SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はCEBのChairmanでありCEOであるTom MonahanがLinkedIn(ビジネスSNS)に投稿した記事をご紹介します。さまざまなビジネスマンたちが新しい職について最初の90日間をどううまくこなしてきたか、を共有するシリーズ中の一編です。

第182回 私の最初の90日間:新リーダーは一人では成功できない(し、すべきではない)

トップは孤独だ、特に新しいリーダーにとっては一層、と皆知っています。しかし、統計的に言うと実はけっこう混み合ってもいます。説明しましょう。

私はちょうど10年ほど前に現在の職(CEO)に就き、6年ほど前にChairmanになりました。ですから私の最初の90日間はおよそ3000日前です。文字にすると私の最初の90日間は遠い昔のように見えますが、現実では、昨日始まったばかりなのです。

なぜならば、成長しようとしている組織は常に改革の状態であり、リーダーとして我々は繰り返し繰り返し新しくスタートしなければならないからです。私は私が就任した時の会社とはかなり違う会社を率いています。規模は約4倍、投資家の顔触れは異なり、資本構造も商品群も違います。そして、リーダーもマーケットも常に進化しています。

継続的な改革は我々に特有のものではありません。新リーダーの職とその移行(引継ぎ)についてもう少し詳しく見てみましょう。我々は世界で約6000社の大企業をサポートしています。それらの中でのリーダーシップの移行の数だけでも驚かされます。もっと驚くのは、それほど数が多いのに移行は非常にまれな出来事として取り扱われていることです。

よりよい承継計画データベースを構築するために、我々は長年トップレベルの会社の退職率を追ってきました。業界や役職、経済サイクルなどさまざまな変数のすべてを取り除いて平均すると、退職率はおよそ25%と推定されます。「リーダー」という用語を取締役レベルとその直属部下(1社当たりおよそ40名)だけに当てはめると仮定しても、トップチームのうちの10名が毎年入れ替わります。6000社であれば毎年6万件の移行、1営業日当たりおよそ300件です。「リーダー」という用語をこれらの会社内で(もしくは、より小さな企業や公共機関、新興企業、新しく立ち上げたプロジェクトなどへ)もっと広げるとその数は指数関数的に増加します。

固くみても、毎日1万人以上が新しいリーダー職に就いていると言ってよいでしょう。かなり混雑した「孤独」です。

良い知らせは、データ数が多いことが分析的な頑健さを担保することです。1万件の移行は豊富なデータ群です。データによって我々は、優れた移行のプラスの経済効果を理解したり、その効果を実現するためにリーダーや組織がとることのできるステップを明らかにすることができます。我々の白書に詳しい結果がありますが、ここでは、私が自分のリーダーシップの旅を再スタートするときに私の頭の中にあるいくつかのレッスンを共有しましょう。

  • 経済的な利害は大きい。移行がうまくいくと利益は5%伸びる。
  • 文脈が大きく関与する。新しい役割か?偶像視された人の後任なのか、もしくは、大惨事の後処理なのか?前任者はうまくいっていたが長く居すぎて歓迎されなくなったのか?成功への道筋は状況を正確に評価してそれに従って計画を調整できるかどうかによる。
  • リーダーの移行だけが成功を説明できると思うと失敗する。同僚や部下、シニアリーダーの全員が重要な(かつ説明責任のある)サポートネットワークの一部でなければならない。
  • 効果的な移行には1年以上かかることが多いので、90日間とか100日間という考え方は期間として不適切。間違った安心感を与えたり、さらに悪いことには真の成功を犠牲にして短期的な成功を誉めることになりがち。
  • 最後に、組織は、リーダーシップの移行を日常的な活動として扱わなければならない(なぜならば、そうだから)。

わたしが最も身近な「最初の90日間」を始めたとき、上の3点目(=「リーダーは一人では成功しない」)が最も役立っています。私は、当社の取締役会議メンバーからのメンターシップ(と厳しい愛情)、ならびに、私のチームメンバーからのサポートと(必要な時には)反対意見を享受しています。組織の新しいリーダーたちが最初の3カ月をうまく過ごして成功し続けることができるよう我々は最善を尽くしています。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

3ヶ月間の仮配属や3年毎の異動など、3と言う数字は新しい環境で人がどうなじんでいくかの区切りによく使われます。「三日坊主」や「石の上にも3年」もそうですね。

原文は以下のURLです。
https://www.linkedin.com/pulse/my-first-90-days-new-leaders-cannot-should-succeed-alone-tom-monahan?trk=mp-reader-card

文責:堀 博美

タレントマネジメ
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