SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はアセスメントの活用事例をご紹介します。

第236回 サンダーランド市

経費節減目標を達成するため、サンダーランド市役所は採用戦略を考え直さなければなりませんでした。CEBと協力し、雇用と公共サービス提供を確保しながらも1億ポンド節減することに成功しました。

イングランド北東部タイン&ウィア州にあるサンダーランド市の市役所は、約30万人の市民に700件以上の重要公共サービスを提供しています。2010年、史上最大の問題のひとつに直面していました。すなわち、1億ポンド少ない経費で同じサービスを提供し続ける方法を見つけることです。

3年間でそれを成し遂げるために、市役所はその価値を妥協することなく節減することに決めました。大量解雇をしない、ということです。

サンダーランド市役所組織開発担当部長のディブ・リッポン氏は次のようにコメントしています。『イングランド北東部最大の雇用主のひとつとして、大量解雇は地域社会に打撃を与えるだけでなく市の財政に響きます。最前線サービスと仕事を守ることのできる別の戦略を見つけたかったのです。』

画期的な転換プログラムの一部として、市役所は生産性とサービスの質を最大化できるよう既存リソースと人材を調べたいと考えていました。『外からの採用を強制凍結しました。最前線で発生した空席は現在のスタッフを異動させることで埋めなければならない、としたのです。』(リッポン氏)

このやり方がうまくいくためには、それぞれの空席に求められる人的特徴を明らかにして、それと内部候補者をマッチングする必要がありました。候補者の多くは全く違った仕事についていることが多いからです。

サンダーランド市役所とCEB SHL talent measurementチームが一緒に、ひとつのオンラインアセスメントを開発しました。職場が廃棄物管理でも企画でも図書館でも、その人の真のポテンシャルを明らかにするものです。アセスメントを開発して展開するまでわずか3カ月でした。

『できるだけ早くやることが肝要でした。開発が遅れればそれだけ外部採用凍結が遅れ、コストが重なります。』(リッポン氏)

内部候補者は一連のSHLツール(パーソナリティ検査と能力テスト)をオンラインで受けます。結果は、パートナーであるAESデジタル・ソリューション社開発のジョブマッチ・システムに統合され、空席発生時に市役所が可能性のある候補者を見つけることができます。統合はまた市役所の人事チームの事務管理費を最小限にしました。

『我々の採用プロセスにアセスメントが組み込まれ、能動的で効率的な内部のジョブ・マーケットが確立できました。ある人が空席に応募したり自分の仕事がなくなったりしたら、オンライン検査を受け、合った空席にマッチングされます。』(リッポン氏)

スタッフの以前の経験や既存のスキルよりもむしろ、パーソナリティや価値観、適性を吟味することによって、アセスメントは現在の能力と将来のポテンシャルを明らかにします。会計やコミュニケーションなど専門的な職務への適性を見るための、言語能力と計数能力に焦点を当てたモジュールも含まれます。

アセスメントは2010年初めに始まりました。4500件以上のオンライン質問紙が受検され、内部のジョブ・マーケットから2000以上の職務が埋まりました。

『社外採用を内部人材発見に置き換えることによって、我々は、最前線の重要サービスに影響を与えることなく費用節減目標を達成できました。2500人少ないスタッフで同じもしくはより高い水準のサービスを提供しています。』(リッポン氏)

サンダーランド市役所は現在、社員のエンゲージメントについて、イギリス組織で上位20%にはいると評価されています。採用凍結や給与凍結があったにもかかわらず、です。この転換施策の前は平均以下でした。

『アセスメントが適材適所に役立ちました。スタッフは自分の持ち味を最大限に生かせる仕事に就けて活き活きしています。より幸せで熱心で生産的です。』

労働組合からの充分なサポートを得、現在、他の市役所がサンダーランド市役所を見習って同じようなメリットを受けようとしています。そして、サンダーランド市役所は過去の栄光に満足することなく、2016年までにさらに1億ポンドの費用を節減しようとプロセスを改善し続けています。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

アセスメントが適材適所に活用された事例です。スタッフ本人のエンゲージメント向上にも寄与したところがポイントです。

(文責:堀 博美)

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