堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は組織再編で適性検査が活用された事例をご紹介します。

第117回 事例:グラクソ・スミスクライン

背景

グラクソ・スミスクライン(GSK)は世界有数の医薬品会社です。100ヶ国以上に約99,000人の社員がいます。2009年9月、フィンランドで組織の再編成が行われました。

課題

GSKフィンランドは、治療分野別組織から地域別組織への移行を決定しました。緊密な協力をしながらの地域別組織のほうがビジネス上メリットが大きいと考えられたからです。新しい組織には新しい役割と職責が必要であり、GSKは既存スタッフを新しい役割に充てることにしました。

プロセスはリストラのベスト・プラクティスに従った公平で透明性のあるものでなければなりません。また、ビジネス上の勢いを失ったりスタッフの士気を下げたりすることのないよう、素早く実施されなければなりません。

解決策

GSKはSHLをパートナーに選びました。最初のステップは新しい役割に必要なコンピテンシーを定義することです。GSKのリーダーシップ・フレームワークがSHLのコンピテンシー・フレームワークに対応付けられました。各役割に4〜5個のコンピテンシーが選択され、それをもとにアセスメントで使われる測定ツールが判断されました。対応付けはまた、将来、GSKがSHLコンピテンシーリポートを活用できるというメリットももたらしました。

アセスメントが始まる前にGSKは職務記述書を全社員に配布し、現在の職種に関わらず全員が自分の希望する役割に応募できる機会を提供しました。大多数のスタッフはこれを非常に肯定的に受け止め、熱意を持って応募してくれました。

最初に検討されたのは営業マネジャーとマーケティングマネジャーの計8名です。候補者のアセスメントはSHLコンサルタントのみで行いました。また、コンピテンシー面接や適性テスト結果リポートの解釈方法について、SHLがGSK人事チームのトレーニングを行いました。アセスメントの後、SHLとGSKのスタッフによるプロジェクトチームが「任命ワークショップ」を開き、面接や適性テスト結果、その他の情報を分析して、配置を決定しました。

2回目のアセスメントには最初のアセスメントで任命されたマネジャーも参加しました。彼らはコンピテンシーや選抜プロセスについてよくわかっていますので、「持っていればよい」コンピテンシーよりも「なくてはならない」コンピテンシーに集中することができました。2回目のアセスメントの対象は営業およびマーケティングチーム、計15名の専門職とプロダクトマネジャーです。面談とフィードバックはSHL適性テストとコンピテンシー面接をもとに、新しく任命されたマネジャーと人事チームによって実施されました。

結果

多くの企業と同様、GSKでも、新しい組織編成に賛同せずに退職を決意した社員が何人かいました。『プロセスの中で適性テストを使うことを受け入れない人はいました。しかし我々は、実施の過程で、これが社員にとって健全で肯定的な経験であると気づきました。SHLコンサルタントは猜疑心を取り去るような非常にプロフェッショナルなやり方でフィードバックを行い、かつ、我々がそうフィードバックできるようトレーニングをしてくれました。』(GSKプロジェクト・マネジャー スザンナ・グランドシュトローム氏)

『驚くことに、候補者の判断についてラインマネジャーと意見が食い違うことはあまりありませんでした。ラインマネジャーは役割とコンピテンシーに焦点を当てることを学び、自分たちがすでに知っている人物であってもそれ以上を見極めようとしてくれました。いくつかあった食い違いも、「候補者にとって何がベストか」という観点から見ることで簡単に解決できました。』

人事チームのハードワークと、ラインマネジャーやマネジメントチームの積極的関与のおかげで、プロジェクトは4週間で完了しました。

『プロジェクトは間違いなく、人事チームとラインマネジャーの間の関係や理解を改善してくれました。人事がビジネスのより戦略的パートナーとなり、我々は人的資源のポテンシャルをよりうまく活用できるようになっています。新しく選抜された社員のやる気は非常に高く、プロセスがうまくいったことを示しています。新しい役割に適切な人材を見出すことができました。』

次のステップ

それぞれの役割に必要不可欠なコンピテンシーとそれを評価できるツールを特定できたことで、GSKは、今後の能力開発プログラムのための素晴らしい基盤を得ることができました。将来、様々な能力開発施策が可能となるよう、個人レベルとグループレベルの両方でプロジェクト報告書が作成されているところです。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

組織再編成で適性検査が活用された事例です。この事例のようにビジネスニーズの変化に伴って、たとえば、営業部隊を商品別組織から地域別組織へ組み直す、というのはよく行われることです。その際、各自がそれまでの仕事スタイルをもったまま、単純にメンバーを組み替えるだけでは効果半減です。新しい組織を成功させる肝は何なのか。この事例の場合、異なる専門分野間の「協力」でしょう。そのスキルの高い人を要所に配置することで、新組織の機能は格段に高まると考えられます。

文責:堀 博美

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