堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループのネット配信「SHL Newsletter」や広報誌「SHL News」、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回取り上げるプレスリリースは、イギリス大卒者の就職に関するSHL調査結果です。

第76回 大卒者の60%が仕事を見つけられていない

【調査結果のポイント】
・ 調査対象者(過去3年間の大学新卒者)の40%(最大で約41万人)が、『年間授業料に9000ポンド支払わなければならなかったならば大学に行かなかった』と回答。
・ 採用担当者が求める一番の基準は仕事経験。しかし、インターンシップの40%は無報酬。そのため、ほぼ全ての大卒者が仕事経験を得るために無報酬で働く。
・ オンラインで採用企業に自分を売り込むことを考える大卒者は39%にすぎない。しかし、採用企業は候補者の選抜にソーシャルメディアを使っている。

SHLの調査で、この3年間に大学を卒業した人の60%が大卒者としての仕事を見つけられなかったことがわかりました。最大で61万1682人になります。この調査では最近の大学新卒者1000人と採用担当者350人から回答を得ました。

大卒者は大学教育の価値を疑問に思っている

『毎年9000ポンドの授業料を払わなければならなかったならば大学へ行かなかっただろう』と回答した人は新卒者の40%(最大で40万7778人)でした。さらに、73%が仕事を見つけるために海外に移住することを考えています。最大の理由はより高い給与を得るためです(36%)。これらの数値は昨年卒業したばかりの人について一層強まっています。大卒者としての仕事を見つけた人はたった34%で、75%が海外移住を考えています。

調査結果から、大卒者が仕事を見つけるためにそこまでやろうとしていることがわかる一方、彼らがイギリスの大学教育の価値に疑問を感じ、自分たちのスキルを海外に移すことにオープンであることがうかがえます。

無報酬で働くようプレッシャーがかけられている

回答した全ての大卒者が、『自分が選択する分野で経験を得るために無報酬で働く覚悟がある』と答えました。39%が『仕事を見つけるために3ヶ月以上無報酬で働く覚悟がある』と回答しました。企業の40%がインターンに報酬を払わないのに、採用担当者の43%が『応募書類を一次選抜する際に見る最も重要な特徴』として『仕事経験』をあげているからでしょう。

長期間の無報酬インターンシップなど、大卒者がキャリアを深めるためにいくつかの犠牲を払っている一方、『採用企業にオンラインで自分を売り込む』ことを考える大卒者は39%しかいません。しかしながら、採用担当者はすでに、候補者の一次選抜にソーシャルメディアを使用しています。たとえば、採用担当者の34%が候補者の一次選抜にLinkedInを使っていますが、LinkedInを使って職務に応募した大卒者はわずか5%です。

SHLビジネスソリューション担当副社長シーン・ハワードは次のようにコメントしています。『イギリスは大卒者を失望させています。卒業生は困難な決定に直面します。大学へ通う費用が高騰しただけでなく、国内での雇用の選択肢は寒々しいものです。大卒者は、キャリアアップというはしごの最初の段に足をかけるために、無報酬のインターンシップを受けなければならないというプレッシャーをかけられます。お金がかかるのは大学に行くことだけではありません。仕事経験を得るにもお金が必要です。このままでは、将来、よい仕事は、大学に通うことができ、かつ、無報酬の経験もできるくらいの経済的な余裕のある人たちに限られてしまうかもしれません。大卒者がキャリアを海外で探すという考えにオープンであることは理解できますが、イギリス産業界は頭脳流出の可能性に直面しています。政府が授業料を再検討しないならば、採用担当者は採用基準を見直す必要があります。』

さらに続けて述べています。『これらの結果について私が本当に驚いたのは、ソーシャルメディアという点で大卒者がチャンスを逃していることです。彼らはプライベートではこのコミュニケーション手段を非常に活用している世代ですのに。求職活動を補助するソーシャルメディアのポテンシャルはまだ実現されていないようです。』

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

先日、厚生労働省から発表されたデータによれば、平成23年度4月1日現在で日本の大学卒業生の就職率は91.1%です。前年同期比0.7ポイントの減、平成12年3月の過去最低と同率だそうです。この記事の調査結果より大分状況はよいようですが、イギリスの調査は『調査回答者の60%がhave not found a graduate job』ですから、『大卒者としてふさわしい仕事をみつけたかどうか』『自分の希望する仕事に就けたかどうか』というニュアンスを考えると、一概に同レベルで比較できないものかもしれません。

記事ではソーシャルメディア活用についても触れています。採用メディアとしてのLinkedInやFacebookの可能性について世界中で試行錯誤が始まっているようです。

文責:堀 博美

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