SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLブログから、採用プロセスのモバイル対応に関しての記事を取り上げます。

第312回 モバイル・ファーストの採用プロセスに関する検討点

モバイル対応の採用プログラムは複雑です。戦略設計と実装において人事と採用担当者をサポートする、基本的な検討ポイントがいくつかあります。

最近、インターネットに接続するのに携帯電話を使う人が、デスクトップコンピュータを使う人と同じくらいになってきました。2020年8月の時点で、アメリカ人の46%が携帯電話経由でインターネットにアクセスし、50%がデスクトップコンピュータ経由でアクセスしていました。世界で見ると、携帯電話が51%でデスクトップが46%です。註1

人事担当者は頻繁に変化する労働環境を念頭に置いて採用活動を強化し始めており、将来の採用戦略を考えるとモバイル対応は一見の価値があります。

以下の点を検討しましょう。

多くの場合、人事および採用担当者は、アセスメントのモバイル対応に焦点を当てるだけです。意図はよいのですが、ATS(応募者追跡システム)がモバイル対応でなかったり、企業サイトの社風プレビュービデオがモバイルの画面比率に合わなかったりすることによって、モバイル対応の選抜アセスメントの推進が阻まれる可能性があります。プロセス全体をエンドツーエンドで確認することは、人事や採用担当者にとって、モバイル対応がどれくらい大きな影響を与えるかを理解するために重要です。

応募者全員がモバイルデバイスで応募したいとは限りません。コンピューターの前に座って仕事に応募したいのはラッダイト(技術革新反対論者)だけでしょうか? 違います!
2019年には、93%の企業が応募者にモバイル対応のオプションを提供しましたが、実際にそれを利用したのはわずか17%でした。註2

同じ調査によると、モバイルオプションを利用した応募者はわずか17%でしたが、オプションを利用できるようにしたことによって応募者の会社に対する印象が高まりました。つまり、オプションを提供することは重要ですが、それが必ずしも成否を決めるものであるとは限らないということです。疑う場合は、候補者へのフィードバックを採用プロセスの一部に入れてみてください! 応募者がどのデバイスでプロセスの一部またはすべてを完了したいのかどうかについて的を絞った質問をしてから、プロセスを再検討しましょう。

モバイルフレンドリーな応募プロセスを作成する際の大きな考慮事項の1つは、仕事との関連性です。あなたがモバイル化しようとしているプロセスは、採用された後、従業員がPCで実際にしなければならないことですか? コールセンター職への応募者のタイピングスキルを評価する必要があるならば、採用された場合にどこでタイピングするかを考えてください。モバイルデバイスですか、それともPCですか? 彼らが多くの時間PCで作業するのであれば、選抜アセスメントと職務要件を関連付け、タイピングスキルに関する選抜アセスメント部分をモバイルでないデバイスで行う方が理にかなっています。同様に、コールセンター職でやることのシミュレーションを応募者にやらせたい場合は、採用後の勤務環境を考えてください。おそらく、コールセンターのチームは、フルキーボードと適度なサイズの画面を備えたラップトップまたはデスクトップで作業するでしょう。応募者にできるだけ現実的な体験を提供して、応募者が自分が何ができるかを示すことができるようにします。

前述の通り、採用された場合に期待されることと一致するかなり現実的なシナリオで応募者にスキルを示すよう求める場合、プロセスのそれらの側面をモバイル対応にしないことは合理的です。企業はこれらの懸念をさまざまな方法で回避することができます。そのような回避策の1つは、応募者が面接に来たときに、選抜アセスメントのモバイルでない部分だけをその場で実施することです。それをうまくやる鍵が明確で一貫性のあるコミュニケーションです。応募要件に関するリマインダー、応募完了後に選抜アセスメントにかかる時間、採用担当者からの返信はいつになりそうか、などに関する現実的な期待を設定します。

貴社が採用においてテクノロジーとイノベーションの最先端にいる場合でも、まずは応募者追跡システムから始めたばかりの場合でも、上記の4点を心に留めておくと役立つでしょう。すなわち、1.採用プロセスを見直してモバイル対応の問題点を確認すること、2.応募者にとって何が重要かを理解すること、3.表面的妥当性と職務関連性を検討すること、4.応募者に明確で一貫したコミュニケーションをすること、の4つです。


(註)
1:https://gs.statcounter.com/platform-market-share/desktop-mobile-tablet/worldwide
2:TalentBoard (2019). 2019 North American Candidate Experience Research Report.

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

ブログの筆者はValerie Rogers。SHLグループのTalent Solutions Consultantです。

註1で紹介されているサイトによれば、日本は2020年8月の時点で、モバイル40%、PC57%です。グローバルと比較するとまだ少し開きがあるように見受けられますが、採用プロセスのモバイル化について皆様はどのように考えられているでしょうか?

モバイル対応と言えば、当社は、選抜アセスメントのうちの能力テストについて、新しい形式の能力テストVerify Interactive日本語版の発売を開始しました。英語オリジナル版の開発発表時、本コラムでも何度かご紹介しました(第282回、第285回)。もともとモバイル対応を念頭に開発されたものですが、それだけでなく、受けていて楽しく(受検者エクスペリエンス)、かつ最新の採点技術が導入されています。詳しくは御社担当コンサルタントまでお問い合わせください。

(文責:堀 博美)

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