堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はスワロフスキーの販売員採用事例をご紹介します。本コラム第110回でご紹介したものの続報、詳細です。

第144回 事例:スワロフスキー

スワロフスキー 会社概要

  • 宝石やアクセサリー製品のデザイン、製造、販売
  • 品質の高いクリスタル、天然宝石、人造石など。
  • 世界で直営が1250店舗、パートナー運営が1110店舗。

【要約】
成長を確保するために、スワロフスキーは業績の高い小売販売コンサルタントを雇用し、スタッフの定着率を改善しなければなりませんでした。オンラインの「バーチャル店舗」が、高業績者になる可能性が最も高い候補者を見分け、採用にかかる時間とコストを低減することに役立ちました。

課題:よりスマートな採用で、売上を伸ばしスタッフの定着率を高めること

スワロフスキーはこの10年間著しく成長してきました。高品質のカットクリスタルで有名なこの会社にとって、利益率の高い成長を推進するために人材が重要です。スキルの高い販売コンサルタントが採算を大きく左右します。しかし、その職務の離職率は高く、人事チームは募集回数や応募者の数の多さに苦労してきました。

成長スピードを上げスタッフの離職率を低減するために、スワロフスキーは適切な候補者を見分けるためのより効果的なアプローチを必要としていました。Stijn De Groef氏(スワロフスキー シニア・グローバル・タレント・マネジャー)は次のように説明しています。『攻めの成長を支えるために、我々は、適切なスキルや適性、価値観をもった適切な人材を惹きつけなければなりません。それをきちんとできれば、彼らが自分の仕事を楽しんでやれるだけでなく、我々のビジネスを成長させることになるでしょう。』

有能な販売コンサルタントがいなければ、美しい商品や魅力的な店舗に会社が投資しても無駄になります。『違いを生むのが販売コンサルタントです。我々は、成功する販売コンサルタントになれるであろう人々を、受検者自身も興味をそそられるような方法で、正確に見極めたいと考えました。』

解決法:状況判断力テスト

スワロフスキーはCEB’s SHL Talent Measurement Solutionsチームと協力して、成功している販売コンサルタントのスキルと行動を分析しました。9カ国に及ぶ、店長、地域マネジャー、リーダーチームなど様々な関係者を調査し、分析の結果、販売コンサルタントのグローバル人材プロファイルが生まれました。プロファイルは成功するために重要なコンピテンシーから構成されています。その後、SHL状況判断力テスト(SJT:Situational Judgement Test)を使って受検者を評価することができるような、「バーチャル店舗」のオンライン画面を作成しました。

スワロフスキーのフェイスブック採用ページからアクセスできるこのSJTは、様々なマルチメディアを使って、スワロフスキーの店舗で働くことがどんなものか、また、販売コンサルタントがどんな問題に遭遇するか、についてリアルなスナップショットを提示します。1日の仕事を味わえることで不適切な人の応募が少なくなり、応募人数がより扱いやすい数になります。

スワロフスキーのブランディングで設計されたこのSJTは、リアルなアバターを使って重要な接客場面を最大18個提示します。どう対応するかを受検者が選択肢から選び、得点の低い受検者は不合格となります。ベストな受検者の得点と詳細がPeopleXS社の応募者追跡システム(ATS:Applicant Tracking System)を通じて、スワロフスキーの社内で閲覧できます。

PeopleXS社と協力してSJTをATSに統合したことによって、全社の採用マネジャーが受検者データにより簡単にアクセスできるようになりました。合格した受検者の情報は、今後の本人の能力開発計画にとって有益な基礎ともなります。

結果:ビジネスにとっても受検者にとってもよい結果に

この大量採用ソリューションによってスワロフスキーは以下のことができるようになりました。

  • 新しく採用された販売コンサルタントの売上アップ
  • 最も適した候補者を採用
  • スタッフの定着率改善
  • 選抜に、より素早く積極的なアプローチを統合

面接する応募者の数が少なくなり、有望な候補者を絞るルートが準備できたことで、人事と地域マネジャーは共に時間とコストを節約できます。『これまではかなり受身でした。コンサルタントが退職するたびに応募広告を出していました。候補者のルートができたことで、採用プロセスを素早く追うことができ、その結果、より短い期間でより優れた人を採用できるようになりました。』(Stijn De Groef氏)

SJTはブランドにもプラスの影響を与えます。『テストが募集職務に非常に関連しているように見えるので、受検者はより興味をそそられますし、何よりも面白がってくれます。我々は「20分間、バーチャルで当社で働いてください。スワロフスキーの店舗での仕事がどんなものか発見してください」と売り込んでいます。』

結果がよかったので、スワロフスキーは現在、グローバルのキーマーケットでSJTを導入しようと、ドイツ語、フランス語、中国語、イタリア語への翻訳を始めました。

テストがビジネスを前進させるためのベストな候補者を確保する役に立っていると、スワロフスキーは確信しています。『人材を獲得しようとする時、たとえアセスメントプロセスの途中であっても、将来の社員が会社や風土に合っていると同時に結果を出すだろう、と確信していたいものです。このソリューションは我々に自信を与えてくれました。』(Stijn De Groef氏)

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

本コラム第110回の記事よりも、バーチャル店舗によるオンライン・シミュレーションについてより詳しく記載されています。ゲーミフィケーション(ゲームの要素を活用して問題解決すること)という言葉を近年よく耳にします。採用サイトで実際の職務をバーチャルに体験できるような画面を作成している企業も少しずつ増えています。受検者にリアルな情報を提供するだけでなく、同じ場面で会社側も受検者の適性についての情報を得ることができれば一石二鳥。職務要件が明確で行動と紐づいていれば可能です。

文責:堀 博美

バックナンバー

2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年