SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLグループHPブログからの記事をご紹介します。

第322回 優れたIT人材を採用するための4つのポイント

優秀なIT人材とはどんな人材なのか、採用における課題とそれを解決するためのヒントをご紹介します。

2021年1月19日 アレクサンダー・ラッツェル

パンデミックは、私たちの生活、交流、働き方に影響を与えただけではありません。歴史上最大のデジタルトランスフォーメーションを促進するものでもありました。リモートワークが新たなスタンダードになり、パンデミック以前のレベルに戻る可能性は低いでしょう。店舗は長い間閉まったままで、さまざまな商品についてオンラインショッピングが増えています。Eコマースは世界で16.5%、中央および東ヨーロッパで21.5%、 ドイツで10.3%、と急上昇しました。デジタル化の必要性とスピードが高まった結果、組織のIT予算と技術投資は、世界全体で29%という前例のない割合まで押し上げられました。

どこで採用・配置するかによって、2つのシナリオが想定されます。

  1. 候補者が少ない――その地域でのIT人材が不足している、雇用主があまり知られていない、場所や予算の問題など、様々な要因があります。
  2. 候補者が過剰――IT人材(スキルレベルはさまざま)、強力な採用ブランドやEVP(従業員へ提供できる価値)を持つ雇用主(Google、Amazon、または有名なB2Cビジネスや消費者ブランドなど)、望ましい場所、評判、大きな予算、などが溢れる市場で見られます。

しかし、どちらのシナリオであっても、最高のIT人材を採用するために鍵となる要因は同じです。

  1. 検証された包括的で一貫した基準を使用して、優秀な人材を定義し、基準に照らして候補者を評価すること
  2. 多様性と募集する場所を増やして、優秀なIT人材の候補者集団を増やすこと
  3. 魅力的な候補者体験を提供し、候補者があなたの採用プロセスに興味を持ち、没入できるようにすること
  4. 可能な限り多くのプロセスを自動化し、バイアスを取り除き、より良い意思決定を行い、競合他社よりも速く採用通知を出すこと

これらを実現する方法を詳しく見てみましょう。

優れたIT人材の基準のうち、最初に登場するのは、もちろん、プログラミングや開発スキルなどのハードスキルです。ビジネスのデジタル化に必要なプログラムとコードをうまく書くことができるかどうかを判断できます。次に登場する基準は別の要素です。よりデジタル化した世界において継続的な成功を可能にするコンピテンシーやソフトスキルです。下の図はそのような基準の例です。

さらに、他者をリードしマネジメントするIT人材を求めている場合には、リーダーシップポテンシャルや組織の価値観との整合性が重要な基準になる可能性があります。

成功を決定するのは、ハードスキルとソフトスキルの適切な組み合わせです。

最高の人材を見つけるには、#1で確認した基準に適合し得る幅広い人材が応募できるようにする必要があります。デジタルな応募方法を採用すると、応募しやすくなるでしょう。さらに、フォーマルな資格や要件にあまり焦点を当てず、ただ「適切な学歴」とすれば、応募する人材が増えます。その後、基準に照らして評価をすればよいのです。

良い候補者経験が応募プロセスで重要な理由は、山ほどあります。嫌な候補者経験や長くて不格好な選抜プロセスのために優れた候補者を失いたくはないでしょう。多くの場合、候補者は潜在的な顧客でもあります。したがって、明確に定義されていて分かりやすく、最先端の、没入型で高速なデジタル応募・選抜プロセスが、優れた候補者と潜在的な顧客を維持するための鍵となります。候補者に力を与え、自分のパフォーマンスについてフィードバックしてくれるようなプロセスです。

ハードスキルとソフトスキル両方について基準を定義したら、これらの基準に照らして可能な限り迅速に、客観的に、かつ適切に評価することが成功の鍵です。適切なツールとプロセスを使用すると、偏見がなくなり、公平性が担保され、意思決定の質が向上し、スピードもアップします。例えば、オンラインコーディングテストは、候補者のコードを書く能力を評価できます。些細な構文エラーを自動的にチェックできるAIを導入すると、「コードがコンパイルされるか、コンパイルされないか」という二元論の結果ではなく、コードの定性的な評価を行うことができます。小さなミスによりネガティブな評価をしてしまうことが減り、より適切な人材を特定することにつながります。さらに、標準化され自動化された方法で組織への適合度やリーダーシップポテンシャルを評価することで、効率、有効性、そして最終的には候補者経験も改善されます。

ビジネスの成功を推進する人材を採用する際、上にご紹介した4つのポイントが組織に競争力を与えます。人間の意思決定プロセスに取って代わるものではなく、強化するものであるという点に注意してください。多様で熱心な候補者を増やし、そこからスキルと適合性に基づいて候補者を絞りこみ、採用マネジャーが、スキルやポテンシャルに関するデータだけでなく、チームや組織への適合度も考慮した上で最終決定を下します。

候補者が少なくても過剰であっても、IT人材の採用は難しいでしょう。また、候補者のテクニカルスキルと対象職務への互換性を確認する方法は簡単に分かるものではありません。したがって、企業が適切なリソースと努力を投資して、適切な候補者集団をひきつけることが重要です。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちら。
https://www.shl.com/en/blog/4-key-factors-to-recruit-top-tech-talent/

著者のアレクサンダー・ラッツェルはSHLのドイツ語圏のカントリーマネージャーです。コーディングテストは日本ではあまり耳にする機会がありませんが、ヨーロッパなどではよく活用されているようです。

(文責:廣島晶子、監修:堀 博美)

タレントマネジメ
ントコラム 日本エス・エイチ・エルの人事コンサルタントの視点

バックナンバー

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年

学会発表論文