堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はオーストラリアのオンライン人事専門サイトHR Dailyに先月掲載された、ハイポテンシャル者の発掘・育成に関連する記事をご紹介します。

第222回 ハイポテンシャル者についての誤解がプログラムを危険にさらす

ハイポテンシャル社員(HiPo)は3つの重要要素で見分けられますが、そのうちのひとつに関する誤解がリーダーシップ・パイプラインを危険にさらしている、と人材マネジメント専門家が述べています。

CEBタレント・プラクティス・ダイレクターであるサマンサ・ヒッキ−によれば、「HiPoとは、会社の中で昇進したいと思っており(意欲)、昇進後の職位で成功する能力を持っており(能力)、かつ、仕事に没頭して退職しない(エンゲージメント)社員」です。

しかしながら、人事リーダー約150名を対象とした先日のCEB調査結果は、最初の要素が広く誤解されている可能性を示唆しています。83%が、意欲は主にHiPoが生まれながらに持っているものだと考えています。

サマンサは次のように述べています。「職場の出来事は意欲に影響しない、意欲は各人の内的なもの、もしくは、家族や個人的な要因が影響を与えるだけだ、と思っているようです。しかし、それは違います。」

調査結果によれば、HiPoの意欲はただ、例えば、子供が生まれたとか、両親が年を取って面倒を見なければならなくなったなどの理由で変わるだけではありません。会社組織の要因が理由で意欲が変わることもあります。

「より上の職位に就きたいと人に思わせるような動機付け要因を見ると、その土台になるいくつかは、自分自身に挑戦し、自分自身を伸ばすチャンスを持ちたい、というものです。」(サマンサ)

HiPo社員もまたその他の社員と同じくらい、安定を重視し、安心感を求めます。調査結果によれば、もし彼らが目標を見失ったり今後のチャンスに不満を感じたりした場合、彼らが退職する可能性は他の社員よりも15%大きいです。

組織変革に対するHiPoの反応は様々です。『自分はAという職位に昇進するルートにいると思っていたのに、Aがなくなってしまった。じゃあ私はどうなるんだろう?』『今の仕事は5分ごとに変化する仕事であり、もうついていけるかどうか自信がない』『組織が変わったので、自分がどこへ向かうかがわかった』などなど。

「この種の問題が人々の意欲に実際に大きく影響することがわかりました。」(サマンサ)

それゆえ、「組織の移行や変化にあたり、ビジネスにおける機会やそれが自分にどういう意味を持つのかについて、HiPoがどう考えているのかをモニターすることが非常に重要です。」

『あなたの優先事項は何か?』『あなたの優先事項と組織の優先事項はどう位置付けられるのか?』『あなたの優先事項は変わったか?』などの質問が、組織変革についてHiPoがどう感じているかを上司が理解することに役立ちます。

「1年に1回はチェックしたいものですが、組織が大きな変化や急激な変化をした時には、その後にチェックし、どうなっているか確認するのがよいでしょう。」HiPoを構成する社員の組み合わせは状況によって違うからです。

「多くの場合、変化はいいものでも悪いものでもありません。HiPoにとって、それは、自分がどこに立っているかに気付き、それが意味することを掘り下げることなのです。」(サマンサ)

将来の方向に沿う人もいれば、沿わなくなる人もいます。しかし、意欲が唯一の要因ではありません。「全員を一掃するような変化はほぼないでしょう。むしろ、『よし、ではこのグループの人をとって』というふうに毎年検討して、人を入れ替えるのでしょう。」

よくある問題は、多数のHiPo社員を持っていても、必要な時にその職位に上がれるだけの準備ができている人が誰もいない、というものです。ですから、彼らを準備させるのにどんな経験や能力開発が必要かを判断し、そのスケジュールを組み込むことが必要不可欠です。

組織変化の結果としてHiPoを失うリスクを緩和するために、サマンサは次の3点を薦めています。

  1. 変化が起きたら、HiPoにリーダー職までの『現実的で魅力的な』道程を伝える。それによって彼らは自分がなりたい職位にどうやってたどり着けるかがわかる。
  2. 組織変化の理由について理解させ、リーダー要件にとってその変化が何を意味するかを考えさせる。組織の優先順位や焦点、オペレーションモードがどう変わってきたか、そして、それが個人のスキルや能力、経験、関心事の点でどういう意味を持つか、についてである。
  3. HiPoと話すことによって意欲の経時的な変化を捉える。現在の意欲レベル、5年前と比べてどうか、目標に変化がありそうだと思っているかどうか、組織内で昇進し続けたいかどうか、について話をする。

「複雑な話をしろと言っているのではありません。日常の業務サイクルの中に社員とのこういう会話を組み込んでほしいのです。特にHiPoとして見極められた人に対して。」(サマンサ)

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

ハイポテンシャル社員の3つの要件−意欲、能力、エンゲージメント−のうちの「意欲」についての記事です。

『ハイポテンシャル者の発掘・育成』は、今月初め3月2日、東京一橋講堂において開催された当社主催のタレント・マネジメント・シンポジウムのテーマでもありました。ポテンシャル重視の次世代リーダー開発プログラムについてご興味のある方は、ぜひお気軽に当社にお問い合わせください。

(文責:堀 博美)

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