SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は将来リーダーの発掘・育成場面での活用事例をご紹介します。

第221回 事例:バルメット

ハイ・ポテンシャル・ソリューション:バルメット社は会社を成長させる将来リーダーのパイプライン確保を必要としていました。CEBのHIPOソリューションの助けでバルメットは、シニアポジションに到達して成功するマネジャーを発掘し、彼らの行く手に立ち塞がる能力開発ギャップを埋めることができました。

バルメット社概要:
  • 紙、パルプ、およびエネルギー関連の技術サービスを扱う大手グローバル企業
  • 従業員数12,000名強
  • フィンランド本社

競争の激しい環境下、バルメット社は将来の売上と利益の成長を推進できる人材を必要としていました。ヒッカ・アラタロ・コルピ氏(タレントマネジメントVP)にとって、それは会社がどのように最も有望な社員を発掘して育成するかを考え直すことでした。

「ただ単に技術的な専門性を持った人ではなく、真のリーダーシップ資質を持つ人を発見できるようにしたいと思っていました。それも、公平かつ一貫したやり方で、です。」

社員が過去にどれくらい高い業績をあげたかだけではなく、将来シニアポジションに就いた時にどれくらい成功しそうかを会社が理解する必要があった、とヒッカは説明します。「歴史的に、誰をリーダーとして育成するかに関する我々の議論は、業績データに頼りすぎる傾向がありました。しかしそのデータはより困難な役割に関係しないかもしれません。」

「CEBのハイポテンシャル(HIPO)モデルのことを聞きました。CEB担当者と話し、すぐにそのアプローチの価値がわかりました。当社の人材を他のテクノロジー企業と比べることができることも含め、非常に大きな可能性があることがわかりました。」

バルメットはCEBと一緒に、社員が現職から少なくとも2つ上のレベルのポジションに到達して成功することにつながる資質を細かく定義しました。これにより、CEBのHIPOモデルの主要構成要素の2つ、すなわち、「能力」と「意欲」が明らかになりました。この2つはリーダーシップの成功を予測するものです。

1000人以上の管理職とその後継者がバルメットの人材レビュープロセスを受け、HIPOとして指名された230人がオンラインアセスメントを受検して、能力と意欲の点でマッピングされました。

ヒッカは次のようにコメントしています。「HIPOとして指名された者ひとりひとりに2時間のセッションが設定され、アセスメント結果のフィードバックと、コンピテンシー・ギャップに対処するための能力開発計画立案の支援を受けました。これが参加者にとても好評でした。」

また、会社には、全員を「能力」と「意欲」の要素でマッピングしたCEBの分析結果が示されました。この資料はその後会社の人材レビュープロセスで活用されました。分析結果に基づいてCEBが能力開発についての提言を行いました。分析にはバルメットの人材を業界ベンチマークと比較した資料も含まれます。

科学ベースのアセスメントを導入して、ラインマネジャーが必ずしもポテンシャルの高さのベストな判断者ではないことがわかりました。ラインマネジャーによって以前にHIPO対象者として指名された人のうち、リーダーになって成功する可能性がある人は44%しかいませんでした。ヒッカが説明するように、ハイポテンシャル者ではないとみなされた人も含めて全員がサポートされていると感じることが重要でした。

「今は将来のリーダーになるポテンシャルを持っていないのかもしれませんが、その人たちは当社の高業績者です。ですからミドルマネジャーが彼らの面倒を見、彼らにも適切な能力開発を与えるようにする必要があります。」

CEBのHIPOソリューションは、バルメット社に、どの社員がシニアポジションに昇進してうまくいくかについての正確な知見を提供しました。将来の強力なリーダーシップ・パイプラインが確保でき、かつ、バルメット社の能力開発への投資の費用対効果がはるかに上がりました。

ヒッカは次のように述べています。「このプログラムに入った人が投資に報い、将来の成功をもたらす有能なリーダーや管理職になっている、と自信を持って言えます。」

現在、バルメット社は会社全体の管理職について、包括的な人材管理プロセスを持っています。社員のエンゲージメントや定着率の改善、適材適所の人材配置に役立っています。

ヒッカは、ここまでのプログラムは、今後一層のメリットをもたらすプロセスの始まりに過ぎないとみています。「我々は今もなお学んでいます。管理職が適切な人を指名できるよう支援し、最終的に社員がエンゲージメントをもってコミットし続けられるよう、まだまだやらなければならないことがあります。」

「我々の次の世代のリーダーをどのように発掘して育てるかを我々に示すことによって、CEBはバルメット社の強力で利益率の高い将来の確保を助けてくれました。」

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

このテーマは、今月初め3月2日、東京一橋講堂において開催された当社主催のタレントマネジメントのテーマでもありました。ポテンシャル重視の次世代リーダー開発プログラムについてご興味のある方は、ぜひお気軽に当社にお問い合わせください。

(文責:堀 博美)

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