堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は能力テストの活用事例をご紹介します。

第164回 事例:アダブ・トラスト――ダイバーシティと雇用機会均等を改善

アダブ・トラストの新卒雇用プログラムは、ロンドン市内のBAME学生(Black, Asian, Minority Ethnic: 黒人、アジア人、少数民族)に大卒レベルの仕事に就く準備をさせるものです。その人の経歴や背景に関わらず、ベストの人材が確実に採用されるよう、CEB SHL Talent Measurement Solutionsが活用されています。

課題−大学新卒者に公平な場を

アダブ・トラストは、ロンドン市内のBAMEコミュニティ(Black, Asian, Minority Ethnic: 黒人、アジア人、少数民族)出身大学生の雇用増進を目的としたチャリティ団体です。2007年に創立されました。

トラストはLeadership by Exampleと呼ばれる6段階の新卒雇用プログラムを開発しました。多くの大学生が希望するような大手有名企業や公共機関への就職は厳しく競争率の高いプロセスです。プログラムはこのプロセスに対して参加者に準備をさせます。バークレイズやコカコーラ、クィンティン不動産開発、ステート・ストリート銀行など様々な大手企業がスポンサーです。

プログラム参加者の中には、大学に進んだのは家族の中で自分が初めてという人や、学校で期待ほど高い成績をとれなかった人、英語が母国語ではない人がたくさんいます。6段階のプログラムを通して、候補者の真の、偏りのない客観的な像が明らかになります。

Leadership by Exampleは企業が資金を提供するプログラムです。プログラムを終了して採用された学生には初年度に上級管理職が目を光らせます。上級管理職が監督することでより高次のサポートを対象者に与えることができ、昇進・キャリアアップの道筋をつけることが狙いです。

解決策−CEB’s SHL Velify能力テスト

6段階プログラムには、応募書類とオンライン能力テスト(Verify計数・言語)が含まれます。候補者にはこれらのテストを受検するよう知らせるEメールが届き、練習テストを受けるようアドバイスされます。オンラインテストの結果は、その後のVerifycationテスト(トラストのスタッフが実施管理するペーパーテスト)で確認されます。次に、候補者はインタビューの段階に進みます。インタビューはコンピテンシーに焦点を当てたもので、様々な業界を代表する企業による総当たり形式です。人事、新卒採用、マネジメントの分野の熟練者がインタビュアーを務めます。次の段階がOdgers & Berndtsonが実施するアセスメントセンターです。

アダブ・トラストは能力テストで合格点を設定しており、それを上回った学生がアセスメントセンター(プレゼンテーション、グループ討議、詳細インタビューなど)に進みます。これに合格した候補者は就職にあたっての全面的な支援が受けられます。

結果−ベスト人材についての偏りのない像

能力テストは客観的で一貫したアプローチを保証し、アセスメントセンターの基礎資料として、各応募者に公平なチャンスを与えます。

Dermot O’Brien(Chief Executive)は次のように述べています。「能力テストを使うことで、ベストな候補者だけをアセスメントセンターに招くことができます。結果、育ちや学歴に関わらず客観的に頭の切れる人を選抜することに役立っています。」

「このプログラムで16人、金融サービス国立スキルアカデミーでさらに30人を選抜しました。卒業生たちはアーネスト・ヤング、リーガル・ジェネラル、シェルなど様々な企業で働いています。」

Yvette Haguma(ロイズ・レジスター法人保険コンサルタント)は次のように述べています。「私がアダブ・トラストのLeadership by Exampleプログラムについて初めて聞いたのはカナリー・ワーフのオープン・ディでDermot O’Brienに会った時でした。その後インタビューに招かれました。受け取ったフィードバックは私のキャリアを前進させることに大変役立ちました。アセスメントセンターの後、私はインターンとしてロイズ・レジスターで働く機会を得、それが今のコンサルタントとしての仕事に発展しています。」

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

イギリスでトラストと言えばナショナルトラストが思い浮かびます。自然環境や歴史的建造物を守るための民間団体です。チャリティやボランティアが活発なイギリスには様々なトラストがあります。アダブトラストは出自や環境的に不利な条件の中で努力してきた優秀な大学生の就職を支援するものです。能力テストが埋もれた人材を発掘することにつながっています。

文責:堀 博美

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