堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、8月1日付けでオンライン版ウォール・ストリート・ジャーナル(wsj.com)に掲載された記事をお届けします。中国における採用活動へのソーシャル・メディア活用のレポートです。

第107回 中国では採用はソーシャルに

採用にソーシャル・メディアをどう活用するかのヒントを探している企業は、中国に注目するとよい。

採用関連業界が長い歴史を持つ米国と異なり、中国の求職サービスはまだ発展途上である。

ソーシャル・ネットワーキング・サイトが爆発的に延びている中国では、多くの企業がソーシャル・メディアのような新しい手法の実験を進めている。

『西洋で行われているような伝統的な採用プロセスが中国で始まったのは、中国経済の自由化が徐々に進んだ1978年以降にすぎません。そのため、中国はより容易に、それらの伝統的アプローチを飛び越えて新しい採用手法に着手しました。』(マイク・ティムズ SHLグループ アジア・中東・アフリカ担当社長)

いくつかの多国籍企業において、採用プロセスでソーシャル・メディアをどう使うかの新しいアイデアは中国拠点から来ている。

監査・コンサルティングのデロイト トウシュ トーマツ リミテッドの中国拠点は昨年9月、 Sina社のWeibo(TwitterのようなWebメッセージサービス)の自社キャリアページに、「バーチャル・オフィス・ツアー」を出した。応募者となる可能性のある人々のコミュニティを作り、関係を構築するためである。

ツアーは空港シーンから始まる。訪問者がビデオゲームのように、北京・上海・香港の中から目的地を選択する。目的地の空港まで飛んでその地のデロイトのバーチャル・オフィスに到着した後、訪問者は会議室などオフィスの様々な箇所に行って、社員と話すことができる。様々な場所で訪問者はポイントを集めることができ、6ポイント集めたところでツアーは終了する。

同社によれば、これまで、17,000人がこのオフィス・ツアー・ゲームに参加したそうだ。世界の他のデロイト メンバーファームが同様なやり方を取り入れるべく計画中だと、アーサー・ワング氏(デロイト中国採用部長)は述べる。

デロイト中国のWeiboのキャリアページは2010年に立ち上げられ、現在48,500人以上のユーザーがフォローしている。『フォロワーの中には非常に活発な人がいて、我々にしばしばメッセージや質問を送ってきます。』(アーサー・ワング氏)。このコミュニティの有効性は、同社が先日Weiboでインターンを募集した際に実証された。数時間のうちに募集人数に充分な応募が寄せられた。

世界では、ますます多くの企業が採用にソーシャル・メディアを使っている。人事担当者を対象にSHLが実施した今年のグローバル調査で、『ソーシャル・メディア・サイトは質の高い応募者を採用できる有効なツールである』と回答した人は46%で、昨年の36%から増加している。

中国で新しい採用手法を試すことのインセンティブは、企業が直面している問題にも由来する。中国のオンライン求職掲示板では、有名企業には不適格な応募者が山ほど応募し、小規模企業には誰も応募しないという状況になることが多い、と採用担当者は言う。一方、ヘッドハンターの数はあまりに多くその信用度もピンきりで、マーケットは混沌としている。

アメリカの同僚がうらやましい、とウィラ・ワング女史(中国レノボ採用部長:香港ベースのパソコン会社レノボグループの中国拠点)は言う。オンライン採用プラットフォームが成熟しており、的確な応募者をひきつけることができる。

状況をより厳しくしているのは、グローバルな野心を持つ中国企業が、中国に進出しようとしている西洋の主要企業が求めているのと同じような人々を探している、ということである。

『我々が求めているスキルをもつ層は薄く、厳しい競争があります。』(ジム・ピラルスキー氏、ホテル・チェーンのマリオット・インターナショナル アジア太平洋・中東・アフリカ担当人事部長)。マリオットは現在の60件に加えて、2015年までに新しく40件のホテルを建てる計画で、その人員として約20,000人を採用しようとしている。

6月、マリオットはSina社Weiboを使って中国でプロモーション・キャンペーンを開始した。中国にあるホテルのうち30件以上が自ホテルのビデオを作成し、それらから選ばれたビデオが同社のWeiboページに掲載された。7月までに同社は通常の月よりも1,000件以上多い応募を受け取った(ビル・ルー氏、マリオット採用部長)。

マリオットはまた今年後半、Renren(中国のfacebookと呼ばれている)でソーシャル・ゲームを立ち上げる計画である。ユーザーがバーチャルでレストランを経営する。中国の若者にホスピタリティ・ビジネスという考え方に親しんでもらうことがねらいである。

ソーシャル・メディアに助けを求める企業が増えるにつれ、採用に特化した新サービスを提供する中国ソーシャル・ネットワーキング・サイトも現われた。

Sina社Weiboは昨年、求職者が「ミニ履歴書」を掲示するサービスを立ち上げた。「ミニ履歴書」には通常、その人の簡単なプロフィールやスキル、希望が140文字で記述される。漢字なので、アルファベットの140文字よりも情報量は豊かである。

レノボは昨年、Weiboの「ミニ履歴書」を使って採用キャンペーンを行った。140文字の履歴書を全て検討して候補者を選抜し、フォーマルな採用プロセスを開始するためのフル履歴書をリクエストした。キャンペーンによって数人を採用できた、とワング女史(レノボ)は述べる。

今年4月〜6月、中国レノボはソーシャル・メディアを通じて70人の候補者を得たそうだ。レノボの主要ソーシャル採用ツールはLinkedInだが、TianjiというLinkedInに似た中国語のプロフェッショナル・ソーシャル・ネットワーキング・サイトも使っていると言う。

Tianji社長デレック・リン氏によれば、このサイトの4月のユーザー数は1000万人で、毎月50万人ずつ増えている。同社は現在、企業がサイトを通して検索・採用できるような新しいシステムを構築中である。中国のオンライン採用ビジネス市場の規模は現在7億5000万ドル、2014年までに10億ドルに成長するとリン氏は予想している。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

人材採用におけるソーシャル・メディア活用を検討されている方、ヒントが得られたでしょうか?

文責:堀 博美

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