SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を、日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループのネット配信「SHL Newsletter」や広報誌「Newsline」、HPから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はレンタカー・ブランドであるハーツ社の、アセスメントセンターの事例をご紹介します。

第50回 事例:ハーツ−変革を推進する人材を選抜

背景

ハーツは世界146ヶ国、約8100拠点で操業している世界最大のレンタカー・ブランドです。アメリカと、ヨーロッパ主要空港42ヶ所では、空港レンタカー・ブランドとして第1位です。

挑戦

2009年、ハーツはグローバル規模で変革活動に乗り出しました。業界のトップ人材を採用・保持するユニークなチャンスです。

変革によって作り出された役割は以前のものよりも複雑でグローバル、より戦略的な性質をもっています。成功の鍵は、変化をリードし、ビジネスの中心に顧客を置く新しい事業モデルを促進する能力が真に優れた候補者を見つけることです。

解決策

ハーツはSHLと組んで、ヨーロッパ全土からの社内・社外の候補者を共通の土俵で比較できるようなアセスメント戦略を開発しました。選抜された候補者が最高の能力を持っていることを実証できるように、という点がハーツの主張です。

一般的な行動コンピテンシーによる評価ではビジネス的な文脈が失われる可能性があると考え、ハーツの「バランス・スコアカード」に焦点が置かれました。

提案されたアセスメントは、「顧客フォーカス」「コスト効率」「選ばれる企業」「利益成長」というハーツの戦略的な優先事項における候補者の職務遂行能力に関する証拠を集めます。これらの戦略的な優先事項の大半で能力を示すことのできた候補者だけが、採用推薦されます。

候補者は1日のアセスメント・イベントに参加します。そこでは、4つの戦略事項それぞれについての演習と、コンピテンシー面接が実施されます。使用されるシミュレーション演習はハーツのために特別に開発されたもので、候補者に、チーム・マネジメントや顧客からのクレーム対応、部下の能力開発などにおける能力を示す機会を提供します。

4ヶ月間にわたり、7ヶ国以上で数百人がアセスメントされました。評価データをレビューしたところ、このやり方が非常に優れたスキルを持つ候補者をうまく見分けていることがわかりました。ハーツは、選抜された候補者のパフォーマンス・データを検討してアセスメント・ツールの真の予測妥当性を測定する妥当性研究を実施し、次の段階に進もうとしています。

利点

SHL主任コンサルタントJoe Ungemahは次のように述べています。「ハーツのアセスメント設計は、われわれの考え方を新しいレベルに導いてくれました。コンピテンシー・モデルのみを用いるのではなく、バランス・スコアカードに焦点を当てることによって、候補者のパフォーマンスをより明確に職責に関連付けることができ、ひいては、よりよい雇用意思決定につなげることができます。」

ハーツのグローバル人材採用部長Vanessa Flynn氏も同様な意見を持っています。「適切な人材を見分けることが、このアセスメント戦略をとるわれわれの主要な目的です。核となる3つの原則によって導かれました。すなわち、ビジネスの戦略的優先事項に焦点を当てること、すべての候補者に公平なチャンスを確保すること、われわれのビジネスを前に推し進めるような人材のベンチマークを確立すること、です。アセスメントの結果がビジネスの戦略目標に直接的につながっているため、より優れた管理職やスタッフを選抜・採用できました。」

人材選抜においてコンピテンシー・モデルを最重要と置くことについては、HR分野の実務家や学者の間で近年議論されているところです。ハーツの事例は、候補者の職務適性を判断する際に組織戦略の重要性を強調するという点で、もうひとつの考え方を提示しています。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

ご承知のように、バランス・スコアカードとは会社の業績を評価するシステムのひとつです。1992年に「Harvard Business Review」誌で発表されました。それまでの財務指標中心の評価の欠点を補うものとして、会社の戦略やビジョンを「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」という4つの視点で分類し、評価します。今回ご紹介した事例は、アセスメントセンターの評価次元のベースに、個人の職務遂行能力であるコンピテンシーではなく、このバランス・スコアカードを持ってきた点が特徴です。組織の上位職になればなるほど、その能力が会社の戦略やビジョンとマッチしていることが重要だという点でうなずけます。

ところで今号でSHLグローバルニュースの連載は50回を迎えました。隔週更新ですのでほぼ2年間に渡ります。お伝えしてきた情報のうちいくつかでも人事をご担当される皆様のお役に立つことがあったなら、発信者として非常にうれしいことです。

50回記念特集として、「SHLグループCEOへの質問」を企画しました。グローバルHRMをテーマとした質問に、SHLグループCEOディビッド・リー氏に回答してもらいます。当社HPで並行して連載している「人事部長への質問」コラムの特化版とお考えください。つきましては、皆様からの質問を募集します。下の「50回記念特集への質問」ボタンをクリックして、お気軽にお寄せください。お待ちしています。(勝手ながら締め切りは5月末日とさせていただきます。)

※質問受付は5月末日をもって終了いたしました。現在は募集を行っていません。

文責:堀 博美

タレントマネジメ
ントコラム 日本エス・エイチ・エルの人事コンサルタントの視点

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