堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は米国の雑誌Talent Management 1月号の記事の抜粋をお届けします。

第118回 雑誌記事 Marriage of Equals

人的資源の最大化とパフォーマンスの向上を図るために、人事のリーダーたちは組織の垣根を壊して、協力して社員の能力開発活動を実施しなければならない。

関係が良好な場合、それは結婚のようなもので、単独で行動するよりも一緒に行動するほうがうまくいきます。

最高人事担当責任者(Chief Human Resource Officer:CHRO)と最高研修担当責任者(Chief Learning Officer:CLO)の場合、結婚のような関係が組織や社員の能力開発に効果的ですが、ただしそれは、互いが良くコミュニケーションをとり、それぞれの課題の整合性を取って、互いの担当分野を尊重する場合のみです。さもなければ、社員が被害者となり、組織の資源は重複または誤用され、ビジネスニーズは満たされないまま放置されることとなるでしょう。

成功事例

CHROとCLOの関係は会社によって様々ですが、一般には後者が前者の監督下にあることが多いです。しかしながら上下関係はあまり重要ではありません。重要なのは、CLOがアクセスできる情報のレベルや、(自分の専門性を示すためではなく)ビジネスを推進するものとして教育研修を活用したいと思う程度です。

例えば、半導体商社アヴネットでは、CLOがグローバル会議に参加し、会社の教育戦略開発に活用されるベストプラクティスやベンチマーキング、社内からの情報をプレゼンテーションします。

上級副社長兼CHROであるメリーアン・ミラー氏はCLOと毎月ミーティングを持ち、既存施策の進捗状況を吟味して、教育戦略や実施においてビジネスの変化に伴う変更が必要かどうかを判断します。このような協力がうまく機能して、研修プログラムが何もないところから作られたものではない、効果的なものであることを確保できている、と彼女は述べます。

『これまでのCLOの中には、一番になることや他社と比較することに集中しすぎて、我々のビジネス特有の戦略を目的としない人もいました。それでは必要なレベルの参加度や支援が社内から得られません。』

そのようなタイプのCLOは自分は研修の専門家であると思って他部門と連携を取らず一匹狼となる、と彼女は言います。しかし、ビジネスニーズを考慮しない専門性は予算の時期に問題を起こす可能性があります。予算を獲得するためには他部門と競合しなければなりません。幹部が研修プログラムが自分たちのニーズに合っていないと感じたら予算はもらえません。

教育研修は、採用やサクセッションプランニング、パフォーマンスマネジメントなど多くの人事機能と関連します。縦割りの仕事は他の専門性を利用する力を弱めます。

他方、人事の各機能が共通の枠組みの中で協力すれば、社員は有意義な職業生活を送ることができ、会社はサービスから最大の恩恵を得ることができます。

バンク・オブ・アメリカの上級副社長兼人事部長のウィル・ルイス氏は、ベストの人材を見極めてうまく導入し、彼らが社内でも成長し続けることができるよう能力開発の道筋や経験を与えていくためには、採用活動が教育活動と連携することが非常に重要であると言います。

しかし、実際どの程度の協力をすべきなのでしょうか? バンク・オブ・アメリカでは、社員のパフォーマンス向上に必要なツールやマテリアルについて、人事チームが研修チームに情報を提供するそうです。一方、研修チームは社員に欠けているスキルや能力についての知識を共有できます。あるスキルについてかなりのコーチングやトレーニングをしているかもしれません。そのような情報が共有されれば、採用チームはそれらのスキルを持つ、または、容易に学習できる人材を見つけることに焦点を絞ることができます。

誰が誰に何を提供するにしても、効果的に連携するためには、組織が全体の人事戦略を持っていなければなりません。さらに、施策や戦略の最初の企画段階から研修チームが人事チームと協力していれば、研修チームが最後の帳尻合わせに陥ってしまうようなことになることは少ないでしょう。

何を誰と行うか?

SHLリージョナル副社長のトニー・アネロは、共通するフレームワークのもと2つの機能が仕事を進めることは増えてきたがまだまだ連携が足りない、と言います。今、重点的に取り組むべきことは、普遍的なコンピテンシー群を設定して採用前から採用後までの活動を結びつけるインフラを確立することによって、リーダーたちが社員の異動や昇進のタイミングを判断できるようにすることです。

『部署に関わらず組織に理解させるべきもうひとつの重要なことは、社内で最もインパクトのある職務は何か、そして、その人々を支援するような人材戦略を我々はどのように協力して創り上げることができるのか、ということです。それをROIとして金銭で示します。また、研修チームはコンピテンシーをサポートすることができます。採用チームはそもそもの最初にそれらのコンピテンシーを持つ人を探しますが、後から開発できるスキルもあります。コンピテンシーと、それらのコンピテンシーのサポートは同じくらい重要です。さらに近年ではそれらに付け加えたいものがあります。それは、「learning agility(学習の機敏さ)」や「openness to change(変化への開放性)」などの新しいものを測定できる能力です。』

研修リーダーはビジネスの問題に積極的に対応し、人材ソリューションがそれらにどう対処できるかを理解しなければならない、と彼は述べます。さもなければ、会社が戦略を変えなければならない時に一時しのぎの測定や人材発掘に多額の金銭を費やすことになるかもしれません。

(後略)

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

記事の後半もCHROとCLOの連携についての考察やコメントが続いています。両者の共通の目的は変革を推進し、組織がその戦略目標を達成することを援助することです。行動変化のためには、教育研修だけでなく、採用基準や人事評価、インセンティブや給与体系など様々な施策を連動させるべきだと論を進めています。

人事諸機能の連動について、欧米企業と日本企業を比べるとどうなのだろう、と思いました。個人的には日本企業のほうが各々が専門化しすぎていない分、連携しようとする意識は強いのではないか、と考えます。ぜひ皆様のご意見をお聞かせください。

文責:堀 博美

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