SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLグループHPブログから、アセスメントツールのローカライゼーションに関する記事をご紹介します。

第327回 ローカライゼーションの話

「対話と発展のための文化的多様性の世界デー」(5月21日)を祝い、SHLローカライゼーションチームが出会った、びっくりするような文化的つまづきを共有します。

2021年5月20日 Avril Peryer

あなたにもこんな経験があるかもしれません。休暇で海外に出かけ、そこであなたの言語でメニューをもらいました。そして次の数分間、「Fried rolled up trousers」か「Chicken rude and unreasonable」のどちらか選択しようか、頭を悩ませることに。

このような翻訳の間違いは面白いですが、見方を変えれば、翻訳者の職業がいかに過小評価されているかも浮き彫りにしています。カクテルを飲みながら何を注文するかを決める際、「すごい、なんて良い翻訳だ」などと思うことはおそらくないでしょう。なぜならば、良い翻訳を読んでいるときは、そもそも翻訳されていることに気付かないものでしょうから!

翻訳するときは、元の資料の本当の意味を理解してから、それを別の言語で解釈して再創作し、最終物が言語的に正確で文化的に意味のあるものであることを確認しなければなりません。レストランでの問題ある翻訳はせいぜい面白い逸話ですが、アセスメントのコンテンツに関しては、翻訳に誤りがない必要があるため、SHLでは、翻訳者がアセスメントコンテンツを真に理解しているよう時間をかけています。これはローカライゼーションのプロセスで欠くことのできない部分であり、また、はっとさせられることが多い部分でもあります。

5月21日は、国連の「対話と発展のための文化的多様性の世界デー」です。私の長年にわたる翻訳者との対話の中でとてもびっくりしたことを明かす、ちょうどよい機会だと思います。

文化的ミスマッチのぴったりな例は、「de-icing cars(車の除氷)」に関する能力テスト項目です。アラビア語の翻訳者が、アラビア語の「de-ice」は非常に技術的な文脈でのみ使用されると指摘しました。つまり、この項目は、車についた氷を取り除くことが朝のルーチンのひとつである国よりも、中東の受検者にとって、はるかに難度の高い項目になるだろうことを意味します。

もうひとつの例は、24時間制の時計を12時間形式に変換するよう受検者に求める項目です。タイ語の翻訳者が、タイでは1日を午前と午後に分割する12時間制ではなく、1日を4分割すると説明しました。項目の手直しが必要だったことは言うまでもありません!

翻訳者を悩ませるものは文化的な違いだけではありません。単語の中には、単純に、他の言語には存在しないものがあります。私が自分の調査力を発揮して翻訳者のお手伝いをすることがよくあります。たとえば、「wallet-size photo(財布サイズの写真)」の正確な寸法、「undercoat(下地塗装)」と「primer(下塗り剤)」の違い(ドイツ語では両方に同じ単語が使用される)、「a brown bag meeting」で何が起きるか。最後の例はランチミーティングのことですが、私も質問してきた翻訳者と同じく知らなかったので、アメリカの同僚に頼んで説明してもらわなければなりませんでした。

最後の例が示すように、文化の違いが浮き彫りになるのは別の言語への翻訳に限ったことではありません。SHLはグローバルで多様性ある企業です。そのような環境で働くことで混乱させられることはありますが、それと同じくらい、学び合う機会となります。ロンドン本社を訪れたアメリカの同僚が、「I’d stop by your cubicle」と私に言いました。英国人らしく私は礼儀正しく同意しましたが、彼が少し後に私の机のところに現れるまで、彼が何を意味していたのかわかりませんでした。

最後に、文化的学びとして私が一番好きな思い出は、中国人の同僚のカレンダーに「Moon Cake Day」を見つけたときのことでした。彼女は、アジアでは月餅を食べて中秋節を祝うと説明しました。月餅とは、甘いものやおいしいものを詰めたパイの一種です。そのときから、毎年月餅を持ち込むのが彼女のならわしになりました。

言葉を超えていろいろな人と接することができる職務についていることを私はとても幸運に思っています。異文化から学ぶことの楽しさを皆様にわかっていただけたでしょうか。私たちのさまざまな背景が私たちをユニークなものにしているのであり、私たちの文化的多様性は祝われるべきです。今週は、時間をとって同僚の文化的背景についてもっと見つけてみませんか?

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちら。
https://www.shl.com/en/blog/tales-from-localization/

著者のAvrilはUKのプロダクトローカライゼーションチームのメンバーです。UK商品の日本語版開発で連絡し合うので私もよく知っていますが、明るくて茶目っ気のある人。その人柄がこのブログにも表れているように思います。

海外の観光地で日本語パンフレットをもらい、つい、くすっと笑ってしまうこと、よくありますよね。私の経験では「パンダ」が「ペンダ」になっていたり、「ください。」が「くだちい」になっていたり。これは誤植の問題かもしれませんが、言葉を単に置き換えるだけでは意味が通じないことは多いです。

多言語アセスメントツールを提供するSHLグループでは、どの言語でも同等に公平に受検者の力を評価できるよう、さまざまな取り組みがなされています。

(文責:堀 博美)

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