SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はCEBブログから、ハイポテンシャル人材のマネジメントに関する記事をご紹介します。

第219回 ハイポテンシャル人材に対して、彼らが将来のリーダーだと告げる理由

ハイポテンシャル人材に対してはオープンであることが最上の結果を生みます。しかし、会社としてその選抜基準に確信を持ち、また間違った期待を持たせないよう注意する必要があります。

ほとんどの人事担当者がハイポテンシャル人材の発見と育成が最優先課題であると言います。しかし、社員にとってはエリートのシークレット・サービスに加入するようなもの。とてもシークレットなので自分がメンバーであるということさえ知らないようなものかもしれません。

膨大な時間をかけてやっとのことで成長株の人材を見つけても、63%の会社はその人たちに選ばれたことを言いません。対象者が自分が選び出されたことさえ知らないならば、彼らをエンゲージさせ、能力開発することはできない、と多くの人事担当者、特に幹部養成プログラムを担当する者が嘆くのももっともです。

特に、自分がハイポテンシャルとして選ばれたことをわかっている人は会社を辞める可能性が低いです。他社への転職は、自分の有利な立場や、今後自分にとって大きな助けになるかもしれない社内の自分の支持者を失うことになります。今の場にとどまることのインセンティブは強いものです。

しかし、ほとんどの人事担当者はそれをわかってはいても、やはりハイポテンシャル人材に対して彼らが選ばれたことを言いません。その理由の一つは選ばれなかった人がやる気をなくすことを心配するからです。そのため、ハイポテンシャル人材だけでなく、社員全員に対して教育研修を行います。また、ハイポテンシャル人材に選ばれたことを告げることは、現在の状態にあぐらをかいた、いわば特権階級を生み出すかもしれない、という心配もあります。

誰がハイポテンシャルなのかをあらわにすると、選抜基準にあまりありがたくない光を当てることになるかもしれません。その方法は一貫していますか?性別や年齢、国籍などで差別していないと確信を持って言えますか?上司の主観(バイアスかもしれません)だけに基づいたものですか?もしこれらのどれかが誤っていたら、会社の評判は損なわれ、法的問題になって多大な費用がかかる可能性にさらされます。

およそ半数の会社はハイポテンシャル人材の発見に体系的なプロセスを持たず、過去の業績を基にした主観的な方法に頼っています。しかし、高業績者のうちハイポテンシャル者でもあるのはわずか15%です。社員の能力、意欲、エンゲージメントの客観的な評価によって、指名された幹部候補生が上級職について成功するために必要な資質を本当に持っているかどうかがわかります。

素早く変化する仕事環境では、昇進の機会が遅れたり実現しなかったり、と期待以下のものになるかもしれません。もしハイポテンシャル人材が選抜=昇進する保証と受け取って、それが実現しなかったら、彼らは退職したりさらには賠償金を請求したりすることになりかねません。

非現実的な期待を持たせることを避けてリスクを低減するために、会社は、ハイポテンシャル人材についての約束事を本人側と会社側の両方から正式化しなければなりません。両方の側が明確に理解すべきです。そのような相互の約束事をハイポテンシャル人材に求める会社は9社に1社だけです。

「ハイポテンシャル契約」を作成して計画を立て、状況の変化に合わせて計画を変更することを始める会社が増えています。つまり、実施できるとわかっていることだけ約束するのです。毎年、ハイポテンシャル社員とその上司が一緒に計画を見直し、本人の希望や能力開発が現実的な機会に合っていることを確認します。必要に応じて期待をリセットすることができます。

しっかりした選抜プロセスを持ち、ハイポテンシャル社員の期待に対応でき、他の社員の能力開発ニーズにも適切に対応できる会社は、誰がどんな理由でハイポテンシャルと指名されているのかについてオープンであることが可能であり、かつ、そうすべきです。ハイポテンシャルプログラムの73%が投資に見合ったリターンがなかったり意図した結果が出なかったりするという数字ですが、オープンな会社ではより成功する可能性が高いです。

我々のほとんどと同じように、ハイポテンシャル人材も「認められていること」に価値を置きます。彼らを何と呼んでもいいのですが、自分は「特別だ」ということが彼らにわかっているようにしましょう。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

将来の幹部候補者の早期発・育成プログラムについて、この記事にある問いは我々もお客様から質問されることが多いです。すなわち、誰が選ばれたのかを本人並びに周囲に対してどこまでオープンにすべきか、という問題です。私の印象では選ばれなかった人のモチベーションを下げるかもしれないという心配が大きいようで、これは日本企業の特徴の一つかと思っていました。が、この記事にもその点が触れられており、人事担当者の世界共通の懸念点なのかもしれません。

(文責:堀 博美)

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