SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLグループHPブログよりダイバーシティに関する記事をご紹介します。
ダイバーシティとインクルージョンに、エクイティ(公平性)を加えた「DEI」の推進に取り組む企業が増えています。DEI施策がなぜ失敗するか、どのようにアプローチすべきかを解説したブログを全3回にわたってご紹介します。

第328回 ダイバーシティ推進に総合的に取り組むための3つの戦略(1/3)

2021年2月16日 エリン・クラスク

組織は何十年にもわたって多様性、公平性、包括性(DEI)の施策に焦点を当ててきましたが、調査によると、ほとんどのDEIの施策は組織に持続的な影響と変化をもたらすことができていません。なぜでしょうか?

偏見(バイアス)は全ての人にあります。私たちは自然に自分と共通項が多い人々に引き寄せられ(親和性バイアス)、自分がすでに信じていることを確かめる情報を求め(確証バイアス)、毎日様々なバイアスの影響を受けています。

あなたは、おそらく自分自身やあなたのチームのマネージャーを「良いリーダーである」と言うでしょう。彼らは一生懸命働き、真に自分の部下を気遣い、他者の成長を助けます。しかし、バイアスは無意識のうちに私たちの日常の意思決定に滑り込みます。私たちは全員、優れたマネージャーも含め、「自分自身に近い要素をもつ」人、または「自分たちの文化に適合できる」人を選び、その人により多くの能力開発の機会を与えてしまう可能性があります。

バイアスは、選抜と能力開発の両方に影響します。採用時に多様性が確保されていなければ、昇進のために必要な経験を積むことができる人の多様性はさらに損なわれます。体系的なバイアスの悪循環に陥り、組織はDEIを推進することができなくなります。

では、人種、性別、宗教、国籍、障害、性的嗜好、年齢、階級に関係なく、すべての人々に公平な機会をもたらす文化を醸成するために、何ができるでしょうか。真に変化をもたらすためには、プロセステクノロジーの3領域から総合的にアプローチすることが必要です。この後3回にわたって、この3領域が重要である理由と行動するための実際的な戦略を解説します。

各領域の解説に入る前に、このブログ連載におけるダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの定義を確認しましょう。

  • ダイバーシティ(多様性):その人自身をユニークにする特徴。DEI施策は、組織がサービスを提供する集団の多様性を、職場に反映することを目指しています。
  • エクイティ(公平性):公平性とは、偏りがなく公正であることです。公平性と平等の違いは、平等はすべての人に同じリソースまたは機会を与えることに焦点を当て、公平性はすべての人に同じ結果に到達するために必要なリソースと機会を与えることに焦点を当てていることです。丘に植えられた木から2人がリンゴを収穫しているところを想像してみてください。両方の人に同じ高さのはしごを与えると、上り坂に立っている人はリンゴに手が届きますが、下り坂に立っている人は手が届きません。これは平等です。どちらの人も同じはしごを受け取りました。公平性は、下り坂に立っている人に長いはしごを与え、両方の人がリンゴに手が届くように必要なリソースと機会を与えます。
  • インクルージョン(包括性):組織の方針や慣行すべてにおいて、組織内の人々が「意見を聞いてもらっている」と感じる職場を作ることです。組織内の人々に「すべての人々を気遣い、耳を傾け、配慮している組織で働いている」と感じさせることが、DEIの施策の最終目標であり、最も難しい部分です。

多様な労働力を持つことはできても、組織内の人々が「組織が人々の声に耳を傾けている、認められている」と感じていない場合があります。多様性は始まりにすぎません。それでは、組織を本当に変化させるために、最も重要な手段である「」について考えてみましょう。

DEIは、組織がサービスを提供する集団の多様性を反映する、採用や昇進だけに限りません。行動の根底にある無意識的な信念・態度・感情について、従業員全体の意識を高めることを指します。
従来のダイバーシティトレーニングは、苦情にどう対処するかに焦点を当てることが多く、問題に受動的に対処するにとどまり、体系的なバイアスの悪循環を正すことに積極的に取り組むには至っていません。

真の変化には、より深い文化的な変化が必要です。ダイバーシティ・プログラムを成功させるためには、チームメンバーによって自発的に展開されなければなりません。フランク・ドビン教授とアレクサンドラ・カレフ教授は、HBRの記事「ダイバーシティ・プログラムが失敗する理由」にて、DEI施策を成功させるには、「マネージャーを問題の解決に関与させ、さまざまなグループの人々と接するようにさせて、変化に対する社会的な説明責任を果たすよう促す必要がある」と述べています。

この方法は、参加者の当事者意識を高め、最終的には、参加者が自分の根底にある信念や行動について批判的に考える可能性を高めます。また、自発的な参加者は、リーダーや人事と共に、ダイバーシティに関するメッセージや戦略を定着・継続させるためのビジネスパートナーになります。

文化を変えるには、会話を変える必要があります。

DEI戦略は、人々に何を変えるべきかを伝えるだけでなく、行動の根底にある文化に焦点を当てなくてはなりません。以下のポイントに注力してトレーニングを行ってください。

  • バイアスについての意識を高め、知識を十分に持つ
  • 経験談を語ったり、インクルージョンのメリットを示したりすることを通じて、人々に変化したいという願望を持たせる
  • 偏見を認識するように訓練し、行動を変えるための戦術を提供する
  • 許されることと許されないことを明確に示す
  • 同じメッセージや期待を組織の仕組みに織り込み、繰り返す(人事プロセス、戦略目標、測定基準、コンピテンシー、文化的信念、社是、ミッションステートメントなど)
  • 誰もが自分の行動について責任をもって説明することができる安全なスペースを作る。チャレンジングな会話ができるような心理的に安全な環境を作る。そうした環境を用意するように求める。

特に大きくて複雑な、マトリックス化された、または地理的に分散した組織で働いている場合、DEI推進についてやるべきことをやり尽くして初めて、組織全体にメッセージが浸透します。頑張ってください。

また、DEI戦略の成功の鍵は、リーダーシップの関与であることを強く訴えたいと思います。経営幹部リーダーは、自分自身や他者に目標に対する責任を負わせて有言実行し、DEIを組織のビジネス目標に織り込み、戦略として多様性に積極的に取り組まなくてはなりません。たとえ困難な時期であっても、DEIに取り組む余裕ができるまで待っていてはいけません。なぜなら、その時は決して来ることはないからです。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちら。
https://www.shl.com/en/blog/3-strategies-for-a-wholistic-approach-to-your-dei-efforts/

著者のエリン・クラスクは、SHLのソリューションスペシャライゼーションチームのマネージングコンサルタントです。第2回は「プロセス」、第3回は「テクノロジー」について解説をします。ご興味のある方はぜひ一足早くご覧ください。

(文責:廣島晶子、監修:堀 博美)

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