SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はイタリアの保険会社がマネジャーの能力開発にディベロップメント・センターを活用した事例をご紹介します。

第204回 事例:イタリア本社の大手保険会社ゼネラリがマネジャーの見極めと能力開発にSHLを使用

<背景>

組織において人々の行動を変容させたい場合、特にここ10年間で役割が劇的に変化したマネジャーの行動を変容させたい場合、単純な研修活動では不十分です。フォーマルな構造や明確に定義された役割・手順の時代は過ぎ去りました。今日、優れたマネジャーとは、非常に柔軟な環境で、かつ、より少ないリソースで、周囲の人と協力して事業目標を達成できる人です。1998年からゼネラリは、SHLの支援で、全社的なマネジメント能力開発・研修プロジェクの一部として、ディベロップメント・センターを実施してきました。プログラムには約310名の初級・中級マネジャーが参加しました。

2000年以降、SHLは国内と海外の上級・中級マネジャーに対して定期的に4回のディベロップメント・センターを実施しています。使用されるコンピテンシーモデルはSHLとゼネラリ・グループ・スクールが共同で開発したものです。

<課題>

ゼネラリの重要課題は、未来のマネジャーに必要なコンピテンシー群を特定することだけではなく、それらのコンピテンシーが将来どう変化するかを予測することでした。また、それらは文化的に多様な背景を持つマネジャーたちに合う、柔軟なものである必要がありました。

「現在必要なコンピテンシーだけに基づいた能力開発は間違っています。10年後、マーケットに直面する準備のできていないマネジャーだらけになるリスクがあります。」とSHLのオルネラ・チノッチは述べます。

既存マネジャーが示しているコンピテンシー群は新しい役割では関係しないものかもしれません。一方、他の隠れた人材要件が見逃されているかもしれません。

「マネジャーであること、マネジャーになることにはコンピテンシーやスキル、ノウハウが必要ですが、それらの中には過去には重要でなかったり、日常活動から生まれることはほぼないようなものがあります。まず最初に、必要なマネジメント・コンピテンシーを明らかにする必要があります。会社に将来必要なものが何なのかを前もって予測することは不可能ですから、観点を広く保つようにしています。」(チアラ・ボログネシ(ゼネラリ・グループ・スクール))

<解決策>

ゼネラリが明らかにしたコンピテンシーは15個で、それらは、マネジメント、関係、オペレーション、パーソナルの4つの領域に分かれます。これらがディベロップメント・センターで評価されます。質問紙検査やイントレイ、面談を用いて、個々のマネジャーの具体的な強みと能力開発分野が吟味されます。この段階で、国や文化の違いが明らかになりました。例えば、ドイツ人マネジャーは計画やコントロールの傾向が、イタリア人やスペイン人のマネジャーはより創造的で自発的なリーダーシップの傾向があります。

これらの結果を基に、次の段階は、自分の重要分野に責任をもって対処できるような自己啓発計画を立てることです。「最大限の効果を上げるために本人と上司の間で能力開発計画が話し合われます。たとえ会社がコンピテンシー開発をサポートできるとしても、本当に成長にきくのは本人の強力なコミットメントだけです。」(チノッチ)。能力開発計画の実行には多くの運営ツールがあります。ディベロップメント・センターの後に、マネジメント・ディベロップメント・プログラムがあり、さらには、アクション・ラーニングや幹部コーチングなどの活動が用意され、人々がしっかり自己責任で動けるよう手助けします。

<結果>

「これらプロジェクトの利点は二重です。統一したアプローチを共有して国際的なレベルでマネジャーグループを教育することが重要であることがひとつ。もうひとつは、様々な国や様々な職種で働く人々の間に、情報やノウハウ、経験を交換できるようなインフォーマルなネットワークを作り出せたことです。アイデアの交流は本当に役立っています。」(チアラ・ボログネシ)

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

ゼネラリはイタリア発祥のヨーロッパ有数の保険会社です。シンボルマークである「翼を持ったライオン」を良く見かけます。マネジャーに対して世界統一の基準を持って統一した能力開発に取り組んでいます。

(文責:堀 博美)

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