SHLグローバルニュース


このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、SHLグループのブログより、セールスのトランスフォーメーションに関する記事をご紹介します。

第334回 セールストランスフォーメーションに影響を与える3つの外部要因

B2Bセールスのトランスフォーメーションにつながる3つの重要な外部要因と、貴社のセールス部隊を次のレベルに引き上げる方法について学びましょう。

2021年7月6日
アンドリュー・ネレセン

デジタルトランスフォーメーションの急速な動きは非常に多くの企業や組織に影響を与えていますが、セールス機能が最も影響を受けることが多いです。65ものセールス組織がセールスの生産性を最大の課題と考えており、そのほとんどは適切なセールス人材がいないと考えています。一部では真実かもしれませんが、この考えは外部からの影響を無視しています。私たちはセールス機能を研究し、この急速に変化するセールス環境でセールス担当者が成功するために欠かせない要素を調査しました。セールスチームのパフォーマンスに劇的な影響を与える3つのマクロダイナミクスを見出し、これらのダイナミクスを考慮することでセールス担当者のパフォーマンスを劇的に改善できることが分かりました。実は、多くの組織が望んでいるセールストランスフォーメーションの中心にあるのは、この3つのダイナミクスなのです。

  1. 急速に変化する外部環境。データ・分析・テクノロジーを新しい方法で活用します。
  2. 急速に進化した顧客行動。売り手が買い手と提携し、協力することが求められます。
  3. セールスの成功に不可欠な新しい基本要件

次のセクションでは、それぞれの要素について詳しく説明します。

外部環境はこれまでとは根本的に異なります。この変化する環境のニーズを満たすために、世界中の多くのセールスリーダーがデータとデジタル戦略を採用してセールスプロセスを強化しています。データの使用と分析は、B2Bのセールストランスフォーメーションの中核です。

さらに、パンデミックは、典型的なセールスモデルと対話の仕方に新たな変化をもたらしました。従来の対面セールスから、完全にリモートのセールスプロセスが可能なデジタル販売への移行です。念のために言っておきますが、パンデミックの前にリモートセールスのトレンドはすでに存在していました。10人中9人のセールスリーダーは、顧客がデジタルセールスを好むようになったため、デジタルセールスモデルは来年以降も続くと考えています。

現代の買い手は、何かを購入する前に学習することが多いです。買い手は、これまで以上に、自分たちの問題と選択肢を調査し理解することに多くの時間を費やしています。実は、今日では、購入プロセスの60%近くが、セールス担当者が関与する前に完了していることが判明しました。この変化により、買い手の学習をサポートするためにどのようなデジタル資産を用意すべきかを再考する必要が生じました。多くのセールス部門は、この顧客の進化をよりうまくサポートするために、マーケティングアプローチを包括的に見直しています。現在、B2Bの買い手の90%が購入前にインターネットでキーワードを検索しており、75%がオンラインビデオを見て情報を収集しています。
我々は自分たちのセールス機能を「押す」より「引く」ように進化させてきたので、問題は、買い手がベンダーまたは購入要件について意思決定をするための十分な情報を持っているかどうか、ということではないのです。買い手は情報が多すぎて、オプションや要件に圧倒され始めています。彼らは自分が最善の選択をすることができるかどうかを疑うようになっています。信頼できると思われる情報であっても矛盾していると感じられることがよくあります。異なるベンダー間の能力を比較検討するのは容易ではありません。
したがって、売り手は新しい方法で買い手と協力し、次の方法で買い手の信頼と自信を再構築する必要があります。

  1. パーソナライズし、顧客が自分自身で見つける可能性の低い適切な情報に繋ぐ。
  2. 顧客が購入プロセスで直面する可能性のある問題も含めて、情報を明確化・簡素化する。正直で、親切で、明確に。
  3. 顧客が自分では思いつかなかった質問を見つけることを助け、困難な検討に直面したときに自分自身の結論に到達するよう支援することにより、顧客の学習に協力する

SHLは、1万4000人を超える B2Bセールスプロフェッショナルの調査を実施しました 。セールスドライブ、セールスフォーカス、達成志向など、いくつかの従来のコンピテンシーは依然として重要です。しかし、新たなコンピテンシーも登場しました。それは、適応力とレジリエンスです。この2つのコンピテンシーは、下図に記載した変化の中で企業が先へ進むことを助けます。適応力とレジリエンスが十分でない場合、目標から外れてしまう危険性があります。

セールス機能の性質の変化について行ったSHL調査が、セールス人材を理解するための新たな行動モデルの作成につながったことを皆様へお伝えできることに、我々は興奮しています。この新しいモデルを使用して、新しいセールス担当者を採用する際の効率を改善したり、既存のセールスチームが自分たちの長所と改善点を把握し、的を絞った能力開発をしたりすることができます。何よりも重要なのは、非常に多くの組織が直面しているセールストランスフォーメーションの課題をサポートできることです。

このモデルは従来のセールスコンピテンシーと新たなセールスコンピテンシーをまとめたもので、外部環境と顧客行動の変化に対応し、新たな現実に基づいた成功するセールス機能の基盤を築くために企業が必要とするものです。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちらです。
https://www.shl.com/en/blog/3-external-factors-that-influence-sales-transformation/

記事の最後に記載されているセールス担当者に求められる基本要件が変化しているという点につい注意をひかれてしまいますが、そのほか2つのダイナミクスに対応することも必要だと著者は述べています。
当社でも、セールスのオンライン化に伴う適性の変化に関して国内で調査を行っています。以下のリンクからご覧ください。

コロナ禍における「非接触型」営業適性の検討 日本心理学会第85回大会(pdf/1331KB)

(文責:廣島晶子、監修:堀 博美)

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