SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回もSHLグループのブログからコンピテンシーフレームワークに関する記事をご紹介します。

第386回 貴社コンピテンシーは予測不能な世界に適しているか

現在の行動フレームワークは時の試練に耐えられるでしょうか?人材戦略の中心となるものを再定義し、組み込む時期ではないでしょうか?

フィリップ・デイヴィス
2023年8月15日

貴社コンピテンシーは新しい世界に適していますか?絶え間なく変化する世界では、ついていくことは困難です。VUCAの世界では、適応性、即応性、起業家精神、そして絶え間ない変化に対処するための成長マインドセットを採用することが求められました。しかし、パンデミックはまったく新しいシナリオを生み出し、VUCAでは不十分なように見える世界に放り込まれました。この新たな現実は「BANIの世界」と表現します(Brittle:脆弱、Anxious:不安、Non-Linear:非線形、そしてIncomprehensible:理解不能)。

新しい世界では、正しい行動を確立することが重要です。我々は最近、大退職時代を経験し、スキル不足の増大と相まって、適切な人材を惹き付け、維持することがあらゆるHR部門の最優先課題となっています。人材獲得戦略に正しい行動を組み込み、従業員への明確な価値提案を通じて企業文化を正確に伝えることが重要になります。

この不確実な世界では、各セクター・業界・機能が、最大の成長と持続可能性を達成し、同時に利益を守るために自らを改革する必要があります。新たな戦略を推進し、成功させるには、リーダーと従業員に求められる新しい行動を定義する必要があります。リーダーは、将来の競争に先んじるために視野を広げる必要性と、現在の業務効率を高める必要性との間のバランスをどのようにとっているのでしょうか?同時に、特にピープルマネジメントの役割を担う人々に対して新たな要請が生じています。ピープルリーダーは、ハイブリッドな世界で活動することを学ぶ際に、チームとこれまでと異なる心理的な関り方を確立する必要があります。共感、謙虚さ、自己認識、アジリティがより重視されます。これらの大きな変化を考慮すると、現在の行動フレームワークは変革が必要である可能性があると考えられます。パンデミック前の働き方を顕微鏡で観察してみると、古いコンピテンシーを払い落として活性化する時期が来たことがよくわかるでしょう。

行動フレームワークを刷新したり新たに設計したりする場合は、その努力が確実に報われることが重要です。リーダーシップフレームワークが棚に放置されて、埃をかぶっていることがあまりにも多いのです。しかし、フレームワークの価値は設計ではなく、人事の枠組みへの組み込みによって決まります。確実に使用されるようにするためのヒントをいくつかご紹介します。

  • フレームワークが中長期的なビジョンと関連していることを確認しましょう。新しいコンピテンシーフレームワークは、ビジネスを成功させるために必要な行動を推進するための優れた方法です。ヴィジョナリーディスカッションによってCEOの意見を取り入れることは、フレームワークに「将来性がある」こと、そして成功に必要なCEOの賛同を確保するための、最初の重要なステップです。
  • 職務分析フェーズを用いて、影響力のある関係者の意見や賛同を得ます。重要な点について同僚の中で影響力を持つ「メイブン」(マルコム・グラッドウェルの著書『ティッピング・ポイント』参照)を特定し、関与させます。一方で、エンドユーザーを巻き込むことを忘れないでください。従業員の代表的なサンプルの意見を聞くことで、多様な行動を把握できるようになります。フレームワークの成功にとって重要です。
  • 最も重要な人事施策を特定し、まずその中にフレームワークを組み込みます。コンピテンシーフレームワークを確立する際、ビッグバンアプローチは価値あるアイデアのように思えるかもしれませんが、実際には、新しい行動は実行されて初めて実現するのです。フレームワークが人材プロセスに最も大きな影響を与えるのはどこかを検討してください。重要な人材の採用でしょうか?それともリーダーの育成でしょうか?
  • 新しいフレームワークを広めていくために、リスクの低い人事施策を選びましょう。最初に給与に関連したパフォーマンス管理プロセスに導入すると、懐疑的な見方や拒否反応にさえつながる可能性があります。一方で、リーダーが自己評価を行うだけでなく他者からのフィードバックも受け取る機会となる、360度フィードバックプログラムなどの能力開発施策に組み込めば、より穏やかに導入できる可能性があります。

現在のフレームワークが、ビジネスとして必要な成果をもたらしているかどうかを検討する時期が来ています。人材の獲得や採用、オンボーディング、能力開発、後継者育成などの人材プロセスのどこにギャップあるでしょうか?

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2023/are-your-competencies-fit-for-an-unpredictable-world/

VUCAからBANIの時代へ変化する中で、コンピテンシーフレームワークを見なおす必要性を感じている方もいらっしゃるのではないかと思います。
コンピテンシーの再検討に関して、より詳しく解説しているコラム
https://solution.shl.co.jp/success/column/220819skiyota/ もぜひ合わせてお読みください。

(文責:廣島晶子)

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