SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。 今回もSHLグループのブログから休暇に関する記事をご紹介します。

第384回 休暇の心理学

本ブログでは、マレ・ベスター博士が休暇の心理的利点と、なぜ休暇を取ることが重要なのかについて語ります。

マレ・ベスター博士
2023年8月8日

休息は精神的、身体的、感情的な健康に大きな利益をもたらします。そのため、時々良い休暇を取ることの重要性は、数多くの心理学研究で証明されています。リソースの保全に関する研究によると、精神的および肉体的に休息していると感じている従業員は仕事を楽に感じ、同僚に対してより協力的で、生産性が高く、その他の望ましい組織の一員としての行動をとることが示されています。研究によると、たった1日の休暇で業績評価が平均8%向上します。そのため、休んで燃料をタンクに戻すことは非常に良いことです。

しかし、研究は同時に、休暇前の最後の1週間は、すべてを終わらせるために非現実的なほどに仕事量が増えるため、健康と幸福度が大幅に低下することも示しています。休暇の最初の数日間の身体的な問題は一般的なもので、「一時的なストレス」または「レジャー病」と呼ばれ、いくつかの研究では、睡眠の質の低下、風邪、全体的に機嫌の悪いことによって休暇の始まりが台無しになる可能性があることが示されています。

この現象がなぜ起こるのかは完全には明らかになっていません。しかし、心理学者らは、「免疫再構成炎症症候群」と呼ばれるものに非常に似ていると言っています。私はこのことを、極度のストレス状態から心地よいリラックス状態へのシフトダウンに人間の体が対応できないことを意味していると理解しています。休暇前の数週間にフルスピードで働いてストレスを受けた人間の体は、ストレスから急に離れることで有害なショック状態に陥ります。休暇を最大限に活用するには、ジムに行ったり、瞑想したり、ただリラックスしたりするための時間を確保し、仕事でのストレス状態からリラックスした休日モードにスムーズに移行することが不可欠です。

休暇のすべてが贅沢であったり高価であったり、過度に計画立てられている必要はありません。直前に決めた週末旅行でも楽しむことができれば、必要なエネルギーを十分に得ることができます。研究によると、ストレスを避けるには、宿泊施設、旅程、家やペットや子供の世話、仕事を誰が行うのかについて、事前に最小限の計画が必要です。これらが正しく行われると、休息によるエネルギーの回復と幸福の間に強い関係が確認できます。

良い休暇とは、私たちを幸せにしてくれる休暇です。しかし、人によって何から楽しみが得られるかには違いがあります。幸福に関する研究によると、休暇中に人生について深く考えるような有意義な経験から幸福感を得る人もいれば、楽しい経験やその瞬間に気分が良くなる経験から幸福を得る人もいます。

こうした経験は、ハイピーク(高い山)経験かノーバレー(谷のない)経験かに分類することができます。

「ハイピーク(高い山)」休暇は、常に思い出すような新しく斬新な経験が特徴です。こうした休息は、ある意味であなたの人生を深めます。時には、自分自身や世界について新しいことを学んだり、自分の人生や周りの世界をより良くしたりすることによって得られるかもしれません。感動的な経験や忘れられない経験を求めている人は、「ハイピーク」休暇を計画しましょう。目的のために旅行すること、地元の人々と時間を過ごすこと、地元企業を支援すること、野生動物の保護団体を訪問すること、リトリートやアートクラスに参加することなどを考えてみましょう。

「ノーバレー(谷のない)」休暇とは、ゆっくりと過ごし、控えめに、ストレスを減らし、喜びに満ちた休暇を過ごすことです。「ノーバレー」休暇には「ハイピーク」休暇のような有意義な体験はありませんが、落ち込む瞬間はなく、そのことが休息を最適化します。たとえ毎日の違いがほとんどなくても、ただ楽しんで甘やかされて、シンプルに過ごすという考えは好きですか? 人生をもっと楽にするためにどこかに行ったり何かをしたり(あるいは何もしなかったり)、負荷がかかりすぎた心を整理し、人生の要求から逃れて遊ぶことを検討してみましょう。

研究によって、この好みにはやや男女差があることが明らかになりました。女性は重要な経験(ハイピーク)に傾く傾向がありますが、男性は快い経験(ノーバレー)を好みます。しかし、誰もが両方の経験を必要とし、人生を通じてそのバランスは変化します。

長期休暇(8日以上)は、ストレスを解消し、頭の中を整理する機会が増えます。体と心が休暇に慣れ、リラックスするために必要な時間を取り、無理をして休息の特別な恩恵を失うことなく、日常生活で抱えていたかもしれない残りのネガティブな緊張を取り除くことができます。

散歩に出かけたり、よく笑ったり、内省したり、できるだけ多くの時間を良い仲間と過ごすなど、自分が好きなことに時間を費やすことが重要です。良い休暇をお過ごしください!

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2023/the-psychology-of-vacation/

日本でもお盆休みが過ぎ、元の仕事のペースに戻り始めている方が多いと思います。
皆様の休暇はハイピーク、ノーバレーのどちらに近かったでしょうか。

(文責:廣島晶子)

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