SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、SHLグループのブログより、新卒採用のポイントについての記事をご紹介します。

第337回 貴社の大学新卒採用を際立たせる方法

期待とニーズが変化しています。有意義で魅力的な大卒採用プロセスを作り上げることはそれほど単純ではありません。貴社の採用戦略を次のレベルに引き上げるために何ができるでしょうか。

2021年9月28日 カレン・マックローリン

ヨーロッパ全体で求人数が増加しています。英国だけでも100万人の求人広告があり、その数は2001年以降の最高記録です。

これは、パンデミックの影響を最も受けてきたと言われるZ世代にとって朗報です。2025年までにこの集団は世界の労働力の約27%を占めるようになるでしょう。5500人を対象とした最近のAdobe調査によると、この集団の56%が転職を検討しています。今こそ貴社の大学新卒採用戦略を再考する時です。どのように彼らを惹きつけ、採用し、定着させればよいでしょうか。

新卒で初めて仕事に就く人にとって、この1年半は特に大変でした。卒業後、就職できなかった期間が長かったり、完全な在宅勤務だったりが原因で、Z世代は貴重な仕事経験やトレーニングを得ることができませんでした。しかしながら、彼らは完全にグローバルでデジタルな最初の世代です。ユニークな知識とスキルを持っており、デジタルコラボレーション、創造性、分析能力などの分野で重要な行動上の強みを示します。

コロナ禍が、物理的な働く時間と場所だけでなく、従業員の仕事に対する態度にどのように大きな変化をもたらしたかについて、数多くの研究があります。若い従業員は特に、真の意味でのダイバーシティと自分自身を職場で活かすことの重要性を認識し、価値を置いています。彼らは、人とのつながりや自分たちのアイデアに耳を傾けてもらえること、明確な目的を持つ組織で働いて何らかの形でコミュニティに還元することを大切にします。

不確実な時期、多くの組織の根底にある価値観と前提は、「探求と創造性」から「安全と回復力」に移行します(Kniffenら, 2020)。たとえば、世界中の14万5000人の労働者を対象に実施された最近のLeesman調査では、在宅勤務者の28%が「在宅中は創造的な仕事で共同作業を行うことができない」と回答しました。新入社員は特に、リモートワークという障壁の影響を受ける可能性があります。昨年7月にフィナンシャルタイムズで報告された新卒者に関する最近の調査では、最近の新卒者からの、同僚と関わってバーチャル環境で影響を与えるのに苦労したさまざまな話が述べられています。「会議でうまく口をはさむことができなかった」、「仕事と家庭の境界に対処するのに苦労している」、「会社にとって自分は単なるメール・アドレスだと感じる」などです。この世代にとって、社会的なネットワークを構築し、共同で創造し、学び、企業文化につながる機会は強く見落とされてきました。

この世代の従業員を私たちの職場に惹きつけるための答えは、まず、対面の職場環境を約束することであるように思われるかもしれません。しかし、それほど単純ではありません。 そのような大雑把なアプローチは、自分独自のニーズや状況に対するパーソナライズされたアプローチを重視する世代に機能しません。実際、Bright Networksの最近の調査によると、新卒者の94%は少なくともいつかはオフィスにいたいと思っていますが、ほとんどの人は何らかの形の柔軟性を望んでいます。成功している組織は、この態度、価値観、行動の変化を認識して予測し、従業員のライフサイクル全体で、より強化されたよりシームレスなエクスペリエンスを作ることに投資しています。 募集から入社および能力開発までのサイクルの各段階に、人とのつながりを中核とした意図的でパーソナライズされたエクスペリエンスを吹き込むことが、将来のエンゲージメントと最終的には組織の成功の鍵となります。

  1. 母集団形成とアセスメントにおけるエクスペリエンスに投資する――この世代を惹きつけ、つながり、関与させるために、これらのエクスペリエンスを貴社の目的、文化、価値観、および人々にどのように溶け込ませることができるかを検討してください。私たちは長年にわたって幅広いクライアントの新卒者およびキャリア初期の人々のアセスメントプロセスを設計・提供してきましたが、変わらないことが1つあります。それは、「人は信頼できる人から買う」ということです。応募者は、出会う人々、彼らが語る組織の目的、文化、価値観、働き方のストーリーを基に、その組織で働きたいかどうかを決定します。このことは、1万5000人の学生と最近の卒業生を対象としたBright Networksによる最近の調査によって裏付けられています。40%が「職務選択の際、人と文化が最も重要である」と述べています。できるだけ早い段階で応募者と従業員をつなぐ方法、貴社のユニークな文化、価値観、目的、その職務で遭遇する可能性のある状況の種類などを、従業員が理解できるようにする方法を検討してください。さまざまな新しいテクノロジーが利用できるようになり、これまでよりはるかに幅広い多様な応募者に到達することが可能になりました。これは貴社が活用すべき力です。
  2. 貴社従業員の文化エクスペリエンスに投資する――リモートやハイブリッドな働き方への移行に伴い、それが企業文化に与える影響についての疑問が上がるのは当然です。職場や同僚と物理的に離れていること、そして、給湯室での会話や休憩時間の雑談などがなくなってしまったことは、従業員の組織との感情的なつながりを損ないました。バーチャルの仕事経験しかない人々にとって、その「属している感覚」はあまり育っていません。「ハイブリッド」な働き方の次の段階に進むには、組織文化の再活性化に本当に投資することが組織にとって重要になります。これは簡単な課題ではないでしょう。自宅勤務を選択する人とオフィス勤務を選択する人に等しく伝わる文化をどのように構築しますか?排他的な小集団が形成されるのを防ぎ、すべての人に平等な機会を与えるにはどうすればよいですか?自分が属していると感じる場所で自分が大切にされていると感じ、心理的に安全であり、真の自分であることができるような文化をどのように作り出すのでしょうか?文化は一朝一夕に構築されるものではありません。それは、途中で何度も行ったり来たりする終わりなき道です。おそらく、まもなく、「チーフ・カルチャー・オフィサー」という役職がより一般的に見られるようになるでしょう。
  3. 一人一人に合わせた能力開発エクスペリエンスに投資する――SHLのデータによれば、新卒者は組織にいくつかの重要な強みをもたらす一方、彼らも私たち皆と同じようにいくつかの分野でサポートを必要とします。このことは、私たちが学生や卒業生から聞く話やより広範なグローバル調査の結果と一致しています。最初の職務での最初の12〜18ヶ月が極めて重要です。この期間、新入社員は、職場での人間関係の構築方法、ビジネスセンス、立ち直る力、プレゼンテーションスキルなどの重要スキルを学びます。これらはすべて、ビジネスに不可欠なスキルと、自分の意見やアイデアを会議で披露する自信を習得するための道を開きます。先に述べた調査によると、回答者の95%が雇用主によって直接スキルアップされたいと考えており、コーディングとビジネスセンスが最も取り組みたいスキルです。多くのビジネスリーダーは、このようなスキル開発の「ギャップ」が今だけでなく、長期的なキャリアに与える影響についても心配しています。この潜在的なギャップを埋めるためには、一人一人に合わせたオン・ザ・ジョブのサポートとメンタリングが、新入社員グループにとってかつてないほど重要になってきました。ここで重要なことは、得られた客観的なアセスメントデータを使用して、自分がどこで優れているか、どこでより多くのサポートが必要かを従業員が理解し、成功するために必要な将来のスキルを開発できるようにすることです。

昨年は会社とその従業員にとって他に類を見ないものであり、私たちの若い世代の労働者はさまざまなふうに最も深刻な影響を受けました。この世代の若年労働者は、他の世代がキャリアを軌道に乗せたり軌道に戻したりするために必要だったものとは違う、仕組みや学習、能力開発の機会とサポートを必要としています。

貴社の新卒および若手採用で候補者にとって有意義な採用エクスペリエンスを生み出すお手伝いをさせてください。私たちのソリューションは、会社の文化とすべての候補者の具体的な価値についての深い洞察を可能にします。これは、採用プログラムを、卓越したパーソナライズされたエクスペリエンス、仮想ツール、およびビジネスが現在直面する課題に対する比類なき科学が満載された、強力で意味ある旅に変えることによって実現します。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2021/how-to-make-your-graduate-recruitment-experience-stand-out-from-the-crowd/
この話題に関連する資料として、「2021年大学新卒採用ガイド( 2021 Graduate Recruitment Guide)」をSHLグループのホームページからダウンロードすることができます。

日本でもコロナによる混乱はやや収まってきたように感じます。朝夕の通勤電車がこころなしか混んできました。これから私たちの働き方はどう変わっていくのでしょうか?どう変わるのがベストなのでしょうか?

人事部門にとって、「若手社員の育成・定着」という課題のウエイトが大きくなるような気がします。

(文責:堀 博美)

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