堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はCEBブログの記事をご紹介します。

第247回 貴社のリーダーシップ戦略を革新するための4つの原則

リーダーシップ開発に巨額を費やしているにも関わらず、驚くほど多数の新リーダーが失敗しています。

大会社の全ての階層の社員は、昔よりはるかに複雑で不安定、予測不可能な日常の仕事環境の中で折り合いをつけなければならなくなってきました。これは全員にとっての問題ですが、特にリーダー職にとって難しくなっています。リーダーには、ビジネスの状況を理解し、それを生かす計画を立て、様々な人を奮い立たせて計画を実行する能力が求められるからです。

問題は、リーダーに必要なスキルが劇的に変化しているのに、リーダーを支える現在の施策が不完全なことです。その結果、驚くほど多くの会社が、しかるべき育成をされたはずの新任リーダーの失敗に対処しなればならなくなっています。

この仕事環境に対処するため、リーダーシップ・プログラムは、リーダーが働くより幅広いコンテキスト(文脈)――すなわち、そのリーダーや会社に特有のユニークな状況や課題−を考慮に入れなければなりません。

リーダーの相対的な強み・弱みやある職務に対する適性、その職務における能力開発やパフォーマンスを会社がどのように評価するかは、この文脈によって決まります。コンテキスト特有アプローチによるリーダー管理を支える4つの原則があります。

リーダーが直面する課題の数が増えるほど、彼らが目標に達しない可能性が高まります。これは当たり前のように思えますが、より複雑な仕事環境が会社にとって最重要な社員のパフォーマンスを損ねていることをデータが示しています。会社の全階層のリーダーは同時に平均して7個の課題を、そしてほぼ4分の1が9個以上の課題を舵取りしています。

そして、低業績リーダーの比率は、リーダーが同時に7個以上の課題に直面するとたんに大きく跳ね上がります(図1参照)。このデータから、複数の課題に取り組む複雑な職務のリーダーの失敗率が高いことをいくらか説明できます。

これらのコンテキストの課題がリーダーのパフォーマンスをむしばみますが、全てのリーダーが全ての状況で失敗しているわけではありません。実際、リーダーは、自分のパーソナリティや経験に合った課題に直面すると成功します。

例えば、競争に勝てるコストを保ちながら成長しようという状況では、几帳面で整然としており、細かいところに注意を払う、競争心のあるリーダーがベストです。一方、イノベーションを重視する会社では、ベストなリーダーは野心的で創造的、協調的で楽観的な傾向があります。

リーダーのパーソナリティ特性を、彼らが扱うことになるだろう課題とマッチさせることが、それら重要な社員を成功に導くはるかに優れた方法です。

適切なリーダーを見極める際、会社が考慮しなければならないのはパーソナリティ特性だけではありません。ある特定のコンテキスト課題群を引き受けて成功するかどうかを判断する際、類似の課題を扱った過去の経験がパーソナリティ特性より重要なこともあります。

リーダーの特性を適切な職務に対応させることに加え、会社は候補者の過去の類似課題の経験も見るべきです。例えば、並はずれたレベルの顧客サービスを求める会社においては、低業績チームを率いて変化に対応した経験を持つリーダーのほうがいいでしょう。

これには、リーダーを現在の適切な種類の課題にマッチさせるだけでなく、会社が将来直面する可能性の最も高い課題に対処できるような経験をリーダーに与えることができるような、優れた人員計画が必要です。

職務名が同じであっても、あるリーダーの役割は別のリーダーのものと劇的に違います。急速に成長している会社のCFOの仕事は、利益率改善に集中する会社のCFOの仕事とかなり違います。

リーダーの特性と経験が特定職務の課題にマッチする場合、そのパフォーマンスは最高となり失敗リスクが最低となります。つまり、リーダー見極めのアセスメント・テストは、コンテキストがテストの中に織り込まれた時、はるかに成功します。それ一つでどんな場合にも通用するようなワンパターンのアプローチと比べ、このコンテキスト特有アプローチはアセスメントの予測力を3倍に高めます(図2)。

売上喪失、同僚や部下へのマイナスの影響、本人が転職する可能性などを考えると、間違ったリーダーを間違った職に就けることのコストは著しいものです。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

本記事で言いたいことは、「リーダーシップ開発において、ワンパターンの取り組みは効果が薄い。一人一人の役割や状況に合わせた丁寧な対応が求められる。ただし現在の本人の持ち味に合った職務に就けるだけでは不十分。経験が重要であることを考えると、将来を見据えたローテーションや人事計画が必要。」だと思います。

リーダー本人の持ち味を把握するだけでなく、マッチングのためには職務自体の分析が必要であるという点、そして、将来の経営計画を踏まえなければ人事は進められない、という点が心に残ります。

(文責:堀博美)

バックナンバー

2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年

学会発表論文