堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、イギリス人事専門誌HR Grapevineのオンラインページに掲載された記事『Melson Mandela’s Legacy: Optimism』をご紹介します。

第141回 ネルソン・マンデラ氏の残したもの

南アフリカのアパルトヘイトに対する戦いが最も激しかった頃、この国の差別のないよりよい未来への見通しは暗いように思われました。ネルソン・マンデラ氏が世界中のリーダーたちに残したものは、そういう時でも南アフリカの人々の気持ちを掻き立ててやる気にさせた彼の楽観主義にあります。

27年間の収監中およびその後、楽観主義はマンデラ氏のリーダーシップスタイルの大事な側面でした。「私は基本的に楽観主義者です。それが生来のものか、育ってきた環境によるものかは、わかりません。楽観的であることの一部は、頭を太陽のほうに向け、自分の足を動かし続けて前進することです。人間というものへの私の信頼が厳しく試されるような暗い時はたくさんありました。しかし、私はあきらめて絶望するようなことはしたくありませんでしたし、できませんでした。それは敗北であり死です。」

マンデラ氏の偉業は、国家であれ会社であれ、変革の時には楽観主義を保つことがリーダーにとって特に重要であることを示しています。ニック・ショー(CEB UK&アイルランド コンサルティング・ディレクター)は次のように述べています。「強いリーダーは、変革がうまく行われるよう、部下に指示を出すと同時に、彼らを動機づけ彼らのためのサポートを獲得しなければなりません。」

楽観主義を保つことはマンデラ氏にとって必ずしも簡単なことではありませんでした。1974年、ロベン島での獄中生活で、彼は、「あまりの切望に私の心臓が押しつぶされ、止まりそうな時があります」と手紙に書きました。

これは彼が自伝「自由への長い道」で繰り返し書いている気持ちです。楽観主義が不可能に思えたような暗い時代について、「あらゆるものを疑問に思い始めます。私は正しい判断をしたのだろうか? 私が払った犠牲にはそれだけの価値があったのか? 独房の中ではそれらの疑問がつきまとい逃れる術はありません。」と書かれています。

しかし、マンデラ氏が継続して南アフリカを指導する立場に進むことができたのは、楽観主義と信念でした。「肉体が試されている時でももし気持ちを強く保つことができれば、人は耐えられないものも耐えることができる、と私はわかりました。強い信念が剥奪の中で生き延びる秘訣です。お腹がからっぽでも精神は満たされているということができるのです。」

マンデラ氏をこのような偉大なリーダーにしたのはこの不屈の精神です。「優れたリーダーは当初の目的をやり遂げようと立ち直る力をもっています。挫折に対処し、最終的に成功を収めます。」(ニック・ショー CEB)

マンデラ氏の経験は、逆境に直面しても楽観主義と信念を保つことが、いかに周囲の人を動機づけてたゆまぬ努力をさせ続けることができるか、についてリーダーたちに重要な教訓を与えます。米国大統領バラク・オバマ氏はマンデラ氏の死に対して次のように述べています。「周囲の人の自由のために自分自身の自由を犠牲にするという、彼の尊厳と不屈の意思を通して、マディバ(訳者註:マンデラ氏の愛称)は南アフリカを変え、我々全てを動かした。囚人から大統領へという彼の道のりは、人間と国家はより良い方向に変わることができることを示した。」

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

マンデラ氏は2013年12月5日に95歳で死去されました。私は、44歳から71歳まで27年間も獄中にあったという事実に改めて衝撃を受けました。27年間……長いです。

文責:堀 博美

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