SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、前回ご紹介した英国オンライン情報誌Online Recruitment Magazine (onrec)(2014年2月)の採用テストに関する記事の続きです。

第154回 サイコメトリックスのパワー(2/2)

状況判断力テスト(Situational Judgment Tests: SJTs)は心理測定の世界におけるビッグ・ニュースです。 Saville Consultingの研究開発部長Rab Maclverは次のように述べています。『オーダーメイドのテストということでは、マルチメディアを用いた新世代SJTが発展しています。企業ブランドを大きく反映し、向上させることにもつながります。大量選抜プロセスの最初にこれらのアセスメントを置くことで、全受検者が魅力的な経験をし、自分が応募する企業での仕事生活がどのようなものになりそうかについて現実的な見方を得ることができます。』しかしながら、このマルチメディア化されたアセスメントはとても先進的に見えるため、職務に必要なものを確実に測定しているに違いないと思われてしまうという危険がある、とMacleverは警鐘を鳴らします。実際、彼は、このようなSJTは、単独ではなく他のアセスメントと組み合わせることで一層効果的であると考えます。例えば、Saville ConsultingはDirect Line Groupの事例を挙げます。この会社は、接客職をうまくこなす力を持ち、かつ、会社の価値観に沿った応募者を見極めるようなオンラインアセスメントを実施して効果を上げました。総合的なジョブ・フィット・スコアを用い、数千人の応募者から最も適性のある人を素早く見つけることで採用にかかる時間とリソースを節減しています。

Talent QのSteve O’Dellによれば、今日、心理測定を用いないグローバル企業を見つけることは稀です。Steveはイギリスの社長で創立メンバーです。彼は次のようにコメントしています。『グローバリゼーションによって、一貫して標準的なやり方で世界中から応募者を惹きつけることが企業に必要となっています。現在の心理測定アセスメントは、企業が離れた場所にいる候補者をアセスメントし、世界中で一貫した同質で公平な採用戦略を適用することを可能にします。全応募者が、所在地や言語、障がいの有無に関わらず、同じ経験をすることができます。』プロセスのスピードと受検者フィードバックが鍵です。『応募のボリュームが大きく増えていますが、プロセスが長くかかりすぎるとベストな応募者は消えてしまうおそれがあります。2013年の我々の調査では、「応募プロセスが長期にわたると応募を取り下げる」と答えた大学新卒者は42%でした。顧客企業は常に、短いが正確で受検者が適切だと思うようなアセスメントを要求します。しかし、応募者の90%以上が不合格となることが多いのですから、速い効率的なプロセスが非人間的なものに思われたり、人によっては失礼だとさえ思われるというリスクがあることを忘れてはいけません。そのため、受検者フィードバックはベスト・プラクティスであるだけではなく、受検者にポジティブな経験をさせるために不可欠です。だから我々はアセスメントに受検者へのフィードバック報告書を無料でつけているのです。』

Talent Qは、心理測定が採用プロセスを促進するだけでなく、組織の全体目標をも支援しているよい例としてRoyal Mail Groupを挙げます。Royal Mail Groupでは毎年、事務職に17万人の応募があります。採用プロセスの始めの段階で能力テスト(言語・計数・照合)を用い、応募者の75%以上を落として約22,000人を面接し、年間10,000人ほどを採用します。Royal Mail GroupのGroup Resourcing Supplier ManagerであるDianne Crookesは次のように述べています。『イギリスで一番の郵便ビジネスであるという我々の目標を達成するために、頑健で一貫した大量採用のプロセスが必要でした。最初の予備選抜から最終面接までTalent Qがずっと我々を支援してくれており、適切な人を適切な職務につけることができるようになっています。』

今後について、SkillsarenaのJason Pierceは、このソーシャルメディアの時代、人々の自分の強みや能力開発の可能性について知りたいという興味は増すと考えます。それが、LinkedInなどのビジネス・ネットワークとアセスメント・プロバイダーの協力のチャンスを開くでしょう。Pierceはまた、採用プロセスの早い段階でアセスメントを用いることがプロセスのスピードを上げ、時間と資金を節減すると確信しています。『企業が情報や洞察を提供してくれると思えば、応募者は喜んでアセスメントを受けます。重要なことは、企業がこのような情報をオープンに共有し、プロセスの透明性を確保することです。』彼はまた、ネットワークのおかげで、推薦状や360度バリデーションがマーケットに徐々にではありますが、着実に導入されてくるだろうと述べています。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

前回の記事の続きで、主にイギリスにおけるサイコメトリックス(心理測定)の最新情報や近未来の姿についてお伝えしました。

この記事が掲載されているページに、CEB商品開発部長Ken Lahtiがサイコメトリックスのパワーについて要約したコメントが載っています。最近の心理測定テストの進化は次の3つのEにまとめられるとのことです。すなわち、Effectiveness(予測力)、Experience(受検体験)、Efficiency(短時間化)です。

文責:堀 博美

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