堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はInstitute of Leadership & ManagementのHPから記事をご紹介します。

第165回 Y世代は良いリーダーになれるか?

2025年までに世界でY世代(1980年〜2000年生まれ)が労働力の70%を占めるようになると言われています。企業の幹部職がY世代に移行することは当然で、企業はその準備に迫られています。ここで、Y世代の特徴がリーダーシップの素材となるのか、それともY世代は何をしでかすかわからない危険人物になってしまうのか、という議論が生まれます。

Barclays Corporate and Employer Solutionsのリポート『世代についての話』は、Y世代を含む様々な世代の特徴を比較しており、そのマネジメントスタイルについて示唆しています。

データは彼らがリーダー職を渇望していることを示しており、その上の世代と同じくらいエンゲージメントやモチベーションを持っていることが伺えます。64%がキャリアの継続と自己成長が最も重要であると答え、プラスアルファの責任を望んでいます。

彼らは『デジタル起業家』と呼ばれ、スマートフォンやタブレットを活用しての『自由と柔軟性』を重視します。いつも『オン』の状態で、必要な時はいつでもどこでもチームメンバーを手助けする用意があります。

「Y世代は本質的に社交的な層です。ソーシャルメディアや電話通信によるつながりやすさで、楽に効果的なコミュニケーションができます。」(MidlandHR社テクノロジー担当副社長Lawrence Knowles氏)

「そのことと、意思決定プロセスに全員が関与するような協調的なリーダーシップスタイルを彼らが求めていることとを組み合わせると、Y世代がリーダーシップをとる組織は、厳格な階層に縛られたものではなく、よりフラットになることは明らかです。」

ジョブホッパー

Y世代はまた、いろいろな経験をして領域を広げていきたいという気持ちが強いと言われています。それが優れたリーダーシップに役立つと思う人もいれば、より伝統的な価値観に根差す組織を破壊するかもしれないと思う人もいます。CEB社取締役Jean Martin氏はそれは必ずしも悪いリーダーシップ特性とはかぎらないと述べます。

「現在の組織の中で社員にいろいろな経験をする機会を与えることは、定着率と職務満足度の向上につながるでしょう。我々の1000人以上のリーダーを対象とした調査は、キャリアの中で多様な課題や環境を経験したリーダーのほうが現場での学習能力が高いことを示しています。つまり、様々な経験を持つY世代リーダーは新たな問題に対処する態勢がより整っている可能性があります。」

Y世代は要求が強く、キャリア上の期待がかなえられないとすぐに退職する、とよく言われます。Barclayの調査では、Y世代の12%が、待遇や給与に不満であれば転職を検討すると答えました。彼らのロイヤリティについての疑問が生まれます。

「Y世代は概ね、在籍期間の点で気まぐれです。そこで働いている間は極めて会社に忠実ですが、キャリアアップのために転職することはためらいません。この本質的な『身勝手さ』がチームを率いる責任者にあれば問題でしょう。重要なことは、彼らが転職を決意する前に、彼らがビジネスにもたらす利点を生かすことです。」(Knowles氏)

今日のビジネス環境において、共有ビジョンを伝え、周囲に影響を与え、チームで協力する能力は最重要です。『自分のことしか考えない』Y世代リーダーはそれをうまくやれるでしょうか?

彼らはその上の世代よりも自信家です。CEB調査では、37%が『自分は業務課題を正確に遂行できる』と回答しました。Y世代以外の世代では26%です。

「この点は、自分の信念を勇気を持って示さなければならない時、Y世代リーダーに多いに役立つでしょう。しかし、協力して働くことの利点を見失ってはいけません。」(Martin氏)

自信に満ちた世代

Y世代はまた変化を受け入れやすいようです。より適応的で革新的、効率的な仕事をサポートする新しいテクノロジーを、恐れや不安よりも楽しみや情熱をもって取り入れます。そして、究極的には、Y世代の『なんでも可能』精神がリーダーシップのよい素材となる、とキャリアコーチのPenny Davenport氏は述べます。

「彼らはブランドやファッション、トレンドに非常に柔軟です。気まぐれと言ってもよいでしょう。リーダーとしても彼らは最新の流れに乗っていたいと思うでしょう。彼らは『我々はいつもこうやってきた』という考え方にとらわれません。」

豊富な知識が利用できること、転職によるキャリアップ志向、グローバルにさらされていること ―― これらの裏面は、古い知見がリーダーシップ開発のリソースとしての価値を失ってしまうことです。

Ten Group社HR部長Jessica Chartersは次のように述べています。「複数世代が働く組織では、これまでの仕事のやり方を理解したり経験を積んだ同僚からアドバイスをもらったりすることは見逃せないリソースです。企業は、リーダーに管理職としての権限を与え、高業績の職場創出に必要なエンゲージメントを育てる重要な役割を与えるよう、一層努力しなければなりません。」

最終的に、リーダーシップトレーニングと能力開発がY世代のリーダーシップの是非を判断する鍵となるでしょう。次の世代のリーダーたちを準備させるためには、これまでの上級管理職が自分たちの知恵と知識を伝承し、有効なトレーニング・プログラムを導入することが必要です。

「Y世代は明らかに、職場でよりインフォーマルな学習プロセスを求めています。社内イントラネットにアクセスして学習素材を入手したり、同僚とのネットワーキングを通じて学ぶことができたりしたいと考えています。さらには、職場において、自分自身の学習システムを創り出す自由を期待しています。この学びの文化は秀でており、自分のトレーニングや能力開発を自分でコントロールさせることが有効です。自律性がまさに求められ、それがひいては人材を定着させることにつながります。」(Knowles氏)

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

日本では、Y世代は団塊ジュニアの次の世代です。両親ともに戦後生まれ、青年期にバブル世代を経験していません。インターネットの普及とともに成長し、PHSや携帯電話をコミュニケーションツールとして使いこなします。私の個人的な経験として、会社で雑談していた時、後輩から、「携帯がなかった時、どういう風に友人と待ち合わせしていたんですか?」と質問され、一瞬止まってしまいました。

彼らが企業幹部のマジョリティを占めるようになった時、組織の在り方や仕事のやり方はどんなふうに変わるのか、はたまた変わらないのか、楽しみです。

文責:堀 博美

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