SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は人事専門誌Workforceデジタル版で2016年1月25日に掲載された採用面接に関する記事『Please Kill the Fourth Round of Interviews』をご紹介します。

第200回 面接4回は止めよう

もしあなたがほとんどの会社のように採用に面接を導入している会社にいるならば、制御不能の状態でしょう。面接プロセスが、合理的なものから馬鹿げたものへと変容しています。

なぜでしょうか? 答えは、ますます多くの会社がサバイバルゲームのような面接プロセスを実施しているからです。候補者たちは4〜5回、面接に呼ばれます。

4回目の面接は必要なのでしょうか? とんでもありません!

もしあなたが採用プロセスがこれまでよりも遅くなっていると感じているならば、その直感は正しいです。CEBの最近の調査データでは、空きポジションを埋めるまでのアメリカの平均日数は63営業日、と5年前よりも21営業日長くなっています。

長くなった理由の一部は景気回復によるものかもしれませんが、私は、そのほとんどは採用プロセスの非効率性によるものだと請け合います。

私たちは、時間をかけて多くの関係者を巻き込んで採用決定することがよりよい選抜につながる、と錯覚しています。4〜5回面接することで組織風土に合うかどうかなどをよりよく判断できると信じています。

簡単にいえば、それは真実ではありません。長いプロセスをかけて何度も面接を繰り返すことがよりよい選抜に結び付く、というのは、面接官に面接スキルがあり、複数の面接官の間での結果をきちんと統合できる、という仮定の下での話です。

残念なことに、候補者の特徴をより丁寧に分析するために4回目の面接が活用されるわけではありません。より多くの人に「拒否権を行使する機会」を与えるために存在しているのです。

大多数の会社のように、面接や選抜ということではあなたの会社の採用担当者は平凡であるとしましょう。何か施策を打って面接スキルを大きく改善するだけの時間も予算も方針もないとしましょう。

その場合、最善の策は、すでに虫食いの状態を4回面接というプロセスでさらにぐちゃぐちゃにすることではありません。採用担当者の上司にプロセスに入ってもらい、時間をかけて採用担当者を成長させることです。これがいわゆるメンタリングです。

あなたが採用担当者の上司を信頼できないならば、配属先になるあなた自身がプロセスにはいり、一緒に最終候補者を面接しましょう。ただし、他部署の人にはいってもらっての追加面接は必要ありません。時間がかかります。

もちろん、多くの会社では、配属先の部署以外の面接官との追加面接に候補者を回し、「組織風土適性」を測定しようとします。このやり方の問題点は、「自分たちと違う」候補者を不合格にさせることで人材の多様性を失ってしまうかもしれないことです。

組織風土適性というものが選抜の観点で定義されていないならば、それはただ、形のないものに基づいて人々に候補者を拒否する権利を与えているだけです。そのうちに命取りになるでしょう。

合格出しまで3〜5回面接を実施するならば、全ての面接のパワーを生かすよう、候補者の特徴をきちんと分析するプロセスがなければなりません。

全面接官に集まってもらって、各候補者の強みと弱みについての意見をすり合わせる結果検討会をしないならば、時間の無駄です。

3回以上の面接実施は採用機能を阻害します。2回の面接を好きなだけ詳細なものにしたり複数の人を巻き込んだりしてもいいですが、追加面接は見かけ倒しです。

統計数字が必要ですか? 先ほど引用したCEB調査リポートは、追加面接を止めることで空きポジションを埋めるまでの日数を削減すれば、1週間の削減ごとに2000ドルずつ節約できる、と述べています。

冗長な採用プロセスは無料だと思っているのですか? 違います。面接にかかる時間と、必要以上に長くポジションを空いたままにしておくことでチャンスを逃すコストを組み合わせると、かなりの金額です。

良識をもって採用プロセスに取り組むことで、これらの節減を実現できます。

もしあなたの会社の採用プロセスが面倒なものならば、攻めに出て、問題は人事や採用にあるのではない、面接の回数なんだ、と言いましょう。

5回もの面接は狂気の沙汰です。好きなだけ多くの面接官を入れて、初回の面接をしましょう。候補者を二人に絞って、もう一度来てもらい、イントレイ演習をさせたりトップ層との面接を行ったりして、決定しましょう!

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

本連載も200回を迎えました。2008年5月から始めた隔週掲載のコラムです。長期間にわたってのご愛読、誠にありがとうございます。

引き続きアンテナを広くめぐらし、皆様に役立つような情報をご紹介していきたいと決意を新たにしております。ご意見、ご要望がありましたらぜひお寄せください。

今後ともよろしくお願いします。

文責:堀 博美

タレントマネジメ
ントコラム 日本エス・エイチ・エルの人事コンサルタントの視点

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