堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はGuardian Careersからの記事をご紹介します。

第163回 世界の会社員は仕事に何を求めているか?

会社は社員の生産性を高めるための新しい方法を常に探しています。たとえば、グーグル社が朝食を無料で提供したり、ヴァージン社には無制限の休暇を取れる人がいるとリチャード・ブランソンが公言したりです。

しかし、社員は実際、仕事に何を求めているのでしょうか?ジーン・マーティン(CEB取締役)は次のように述べています。「多くの会社が、スタッフを最も動機づけるのはお金であると間違って思い込んでいます。しかし、採用にお金をかけることは最も非効果的な選択肢なのかもしれません。特にイギリスにおいてはそうです。もちろん給与は重要です。しかし、イギリスの社員の大多数は給与を一番に求めているわけではありません。その代わり、彼らが気にかけるトップ3は、ワーク・ライフ・バランス、勤務地、安定性です。」この発言は「CEBグローバル労働市場調査」の結果によるものです。調査では世界の18,000人に、どの会社で働くかを選ぶ際に重視する要因の上位5つを順位づけてもらいました。

ワーク・ライフ・バランス

イギリス社員の優先順位の1位はワーク・ライフ・バランスです。半数以上の人(53.7%)が1位におきました。オーストラリアやシンガポール、インドの社員も同じです。

「ワーク・ライフ・バランスは幸せを創り出します。仕事をすればするほど、人間関係が緊張したものになる可能性が高まります。我々を幸せにするものは家族と人間関係である、というのは様々な心理学研究で現れる結果です。」(エンマ・ケニー 心理学者)

しかし、仕事や会社を選ぶ際に、このバランスを達成できるかどうかを確認するにはどうしたらよいでしょうか?ケニーは面接が最も良い機会である、と言います。「スタッフの退職率、労働衛生、職務の在任期間について質問するとよいでしょう。人を会社の中心においているかどうかがわかります。」

自分に長時間の残業が期待されているかどうか、代休をとることについてどう考えているか、質問してください。ケニーはまた、自分の直感や面接中どう感じたかを信じて会社を判断するようにと勧めます。

安定性

ブラジル、中国、ドイツ、インドは10個のリスト中、仕事の「安定性」を低く順位づけました。ジョン・グレゴリー(win-that-job.com就職活動コーチ兼編集者)によれば、これはそれらの国の経済が比較的順調だからです。しかしながら、南アフリカ、イギリス、アメリカ、カナダは不況の影響を受けており、「安定性」がより望ましいものとして上がっています。

もしあなたが会社に安定性を求めるならば、採用活動の過程でその会社の人々の行動や対応を見るように、とグレゴリーはアドバイスします。「一貫性の無さは社内のストレスを示唆し、それは業績上のプレッシャーを意味しているかもしれません。混乱の証拠は仕事が安定している可能性が低いことを示します。」

会社や仕事についてよく調べておくことも、あなたが会社で安定したポジションを持ているかどうかを評価するのに役立ちます。マーケットにおける会社の業績、最近の開発、業界内の順位、野望や将来計画を見なさい、とグレゴリーは述べます。

昇進機会

イギリスは昇進の重視度を5位におきました。しかし、社員が重視する一方、会社は真剣に取り組んでいないようです。会社は社員の昇進や人材活用があまりうまくない、とキャリアコーチのハンナ・モートンヘッジは感じています。そして社員の側も、自分のキャリア志望を会社にわからせるための努力を十分にしていません。ですから、あなたが就職したら、上司に自分がどうなりたいかを伝えることが重要です。

「自分のキャリアを適切に研究しようとしない人をよくみかけます。会社はキャリアについて熱く語ることが大変上手ですが、本当にそうなのかどうか、内部情報を得る努力をしてください。自分のネットワークを使い、その会社で実際に働いている人で実際の姿を話してくれる人を見つけてください。」(モートンヘッジ)面接で面接官をうんざりさせることなく適切な質問をすることも、昇進や能力開発のチャンスについて見つけ出すために有益な方法です。

勤務地

引っ越ししたくない人にとって、会社を選ぶ際にオフィスの場所が決定要因であることは多いです。イギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ドイツ、北欧地域の人々は、これを上位4位以内に置いています。

勤務地は働いている間ずっと、多かれ少なかれ重要となるでしょう。例えば、会社の本社移転は社員に大きな影響を与えます。ローラ・クーパーの会社はバークシャーにある風光明媚な田園地域の納屋を改造した建物から、リーディングの都心に移りました。

10マイル遠くなっただけですが、これまで30分だった通勤時間が4倍になりました。「場所という点では別世界でした。交通量の多い交差点に位置し、警察署の隣でした。これまで勤務地が自分にとってこんなに大きな問題であると思ったことはありません。前職ではロンドンへ通勤していましたが、それが大変だとは思いませんでした。」クーパーは結局、自宅で自分でビジネスを始めることでその問題を解決しました。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

この記事のもとになった調査(CEBグローバル労働市場調査)では、「給与」「休暇」「安定性」「昇進機会」「能力開発の機会」「尊敬」「倫理」「ワーク・ライフ・バランス」「勤務地」「承認」の10個の選択肢から、就職の際に重視する上位5個を選んでもらいました。報告書にはサンプル人数の多いイギリス、アメリカ、オーストラリア、中国、インド、東南アジアの国別データも掲載されています。それによると、1位が「給与」なのはアメリカと中国、それ以外の地4地域は「ワーク・ライフ・バランス」が1位でした。その他の国々も含めたサンプル全体(17,838人)では1位は「給与」です。

文責:堀 博美

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