堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLのブログから、ダイバーシティに関する記事をご紹介します。

第267回 ダイバーシティとインクルージョン

ダイバーシティはホットなテーマですが、多くの会社は目標に対してあまり進んでいません。インクルージョン施策を強化することで、会社はより速く前に進むことができるのでしょうか?

顧客やマーケットの多様性を反映するような社員集団を構築することはいいことです。多様性のある組織は競合と比べて業績がよく成長や革新が速いことは、調査結果が示しています。

今日のダイバーシティに関する議論や注目の多くは、男女平等、同一賃金の達成に集中しています。しかし、民族や人種、知的能力、性的嗜好の点で会社はもっとやらなければならない、というのが現実です。

割り当てや目標、法律を設定しても、我々は現在の地点から大きく前進しそうにありません。しかし、我々の持つ無意識のバイアスを明らかにし、人々の違いを歓迎することによって、ダイバーシティとインクルージョンへの障壁を大きく低減できます。

有名なダイバーシティ・コンサルタントで著述家のヴェルナ・マイヤーズは、『人種の偏見を乗り越えるには?彼らに堂々と歩み寄って行くのです』と題したTEDトークの中で、ダイバーシティとはパーティに招待されることで、インクルージョンとは「踊ってください」と頼まれることだ、と述べています。ダイバーシティはrepresentation(表明)であり、インクルージョンはinvolvement(関与)です。

このふたつはかなり異なるもので、人々や組織がそのことを理解するよう支援することが重要です。

トレバー・フィリップス(イギリスの作家、ブロードキャスター、元政治家で、平等人権委員会議長)はこの比喩をさらに広げ、インクルージョンとは、(「中年の白人男性が一晩中U2を演奏している」のを聞くのではなく、)自分が踊りたい音楽を選ぶことだと説明します。一方、ダニエル・ジュディ(オハイオ州とインディアナ州のダイバーシティ委員会のディレクター)は、インクルージョンとはパーティを企画する委員会のメンバーになることだと言います。

その見方でいくと、インクルージョンとは、歌をリクエストしたり踊ってくださいと頼まれたりするようなちょっとしたことで甘んじることではありません。パワーバランスを正すことです。我々は、皆を職場に温かく迎えることに焦点を合わせる必要があります。

非意図的に人を排除するのは、あなたの会社の言葉やイメージ、アクセスのしやすさなどの単純なものです。仕事の募集広告や職務記述書で使われるある言葉やフレーズがある層に応募する気をなくさせる、という研究があります。同様に、職場で使われるイメージや装飾が、自分はこの組織に合っていないと人々に感じさせることもあります。そして、もしウェブサイトや建物が、さらには採用/能力開発アセスメントが、誰でも利用できるものでないならば、その会社で成功するチャンスが全員に公平にある、とは言えません。

現在の要件に疑問を持ち、異議を唱えることも必要です。それらは全て本当に必要なのか、それとも単に慣習か?いつもと同じ人材プールやルートから人を採用しなければならないのか?全員が同じ服装で同じ時間、同じ仕事パターンや勤務地に収まらなければならないのか?本当に必要なこともありますが、そうなのか、それともただ自分が慣れているだけなのか?必要でない場合は、現状の見直しに目を向け、ちょっとした変更がより有能で適した人材に手を伸ばすことにどう役立つかを探ります。

あなたの会社が目を向けるべき最も重要な側面の最後のひとつは、ほぼ間違いなく、問題解決と意思決定により大きな多様性を持ち込むことです。様々なスキルや視点、経験を持つ多様な人々のグループは、問題に対するより良い解決策を見つけ、ビジネスにとってのより良い決定を下します。

以上全てが、あなたの職場をよりインクルーシブにし、新しく入る人を温かく迎えることにつながるでしょう。しかし、もしあなたが真剣に変えようとしているならば、会社の中で積極的に動き、会社の内部からダイバーシティとインクルージョンを活気づけなければなりません。

メンタリング施策は社内のつながりを強化し、様々な人々の意見や経験に接して昇華することを可能にします。信頼できる人にロールモデルとして、会社での経験を話してもらいましょう。周囲の人が同僚を理解してその良さがわかることに役立ち、また、様々な人があなたの会社にどのように適応して成功しているかを示すことにもなります。

最後に、わかり切ったことを忘れてはいけません。会社トップからのコミットメントです。社長が欲しいものは大抵、社長は得ます。マイヤーズさんが言ったように、ダイバーシティとインクルージョンの取り入れには、「社員の多様な文化と背景を理解してその良さを認めること」を完全に統合する組織の力が求められます。もしあなたの会社の経営層がダイバーシティとインクルージョンを進めることに熱心でないならば、実質的に変わるものは何もないでしょう。ですから、この問題に対しては我々全員が自分自身(と周囲の人々)の責任を問うべきなのです。

我々は皆、自分の偏見を認め、直面しなければなりません。好奇心を持ちましょう。質問をし、異なる見方を求めましょう。居心地の悪さを心地よく感じましょう。周囲の人のために、無意識的偏見と組織的偏見の両方に介入し、疑問を持ちましょう。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

ダイバーシティも「働き方改革」のひとつですね。このエッセイの最後、「居心地の悪さを心地よく感じましょう」(原文:Get comfortable with feeling uncomfortable.)というフレーズが印象に残りました。

(文責:堀 博美)

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