堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

2012年グループの新しい広報誌Connectが創刊されました。今回はその巻頭記事をお伝えします。

第94回 人材をめぐる戦い:here and now

経済不況が労働市場に影響を与えていることは紛れもない。しかしながら、応募者と採用側のどちらもが気をつけていなければ採用環境を正真正銘の地雷野にしてしまうような、いくつかの他の要因がある。応募者が仕事をめぐってこれまでにないほど厳しい競争に直面している一方、企業は適切な人材を採用して、ビジネスを推進する人事戦略を強化しなければならない。

多様性の価値

人材をめぐる戦いにおいて、応募者が自分を際立たせるようなスキルを示すことは絶対に必要である。大卒採用者協会(Association of Graduate Recruiters)、産業・高等教育協議会(Council for Industry and Higher Education)、研究機関CFEの調べによると、多国籍企業で求められる最も望ましいスキルは「文化的敏捷性」である。これは、第2言語をただ喋れるという能力を超えたものである。引き続いての調査では、グローバルな知識や考え方、自己認識、素早く学習する能力が企業が求めるコア能力であることがわかった。また、取締役メンバーの女性比率の高い企業は投下資本利益率が26%高い、という報告もある。

失業が競争に拍車

若年失業者数が100万人を超え、多くの企業が採用を凍結しているため、求職者数は増え、職務の数は減っている。見習い制度や職業資格が代替策となるかもしれない。政府は、小規模企業に見習い制度の提供を奨励する3000万ポンドの計画を発表した。また、英国雇用・技能委員会(UK Commission for Employment and Skills)による最近のリポートでは、経営者により責任を持たせ、見習い制度への投資により大きな報奨金をあたえるような基金の設立を呼びかけている。しかし、見習い制度は若者が受けるだけのものではない。Further Education Week誌は、見習い制度を受ける60歳以上の人が900%近く増加していることを報告している。

人材の移動

国境を越えた移住が適切な人材の探索に顕著な影響を与えていることに、気づいている企業は多い。経済協力開発機構(OECD)が先日発表した研究は、2000年から2006年の間に、高等教育を受けた人で中・高所得国から海外に移住した人が44%増え、かつ、全ての指標がこのトレンドが今後も増すことを示している。一般に、中国、ブラジル、インドが、外国国籍者を雇用しそうな国のトップ3であるとされている。ヨーロッパに本拠をおく企業にとって、このことはトップの人材を国内に留めておくための戦いのサインかもしれない。

既存の枠組みにとらわれない思考

創造的な取り組みで問題を克服しようとしている企業がある。たとえば、インドでは、新しい企業人事モデルが、スキルの高い新人を見つけるやり方を変えつつある。Youth4workは、学生がアウトソースされたプロジェクトで働き、収入を得ながら経験を積むことを可能にする。この取り組みは雇用機会につながり、現実世界のプロジェクトに触れる貴重な機会を提供する。企業にとっては、低いコストで多様なスキルにアクセスできる、直に学生と一緒に仕事をすることで有能な人材プールを調達できるなどのメリットがある。

戦いへの準備を

雇用環境はこれまでのようなものではない。競争は激しい。ベストな仕事を得たい応募者は、目立つためにこれまでのように立派な履歴書に頼るだけではいけない。企業は、大量の候補者プールはあっても、適切なスキルを見つけようともがいている。ベストな人材をひきつけるためには、旧式の採用戦略に頼っていてはいけない。人材をめぐる戦いに必ず勝てるよう、どちらの側も適切な準備をしなければならない。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

イギリス、ヨーロッパにおける採用環境、その背景がうかがえます。<多様性>の項で言及されている「文化的敏捷性」はcultural agilityの訳です。日本語でぴったりの訳語は難しいところですが、私はAgilityには「器用さ」のニュアンスも含まれていると解釈しています。またIT業界では、時代の変化やユーザーニーズの変化に機敏に対応できる柔軟さを意味するそうです。グローバル人材を考える際、はずせない概念だと感じました。

広報誌「SHL Connect」は電子版も用意されています。本コラムでは適宜、皆様が興味をお持ちになりそうな記事を取り上げてご紹介していくつもりですが、オリジナルの誌面を先にご覧になりたい方はここ(※メールアドレスの登録が必要です。)から入手できます。どうぞご利用ください。

文責:堀 博美

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