SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループが配信している「SHL Global Newsletter」やHPから記事をピックアップ、日本語に翻訳してご紹介するものです。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

前回に続き、企業の最前線で顧客サービスにあたるコールセンターや顧客対応窓口のスタッフの採用・評価についての事例をまとめてご紹介します。

第40回 事例:コールセンター・顧客サービスのスタッフ採用(2)

SHLは様々な業界のコールセンターや顧客サービス・スタッフの採用・評価を支援しています。

事例4:某地方自治体 コンタクトセンター

背景
イギリスのある地方自治体が、新しく設立したコンタクトセンターのスタッフを採用したいと考えました。センターの目的は、住民からの大量の問い合わせへの対応サービスを改善することです。
チャレンジ
・コンタクトセンターのスタッフの採用戦略を立案すること
・問い合わせへの対応率を向上させること
解決策
オンラインで、能力テスト(言語・計数)とCCSQ(カスタマー・コンタクト・スタイル検査)を実施し、顧客サービスの適性を評価しました。
結果
電話問い合わせのうち、対応できなかった率が26%から2%に減少しました。また、CCSQを利用して職務適性を確保したことでスタッフの離職率も改善しました。

事例5:某金融機関 コールセンター

背景
顧客からの問い合わせに対応するために、この金融機関はイギリスの各地にコールセンターを持っています。
チャレンジ
・コールセンタースタッフの採用に当たって、応募状況を管理するe-採用パッケージを開発すること
・候補者の一次選抜に使用するツールを含め、コールセンターの採用プロセスを標準化すること
解決策
応募者の管理・選抜に「Talent Screener」を利用しました。「Talent Screener」は受検者にシナリオに基づいた一連の質問をするものです。realistic job preview(リアリズムに徹した職務情報提供)の機能を果たすため、応募者のself-selection(自己選抜)も促されます。
結果
導入後14ヶ月で、大多数の応募者がe-採用パッケージで管理されるようになりました。面接で落ちる応募者の率が61%から20%に低減しました。

事例6:某レンタカー会社 予約センター

背景
あるグローバルなレンタカー会社が、予約センターの仕事への応募者を評価する方法を必要としていました。
チャレンジ
・優秀な応募者を採用すること
・会社の文化や価値観に合致するスタッフを採用することで、離職率を下げること
解決策
2つのステップで応募者を選抜しました。まず、一次選抜ツールとして、DSI(Dependability & Safety Instrument)を実施しました。DSIはその仕事をするにあたってどれくらい信頼がおけるかを評価するものです。続いて、CCSQとMQを実施しました。予約センターでの役割に求められる顧客志向などのコンピテンシーに照らして受検者を選抜するためです。
結果
評価手法は、その役割で受検者が優れた成果を収め、顧客ニーズを満たすことができそうかどうかの予測指標として信頼できるものであることが実証されました。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

顧客と最前線で接するコールセンターの役割は重要です。筆者自身の消費者としての経験からも、商品やサービスが複雑化する中、企業に直接電話して問合せることが増えました。そういうときに相手がどれくらい親身になってこちらの言い分を聞き、また専門的な知識をもってどれくらいうまくこちらの疑問を解決してくれるかによって、その企業に対して持つイメージが大きく変わります。基本的な知的能力と、パーソナリティや行動スタイルとしての職種適性の確認は必須でしょう。

一方、企業サイドにとっては、コールセンターのスタッフ数のボリュームは大きく、また離職率の大きくなりがちな職種ですから、採用にあまり大きな費用をかけられない、というのが実情でしょう。時間・費用の面で、効果的な手法を効率的に実施する工夫が求められます。

今回ご紹介した6社のうち半分の3社で触れられているCCSQ(カスタマー・コンタクト・スタイル検査)は、コールセンターを始めとする顧客サービス職、営業販売職に求められる要件に特に焦点を当てて測定するものです。この夏、日本版がリリースされてご好評いただいております。詳細については、ぜひ弊社コンサルタントもしくは本HPお問い合わせページなどからお問い合わせください。

文責:堀 博美

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