堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLグループHPのブログ記事をご紹介します。

第278回 デジタル人材不足という通説

デジタル時代に社員が成功するにはテクニカルスキルが必要だ、というのはよくある誤解です。実際はどうでしょうか。

今日、デジタル化の波が企業に押し寄せていることを考えると、テクノロジーについて考えることは当然すぎるほど当然です。至る所に新しいテクノロジーがあります。人工知能AI、ロボット、仮想現実(バーチャルリアリティ)、Eコマース、ドローン、……数えると切りがありません。そして、新しいデジタルテクノロジーは、アマゾンやグーグル、フェイスブック、ネットフリックス、ウーバーなどいくつかの世界有数企業を動かす原動力のひとつです。

つまり、この世界で成功するために必要な人材を判断する際に、多くの企業がテクニカル人材に惹かれるのは驚くべきことではありません。しかし、注意してください。この思考の流れが、デジタル時代、人材について最も流布している通説の一つを生み出しているからです。

この通説にとりつかれた企業は、自分たちが母集団形成し、採用し、保持すべき最も重要な人材はテクニカル人材であると信じています。そして、新テクノロジーのペースを見て、自社社員のほとんどは必要なテクニカルスキルを十分素早く獲得していない、もしくは獲得できないとみなします。「デジタル人材」不足が蔓延していると簡単に思ってしまいます。

公平に言うと、急激に人材不足が増している職務のいくつかは確かにテクニカルな職務です。例えば、データサイエンティスト、ソフトウェア・エンジニア、ウェブ開発者などです。しかしこれらの職務は例外であり、一般的なものではありません。

SHLはデジタル人材の得られやすさをめぐる現実を見てきました。そこで得られた証拠は、労働力全体について全く違った像を描いています。変化の速いデジタルなビジネス環境で、何百社もの企業が、母集団形成し、保持し、能力開発し、マネジメントしようとしている何百万人もの社員やリーダーたちとの仕事から浮かび上がったポイントが3つあります。

  1. ほとんどの職務で実際にテクニカルスキルが求められるが、今日のデジタルなビジネス環境で成功するために必要なコンピテンシーのほとんどは全くテクニカルスキルではない。

    それらは、学習や創造性、批判的思考、協働など、人中心のソフトスキルです。結果志向や率先垂範のような他の能力も同じくらい重要なコンピテンシーです。技術的な心得があってもこれらのコンピテンシーがなければ、今日のデジタル環境で成功しないでしょう。

  2. よりテクニカルなスキルがないこと自体は、どんな職務にも当てはまる問題ではない。

    社員が自分の仕事をしている限りにおいては、新しいテクノロジーは扱いません。職場外でデジタルテクノロジーを使うことが増えているため、ほとんどの人は職場に持ち込めるテクニカルスキルを持っています。どれだけの人がプライベートや仕事で携帯を使っているでしょうか?オンラインショッピングをしている人は?インターネットで銀行取引を実行している人は?

  3. 最後に、社員自身はこの通説に与していない。

    10人中7人が、自分は仕事で使うデジタルテクノロジーを十分使いこなしているとみなしています。多くの企業がすでに、それらツールを使うために必要なスキルを社員に身に着けさせることに成功しているのは明らかです。

「デジタル人材不足」という考えを信じることの最大の危険は、社内の大きなスキル不均衡につながりかねない、ということです。皮肉なことに、よりテクニカルな人材を求めると、この先ますますデジタル化する未来で成功するために必要な全般的な知識やスキル、能力、経験を欠く労働力を構築することになりがちです。

我々の経験では、最も優れた企業とは、自社のデジタルなビジネス環境の全般で必要な社員のユニークなプロファイルを理解することから始め、その後、人に関する客観的・科学的な洞察を用いて、それら各プロファイルに合った社員を母集団形成し、能力開発し、保持する企業です。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

ブログの著者はMark Van Buren。SHLのR&Dグループの研究リーダーです。
原文はこちら( https://www.shl.com/en/blog/the-myth-of-digital-talent-scarcity/ )からご覧いただけます。

(文責:堀 博美)

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