な応募プロセスのあと友人や家族にぐちを述べた」、ほぼ10人に1人(9%)が「ソーシャル・メディアのサイトやブログを使って自分の不満を公表した」としています。また、4分の3以上(77%)が、「自分の友人や家族が採用でいやな経験をしたら、その会社の顧客にならないようにする」と認めています。

しかしながら、「合格できなかったけれども、その会社にいい印象を持った」という回答者が3分の1いたように、採用をうまくマネジメントする会社は恩恵を受け、「ブランド・ファン」を創り出すことができます。半数以上(57%)が「いい印象になるかどうかを左右する最大のポイントは、不合格の通知である」と回答しました。

SHLグループCEOディビッド・リーは次のように述べています。

『応募数の急増に物理的に対処できない会社が増えています。このため、残念なことに、かつてはスタンダードであったプロセスが今では無視されているのが現状です。このことは、雇用主としてのブランドに直接的に影響し、応募者は足で投票しているように思われます。若い応募者ほどひいきを別のところに移すようですから、不満を抱いた応募者の生涯に渡ってのかなりの金額をビジネスが失うことになる可能性があります。

比較的小さな投資で、会社は、顧客と、雇用主としての肯定的なブランドを維持することができ、かつ、収益に与える影響を最小にとどめることができます。しかし、最も重要なこととして、応募者もまた顧客であることを念頭においておかなければなりません。』

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

最後から2段落目のCEOのコメントの中、「応募者は足で投票している」とは、「voting with their feet」の訳です。「出席することによって賛成の意思を、退席することによって反対の意思表示をする」という意味で、つまり、「口に出さずに態度で示す」ということを表しています。

日本の新卒採用でもご担当者の皆様から「みん活(みんなの就職活動日記)」などの就職サイトへの書き込みにはとても注意している、というお話をよく聞きます。採用ですから合格する人の一方、必ず不合格の人は出ます。そういう現実の中、すべての学生への真摯な姿勢が会社のブランドを保つことにつながるという長期的な視点が重要なことは私が改めて言うまでもありません。

文責:堀 博美

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