堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループのネット配信「SHL Newsletter」や広報誌「SHL News」、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

SHLグループChief Scientist のEugene Burkeによる「職場の安全管理に関するSHL白書」を3回に分けてお届けしております。今回が最終回です。

第74回 安全のDNAを分解する(3) 〜職場事故はなぜ起き続けるのか?

事例:職場における安全管理・リスク管理に対する全体的アプローチ

安全がどのようにうまく管理され、社員に伝えられているかを示すデータとして、多くの企業が安全風土調査を使っています。これらが有益なツールであることは間違いありませんが、本論文で提起された疑問は以前残ります。すなわち、「安全の認識が実際に安全行動に帰結するかどうか」という疑問です。リスク耐性の根底にある行動傾向のデータがなければ、会社は、社員が安全についての言動を一致させるかどうかを知ることはできません。次の事例は、安全やリスクについての会社の理解強化に、セイフティ・ファイブという直接的なデータを組み込むことでSHL安全モデルがどう役立つかを明らかにしています。

クライアントは製造業のグローバルリーダーです。安全やリスク耐性の全体像をつかもうと、様々な部門や職種、階層に渡るデータを収集しています。より伝統的な調査や安全監査情報に加え、プロジェクトにはSHL行動アンケート調査が含まれています。調査データは次の2つのレベルで活用されます。

マクロレベルでデータは、会社のどこに行動面のベストプラクティスがあるかを示してくれます。つまり、どの職場のどのグループがセイフティ・ファイブに照らしての強みを持っているか、です。データはまた、人為的エラーを減らすための安全施策と同時に、セイフティ・ファイブに関して最も緊急に対処すべき具体的な行動を明らかにします。

ミクロレベルでは、個々の職場にデータがフィードバックされます。職場のリーダーたちが、自分たちが対処すべき重要行動を理解し、能力開発や進捗管理に役立てることができます。

下の図に示すとおり、このプロジェクトは、「社員の採用・配置・管理方法」や、「研修プログラムで行動により焦点を置くようにすること」、「ギャップを埋めるために方針や手順を見直すこと」など、会社がリスク耐性や安全に総合的かつ系統的にアプローチできるようになるための知恵を提供します。データはまた、行動に焦点をおいた安全リーダーシップ・プログラムを開発して具体化することにも使われます。

安全のDNAとは何か?

その答えは行動傾向にあるとSHLは考えます。人材管理戦略や施策において企業を支援するという立場から、我々は「安全リスクの軽減は企業の人員配置にはじまること」、「安全の等式の中にそもそもの最初から人の要素を入れておくこと」を提案します。安全が重要な職務における採用で、多くの企業がSHLツールを用いることの価値を見出しています。

それらの企業はまた、行動面に焦点を絞ったモデルやツールの使用が、既存社員の能力開発に強力で効果的なアプローチを提供すること、安全やリスク管理への企業投資が報われることを見出してきました。

我々はこの論文を「なぜ、教育や安全遵守への投資が、職場での大きな事故や絶え間ないコストを避けることに充分でないのか」という問いからスタートしました。安全は、系統的で全体的、行動的なアプローチを通してのみ改善される、というのが我々の答えです。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

タイトル「安全のDNAを分解する」が示唆するのは、「安全」の根底にそれを情報として次々と伝えていく遺伝子のようなものが存在するのではないか、ということだと思います。「安全」を分解していくと最後は「人」に行き着きます。

対策として本稿で主張しているのは、人の行動面に焦点を当てたアプローチです。まず、事故やミスと関係する行動傾向を可視化する。並行して、携わる人の行動傾向を明らかにする。ふたつを照らし合わせ、そのギャップから対策を立てる。この3ステップ・アプローチが、パフォーマンス管理に人事測定ツールを活用するときの基本です。

文責:堀 博美

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