堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は「ポテンシャルの高い社員の識別と育成」に関連するCEBからのリポートをご紹介します。

第190回 ハイ・ポテンシャル・プログラムの3大リスク

CHROは、将来のスター、すなわちビジネスを前進させる高業績者を育てるプログラムに高い優先順位をつけています。当然です。ハイ・ポテンシャル(HIPO)の社員はそうでない社員よりも努力の度合いが21%高く、事業の業績や将来のリーダーシップ・パイプラインに重要な役職で成功する確率が75%高いです。

どの施策がこれら前途有望なスターたちを能力開発して定着させることに最もインパクトを与えているのでしょうか?適切な人が選ばれているでしょうか?HIPOプログラムへの投資は期待通りの結果や事業価値を生み出しているのでしょうか?

CEB研究者は2004年以降、これらの問いを問い続けてきました。我々はCHROやHR部長と直に協力して、世界100社以上のHIPOプログラムの現状を調べました。また同時に、2万人以上のHIPOを調査し、彼らの意見を収集しました。

その結果は国や業界を超えて一貫しています。そして、がっかりするものでした。大多数の企業はトップ人材を重視し、彼らを能力開発して定着させようとしていますが、HIPOプログラムはあまりそのような結果を出していません。

例えば、

  • HIPOプログラムの73%は、事業成果や投資効果を示していない。
  • HIPOプログラムの69%は強固な承継パイプラインを築けていない。
  • リーダーの46%は新しい役職で事業目標を達成できていない。
  • HIPOの4人に1人がその後1年以内に退職している。

これらの現実は自然に解決するものではありません。実際、強まっています。

今日の仕事環境の複雑さは、絶え間ない変化、よりダイナミックな業務形態、ハイリスクハイリターンをもたらしています。これらのすべてが社員に、もっとがんばれとより大きなプレッシャーをかけます。つまり、それに応えられる人は少なくなっているのです。10年前と比べて、今の高業績者が次のレベルの階層で成功できるだけのものをもっている可能性は半分くらいです。

何かがおかしい。これらの現実が企業業績や高業績者の定着率に如実に現れる前に、HRリーダーは行動を起こさなければなりません。

HIPOプログラムが直面する最大のリスク

行動を起こすために、HRリーダーはこれら水準以下の事業結果の背後にあるリスクを理解する必要があります。CEBの研究から、いくつかの戦略的・運営的問題が妨げになっていることがわかりました。

リスク1: 将来のスター見極めの難しさ
半数近く(46%)の企業がHIPO識別にシステマチックなプロセスを持っていません。過去の業績を基にしたHIPO選抜はよくあるアプローチですが、問題があります。今日の高業績者がHIPOである確率は7人に1人しかいないからです。実際、高業績者で同時にHIPOである人の数は過去10年間で48%減少しました。間違った人々、すなわち、より上級の難しい役職につけたときに失敗しそうな人々、に投資するのでは、会社は乏しいリソースを浪費することになります。

リスク2: 進捗状況を追う指標がない
測定できないものを管理することはできません。CEBの調査は、企業の24%が昇進率に対するHIPOプログラムの効果を測定していないこと、27%がエンゲージメントに対する効果を測定していないこと、21%が定着率に対する効果すら測定していないこと、を明らかにしました。HIPOプログラムの成果を測定・分析している企業は通常、社内データのみに頼っています。社外からの視点を入れていません。自社のHIPOプログラムを同業他社のものと比較することがとても重要です。

リスク3: HIPO能力開発戦略が非効果的
ほとんどの(81%)HIPOプログラムの主要目的は、承継マネジメントのパイプラインを築くことですが、大多数が的を射ていません。CEBが調べた300以上の戦略やプログラム、施策のうち、社員のポテンシャルを強化できたのは80個以下でした。部門間ローテ-ションや上司を頻繁に変えるなどは、実はポテンシャルを低める可能性があります。

以上のリスクを考えると、多くのHIPOプログラムは、ほとんどもしくは全く見返りのない能力開発施策に資金を費やしていることになります。

  • HIPO能力開発行動計画を最後までうまくフォローしている企業はわずか5%。
  • HIPOのほぼ3分の2(64%)は自分の能力開発経験に満足していない。
  • 自分の上司が社員の能力開発に優れていると感じる社員は45%しかいない。
  • 少なくとも10%の業績改善を示したHIPOは60%のみ。

あなたの会社のHIPO施策がこれらの統計に加わって、経営陣やHIPOからの信頼感を損なってしまうことのないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

ハイ・ポテンシャル人材、すなわち、若手幹部候補者の見極めと育成に関するお問い合わせや相談は最近、非常に増えてきました。しかもそれをグローバル規模で一貫した取り組みをしたいと考える企業が増えています。経済環境の好転を背景に、守りよりも攻めの戦略的な人事施策に軸足が移りつつあることを感じます。

文責:堀 博美

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