SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLグループHPブログからパーソナリティ検査に関する記事をご紹介します。

第323回 採用用パーソナリティ検査の真実を明らかにする

HBO(*米国大手テレビ放送局)のドキュメンタリーが放映された後、パーソナリティ検査が脚光を浴びています。採用用パーソナリティ検査についての私たちの考えを読んでください。

2021年3月5日 イーファ・トーピー

ドラマが嫌いな人なんているのだろうか? 特に、このコロナウィルス禍、皆が実際の生活の中でドラマに飢えている時に。これが、パーソナリティ検査に関するHBOの最近の放送を見た後、私が感じたことです。このドキュメンタリーは、マイヤーズ・ブリッグス・タイプ・インディケーター(MBTI)を主に取り上げていますが、世界中の組織で使われているパーソナリティ検査全般に不満を投げかけています。気持ちを高ぶらせるものでした。人生の流れを変える可能性のあるものはすべて感情的なもの、それが私が番組から受けた姿勢とメッセージでした。より大きな真実を見つけるために、そのメッセージを掘り下げる価値があると私は感じています。

私は秘密にしません。私は、心理測定アセスメントの世界有数のプロバイダーの1つであるSHLで働いています。私たちがもつパーソナリティ検査は、主力製品の1つであるOccupational Personality Questionnaire(OPQ)です。このドキュメンタリーは私にとって真髄に迫るものであり、私はこの機会を利用して、何が事実で何がフィクションなのかについての私の考えのいくつかを共有したいと思います。

アセスメントは誤用される可能性があります。それは事実です。私たちの市場である人材アセスメント市場は、ほとんど規制されていません。それも事実です。何年にもわたる科学と厳密さに裏打ちされたアセスメントやアセスメントプロバイダーがある一方、その一部に見えてもほとんど根拠のないものもあります。それももうひとつの事実です。最大の問題は、外見が同じように見えるそのふたつをはっきりと分けることです。

職場におけるパーソナリティ検査の使用は、正当で非常に価値があると私は思いますが、この世界の多くのものと同様、それはあなたが検査をどのように使用し、検査結果の情報をどのように扱うかによります。詳しく見ていきましょう。

パーソナリティ検査には、タイプに基づくものと特性に基づくものがある−これがまず明確にする価値のあるポイントです。何年にもわたる科学と心理学文献は、タイプベースのアセスメントは人のパーソナリティを理解する上での役割を果たすけれども、選抜や採用の意思決定を行うために使用されるべきではない、という事実を立証しています。MBTIは分類するとタイプベースのアセスメントです。逆に、特性ベースのアセスメントは、職場行動の信頼できる妥当な予測因子であることが証明されており、選抜決定を支援するために使用できます。

選抜の意思決定を支援することがアセスメントの主目的である−これが次に私が指摘したいポイントです。正しく使用されればパーソナリティ検査は、特に採用において、コンピテンシー面接など他の選抜手法と一緒に使うなど、複数手法によるアセスメントのひとつとなります。理想的には、その職務で成功するために重要な能力を特定することから始め、次にそれらを測定するための複数手法プロセスを設計します。そのプロセスは、ほとんどの場合、特性ベースのパーソナリティ検査によって強化されると私は思います。

パーソナイティのアセスメントは、科学によって進められ支えられるべきです。残念ながら、そうではなく、勝ち残ったパーソナリティ検査が見た目はすごくクリエィティブだが中身のほとんどないものであることも多いものです。人材アセスメントにおける最高のプロバイダーは、長年の研究を蓄積して、パーソナリティデータがより良い人材意思決定に与える実証的な影響を明らかにしてきています。最高のプロバイダーはまた、パーソナリティ検査がマイノリティグループに不当に不利益を与えないよう、アドバースインパクトを注意深くモニターしています。疑わしい場合は、そういう研究結果を示すよう依頼してください。つまり、適切なアセスメントとアセスメントパートナーを選択することが非常に重要であり、貴社に大きな違いをもたらします。

パーソナリティの適合性のアセスメントは双方向です。パーソナリティ検査の使用は、組織が職務や組織背景に最も適した人々を特定するのに役立つだけでなく、個人が自分の好みや強みの領域に自然に一致する職務に配置されるのにも役立つはずです。概して、この一致が達成できれば、人は自分の仕事においてより幸せになり、より効果的に貢献し、より積極的になり、より定着するでしょう。すべての関係者にとってメリットのある結果です。

受検者の体験が鍵です。パーソナリティ検査に回答したとは、その人が時間を投資した、ということです。有意義かつ正確な、そして、仕事場面におけるその人の自然な行動の好みや傾向に関する自己認識を構築することを助けるようなフィードバックで報われるべきです。最高のパーソナリティ検査の中には、魅力的でパーソナライズされたビデオによってフィードバックが提供されるものがあります。

私から最後にもう一言。私はこれまでブログを書いたことがありません。しかし、このドキュメンタリーが一部始終を語っていないという気持ちから、矢も楯もたまらず書いています。これは私のパーソナリティについて何を示しているのでしょうか?実は多くのことを示しているのかもしれません。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちら。
https://www.shl.com/en/blog/uncovering-the-truth-about-personality-test-for-hiring/

筆者はSHLのUK&Iビジネスの戦略的アカウントディレクターです。

このブログで取り上げられているHBOの放送番組Persona、あいにく日本にいる私は知りませんでしたが、ネットを色々調べたところ、YouTubeで番組の予告宣伝クリップを見つけました。パーソナリティ検査が差別につながる可能性を強調しているようです。予告編は2分半くらいですので、ご興味のある方はご覧になってみてください。

訳者自身、人材アセスメント業界に長く関わっていますが、心理検査はある意味、薬と同じだと思っています。薬は誤って使われれば毒にもなりえます。検査の限界を認識したうえで、情報のひとつとして人材マネジメントにご活用いただきたいです。特に採用場面では受検者に関する情報が少ない中、パーソナリティ検査をうまく使ってその人の全体像に迫る努力は欠かせません。

(文責:堀 博美)

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