SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループが配信している「SHL Global Newsletter」やHPから記事をピックアップ、日本語に翻訳してご紹介するものです。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、職務満足についてSHLがイギリスで調査した結果に関するニュースです。

第37回 約600万人のイギリス労働者が職務に満足していない

イギリス人口のかなりの割合が自分の職務で充実感を感じていないことが、SHLの調査によって明らかになった。(2009年9月24日プレスリリース記事)

  • 若者が最も、自分が適切な職務についていないと感じている。
  • 職務充足への欲求は社員にとって「不況における再考」という時限爆弾となる。
  • 経済がよくなったとき、若手社員が競合会社に転職する可能性はかなり高い。

SHLの調査によれば、イギリス人口のかなりの割合の人々が自分の仕事に充足していない。イギリス人1000名以上を対象とした調査で、5人に1人以上(22%)が「ほとんど/一度も職務満足を感じたことがない」と回答した。これは、イギリス全体で約600万人にあたる。

問題は若手労働者で一層深い。16〜35才の4分の1が「ほとんど/一度も職務満足を感じたことがない」と回答。同様に、この年令グループの23%が「自分が適切な職務についていると思わない」と回答した(全体では17%)。

職務満足の欠如は会社にとって時限爆弾である。回答者のおよそ3分の1(32%)が、不況の結果、「自分が働きたい会社のタイプを再吟味している」と回答。さらに、4分の1が「経済が回復したら転職することを考えている」と回答した。その理由の上位は、「より安定した仕事につきたい」(19%)、「仕事を楽しみたい」(15%)、「自分と同じような価値観の会社で働きたい」(9%)というもので、「不況における再考」とでも名づけられるだろう。

この問題は若手労働者でより顕著である。35才以下の半分近く(43%)が「自分が働きたい会社のタイプを再吟味している」、3分の1強(37%)が「経済が回復したら転職することを考えている」と回答している。多くが、その理由は「より安定した仕事につきたい」(31%)、「自分が楽しめる仕事を見つけたい」(24%)から、と述べている。

小売・レジャー・ケータリング業界が最も職務満足が低かった。31%が「ほとんど/一度も職務満足を感じたことがない」と回答している。その次に低いのが官公庁で28%。医療と教育業界が最も職務満足が高く、それぞれ59%と51%が「ほぼ/常に満足している」と回答した(全業界平均は44%)。

SHLのCEOディビッド・リー氏は次のようにコメントしている。「職務充足や職務適合の欠如は、社員のエンゲージメントや意欲に影響を与え、その結果、生産性に影響を与えます。これは現在の経済環境で会社が提供できないものではありません。この時期に自社の人材を最大限に活かすことが重要です。つまり、適切な人材を適切な役割につけ、それによって社員が充足感を感じて自分の能力を最大限に発揮できるようにすることです。そうしなければ、経済が上向いたとたん社員が離れていくことになり、長期的な成功に重大な損失を招くでしょう。」

「適切な人材を適切な役割につけるには、会社が、採用段階とその後の段階の両方で、必要なコンピテンシーを理解し、それらに対して社員の能力を評価・開発する必要があります。そうすれば、社員が高い業績を収める確率が増し、社員自身とビジネスの両方にとって利益になります。エンゲージメントと意欲を定期的に調査することも、問題分野を浮き彫りにし、遅すぎることになる前にそれらに対処するために有効です。」とリー氏は結論付けています。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

職務満足度の調査結果はいろいろあります。ざっとネットで調べてもいくつかの数字が引っかかりました。アメリカの人材マネジメント協会(SHRM)の職務満足度調査(2008年;n=601)で、「とても/ある程度満足」が82%でした。また日本では労働政策研究・研修機構の「労働者の働く意欲と雇用管理のあり方に関する調査」(2004年;n=7828)で、「どちらかと言えば満足していない」と「満足していない」を合わせて17.7%でした。

調査結果の数字は設問の仕方や選択肢の表現によって大きな影響を受けるため、異なる調査結果を単純に比較することはできません。が、それにしても、今回のSHL調査で、「ほとんど/一度も職務満足を感じたことがない」が22%という数字は大きいのではないか、と感じます。

文責:堀 博美

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